半魔の勇者は第三王子を寵愛する

花房いちご

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私たち結婚しました

私たち結婚しました【9】*

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「わかった。言いたくなるまで可愛がってやる」

 ダガンは、金色の目をギラつかせ舌なめずりした。遠慮されたのが不満だったかな?と、ルナルシオンは気まずく身をすくめた。
 その際、脚に当たった感触に固まった。

「え?」

「ああ……オレもまだ枯れてなかったらしい。正直に言っても止めてやれんかもな。覚悟しろよ」

 ダガンは話しながら身を離し、服を脱いでいく。たくましく隆起した身体がさらされ、下着も脱ぎ捨てられた。

「!」

 正に剛直の名に相応しい陰茎が、ブルンっと音を立ててまろび出た。まだ半勃ちといったところだが、ルナルシオンの陰茎と何もかも違う。
 ダガンの剛直は肌のどこよりも濃い色で、体躯に見合った大きさを備えている。ルナルシオンのそれより一回りは太く長く、血管が浮き出てゴツゴツとしており、ところどころ突起がある。さらに、先端が人間のそれよりも尖っていた。
 まぐわいの相手に深く突き刺さし、抉り、中を擦り、逃さないようにするための形だ。

(すごい……あ、あんな大きいなんて……)

 ルナルシオンは、反射的に急ごしらえの準備をした尻をキュッとすぼめた。魔族と半魔の身体は、色々と人間と違うとは聞いていた。が、予想以上だった。

「今更びびっても遅いからな。そんなあちこち透けて見える服で……腰くねらせて……可愛い顔で健気に誘惑しやがって……」

 ダガンはルナルシオンを組み敷いた。優しい手付きだが、かなり鼻息が荒く瞳孔が開いている。口から覗く尖った八重歯と頭の角がやけに剣呑に見えた。
 ルナルシオンは『あれ?私、何かやっちゃいました?』と、焦ったが後の祭りだった。

 ◆◆◆◆◆◆

 ダガンは、久しぶりに強い性欲を抱いた。下腹と剛直、いや全身が煮えそうだ。本来魔族と半魔は性欲の制御が上手いはずだが、全く出来ない状態だった。まあ、無理もない。
 想いを自覚したばかりだというのに、すでに両思いで結婚している。
 相手はベッドの上で、嬉し恥ずかしと身悶えして自分を待っている。
 しかも、自ら扇情的な姿になり健気な想いをぶつけてくる。
 涸れた泉も湧くというものだ。
 魔術ランプの暖色の明かりの元、薄絹は妖しい色香を放つ。それをまとったルナルシオンの身体は白く、しなやかな筋肉が付いていた。長い白金の髪も相まって、全身が光り輝いてすら見える。思えば、護衛騎士とはいえ下着同然の姿を見たのは初めてだった。

(綺麗で色っぽくて……たまらねえな)

 じっくり眺めながら組み敷き、薄絹に手を入れる。背中や首筋を撫でまわす。緊張からか、しっとりと汗ばむ肌は滑らかで触り心地がいい。互いの身体に互いの股間が擦れ、いやらしい音を立てて情欲を高める。
 尖った八重歯で傷つけぬよう気をつけながら唇を甘く喰む。しばし味わってから舌先でうながしてやれば、従順な唇はダガンの舌を招いた。舌を絡め取り、歯や上顎を舐め、唾液を啜った。ルナルシオンの唾液は、錯覚だろうか。甘い味がする。

「ダガ……ン、あっ……んんっ……は、いきっ……くる、し……!」

 息継ぎの仕方も知らないのか。さらにダガンの腰が重く、剛直がはち切れんばかりになる。それでも、理性は死んでいなかった。

「鼻で息をするんだ……そうだ。上手だ。えらいぞルナルシオン」

「うん……んっ」

 褒めながら頬に口付けを落とすと、ルナルシオンはうっとりとした顔で受け止め、己の唇をダガンのそれに押し付けた。

「……愛らしいな」

 ただ押し付けられた唇に、また愛撫を施してやる。次第にルナルシオンの舌が奔放に動くようになり、腰の揺れが激しくなる。ダガンの腹に擦り付けられた陰茎の限界が近いのだろう。ダガンは昔、娼婦にされた手管を思い出した。口付けを続けつつ、両手をルナルシオンの股間に伸ばす。

「ひっ?あ、ああぁっ……!んんっ!んーっ!」

 薄絹で陰茎を包みこみ、幹をやんわりと握る。そしてもう片方の手のひらで、亀頭を円を描くようになでさすった。ルナルシオンは激しく喘ぎ身悶えた。喘ぎ声を奪うように口付けを深めた瞬間、射精した。

「っ!んっ……!」

 ダガンはくぐもった声を聞きながら精液と薄絹ごと陰茎をこする。過ぎた快楽に乱れる様をしっかり堪能し、唇と陰茎を解放してやった。

「はっ……!はぁ、はっ……はっ……あ、ダガ……」

「たくさん出したな」

 ダガンは、ルナルシオンの精液を手に絡めて見せつけてやった。ルナルシオンは恥ずかしそうに目を伏せた。心からの言葉を送る。

「からかってるんじゃない。嬉しいんだ。俺がお前を気持ちよく出来て嬉しい」

 ルナルシオンの薄青い目から涙がこぼれた。そういえば、ちゃんと言葉にしなければならない事がもう一つあったと気づく。

「俺もお前が好きだ。愛してる。……なし崩しだったが、結婚出来てよかった」
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