【四章完結】サラリーマン、オークの花嫁になる

花房いちご

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第一章サラリーマン、オークの花嫁になる

サラリーマン、オークの花嫁になる【2】

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「ハイ!社用携帯電源ぶっち切りましたー!営業タイム終了でーす!よっしゃー!休みだー!」

 俺はその日、ずっと前から抱えていた案件が無事に終わって浮かれていた。明日から三連休というのもあり、帰宅して念入りに準備をする。

「洗浄しっかりしないとなー。ローション足りるかなー」

 ナニの準備かというと、アナニーだ。
 これが、平凡な俺の唯一平凡でない趣味である。俺は昔から尻と肛門が感じやすく、性の目覚めは小学校時代に散々されたカンチョーである。訳もわからず、衝動のまま鉛筆やらシャーペンやらを入れては興奮していた。よく怪我をしなかったものだ。
 成長して肛門を使う自慰のやり方を色々調べてからは、怪我をしないやり方で楽しんだ。今では太めのディルドを突っ込んで、ヒィヒィ涎を垂らしながら感じるようになっている。

「チンポもいいけどやっぱりケツなんだよな」

 誰にも話したことはない。友人にも、過去にいた彼女たちにも秘密だった。親バレ兄弟バレなんてもっての他だ。一人暮らし中だが、家族友人との関係は良好なので遊びに来ることが多い。そういった道具は普段は仕舞い込んでいる。
 それをベッドの上に広げて、好きに選んでズポズポするのが休日の楽しみなのだ。
 風呂から上がった俺は、わざわざスーツに着替えてからベッドに乗った。シュチュエーションも大事。今日は架空(重要)の取引先に無理矢理犯される設定でズポズポしたい。前立腺ぶっ叩いてイキまくりたい。

「これ当たりだったなあ。ぶっといし、イボがいい。でも忙しくて久しぶりだし最初はパールからかな」

 ニヤニヤしながら、さあヤろう。
 と、した瞬間世界が白くなった。

「へ?」

「おお!成功だ!」

「生贄が召喚できた!早く準備しろ!」

「え?な、なに?不法侵入?わー!触るな!見るなやめろ!」

 そして次の瞬間、ベッドごとこの異世界に召喚されていたのだ。

 ◆◆◆◆◆

 俺を召喚したのは、赤花国の宮廷魔術師だった。命令したのは国王と王太子だ。赤花国は、クオーンが治めている緑鉄国の隣国で、人間ばかりが暮らしているらしい。
 彼らは問答無用で俺を捕まえ、なんの説明もないまま白い花嫁衣装を着せ、緑鉄国に連れて来たのだった。
 謁見の間に通され、玉座に座るクオーンと対面する。全員、跪いてだ。この時、俺はクオーンの靴に包まれた足先しか見えなかった。
 赤い髪の王太子は、俺に対しては高圧的で会話すらしなかった。なのに、クオーンに対しては媚びた声で挨拶して要件を告げる。

「偉大なるオークの王、緑鉄国国王クオーン陛下。ご要望の花嫁を用意いたしました。どうぞお好きにお使いください」

 おい!俺の人権はどうした!と、怒鳴る前に不信感を隠さない声がかかった。

「花嫁……王侯貴族どころか赤花国の民ではないようだが、これはどういう事か」

 低くて深い良い声だった。なんだか包容力すら感じるな。呑気に感想を抱いていたが、王太子とクオーンの会話が進むほど震えていった。
 主に赤花国に対する怒りで。
 要約すると、赤花国は緑鉄国に戦争をふっかけた挙句負けた。和平の証として国境沿いの領土の割譲と『緑鉄国と赤花国は、互いに侵略されない限り相手に侵略してはならない』という条約を求められた。
 この条約、かなり人道的というか妥当じゃねえか?俺は呑気に考えたが、赤花国にとってはそうじゃなかったらしい。領土はあっさり渡したが、こっちはごねた。ごねてごねて押し通すものだから、クオーンは代わりの条件を提案した。
『和平の証に、国王クオーンに相応しい花嫁を用意する』
 国王に相応しい、つまり王族か高位貴族の娘を寄越せということだ。これもまあ、そこまで非難されるような要望ではない。要は人質だけど、花嫁の心身の安全を保障する条件つきだった。良心的だ。というか、クオーン的にはここまで言えば、オーク嫌いの赤花国は先の条約を結ぶだろうと思っていたらしい。
 しかし、赤花国はぶっとんでいた。

「ですから!わざわざ宮廷魔術師総出でコレを召喚したのです!召喚条件は『緑鉄国国王クオーンの理想の花嫁』!無事召喚されたのですから受け取っていただかねばなりません!はあ?元の世界への返し方?知りませんよ!」

 コレと言ったか。人を勝手に巻き込んでおいて。営業中に罵られたり、蔑まれたことがないとは言わないが、今時ここまで露骨なパワハラ野郎はいない。いてはならない。司法と俺が許さん。流石に殴ってやろうと顔を上げたのと、クオーンが怒鳴ったのは同時だった。

「ふざけるな!彼の意志を無視して召喚したあげく!無理矢理花嫁にするなど言語道断!恥を知れ!」

 クオーンは玉座から立ち上がり、俺のために王太子を叱りつけてくれていた。その姿に驚くより先に、雄々しさと凛々しさに見惚れた。そして目が合う。赤い目は一瞬、驚いたように見開かれたが、すぐ優しい笑みを浮かべた。

「安心しなさい。君のことは私が守る」

 きゅん。胸が痛い。ドキドキして顔が熱くなってるのが自分でもわかった。
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