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ガイアナの過去編
ただの物語
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舞台から落ちる時、黒田は何か昔の頃の
記憶を思い出していた。
いつの話か、ちょっと昔の
そんな物語。
自分がまだ、今のような立ち位置では無く
全然売れていない時、いつもお腹が空いて
いた。
「あ~腹減った」
俺が住んでいるのは六畳一間の汚いアパート
で、トイレも洗濯も共同で、そんな
場所に俺は居た。
そして、俺はいつものように
洗濯をしていると、俺のズボンをクイッと
誰かが引っ張ってきた。
黒田はクイッと引っ張ってきた後方の方角
に目を向けると、何やら黒茶色をした
三つ編みが似合う小さな女の子がそこには
居た。
「何だガキ?」
そうすると、小さな女の子は黒田を
ムムッと睨み付け。
「ガキじゃないもん!!」
そしたら、黒田の表情は何故か柔らかくなり。
「あ、そうだ!これ食うか?」
黒田は小さな女の子に飴を見せた。
そしたら、その女の子は一目散に飴を
取り、口に入れた。
「やっぱりガキじゃあねぇかよ!!
アッハッハッハ 」
黒田は小さな女の子を揶揄った。
「おじさん駄目なんだよ、子供を揶揄うの
って!!」
そしたら黒田はニヤッとし。
「お前さっきまでガキじゃないって言って
たじゃん」
「そう言うのをママが揚げ足だって言って
たんだよ!!」
黒田はこの時間帯を苦痛だとは感じなかった
日頃から会話をするのが少ないと思っていた
からこその黒田にとってはいい暇潰しだ。
「揚げ足じゃなくてだな……これは
イタズラって言うんだ」
「意味わかんないしっ!!」
そして、黒田とその少女は週に1回から
2回程度に共同の洗濯場で会う。
月日が経過し。
「そういえば聞き忘れてたんだけど
お前名前は?」
「確かに言って無かったね…… じゃあ~
おじさんから教えてよ」
「おじさんじゃない!お兄さんだ!!
俺の名前は黒田だ!黒田洋平!!」
そしたら、その女の子は口を開き。
「半端ユア!!」
黒田は、洗濯物を洗濯機にいれながら
喋っている。
「ユアかいい名前だな…… 」
「急に褒めるなし!!」
「いい名前じゃあねぇかよ!!いいモンは
褒めて、悪いモンは貶すこれが今の時代
ってモンだろ」
「時代の話とかよくわかんないし!!」
そして、ユアはお腹を手で急に抑え始めた。
「どした?」
「んん…… なんでもない」
とユアが言った瞬間、ユアのお腹が急に
ギュルルと音を鳴らした。
「何だよユアお前腹減ってんのかよ」
そうユアに黒田が言うと。
「……ばかっ」
ユアは顔を赤らめ、アカンベーと表情をして
自分の部屋に戻るユア。
「……健兄、お腹空いた」
そう言うと、兄は怒った表情をし。
「金が無いんだ、もう仕方ないじゃんか」
「え……?」
「ユア、俺はここから出て行く」
「何でよ健兄」
「ここに居たって何にも変わらないから」
「健兄が居なくなったら、私どうしたら
いいの?」
小さな女の子は、小さな女の子なりに
考える。
「……知るか」
そう言い終えると、健は逃げ去った
そして、そんな走る姿を黒田は見つめて
いた。
「何なんだ一体」
ふと、上を見上げると、二階の部屋に
住んでいるユアが泣いていた。
「ユアどうしたんだ……」
俺には家庭の事情だったりと
分からない話ばかりな気がして、深く追求
するのをやめておこうと思いその場では
話しかけなかった。
月日が経過して行く中で、黒田は自分の夢を
探していた、それがそう
_ヒーローショーのヒーロー_
誰もが釘付けになりテレビに無我夢中で
見ていたあのヒーローのような存在に
なれるならと。
でも、現実は厳しかった、
何回も何十回も俺はオーディションに
落ちた、酷い場合は書類選考でも落ちた。
金もなければ、夢もまた遠い。
「あ~クソッ!!何でこんなにも夢って
奴は遠いんだろうな…… 」
六畳一間の一室で、俺は畳に寝転がり
ながら一人現実と言う名の理不尽に胸を
焼かれたようなそんな思いに馳せていた。
そして、俺の上の階、つまりは
ユアの居る階から大きな物音が聞こえ
俺はすぐにユアのもとに向かった。
「ユア大丈夫か!!?」
と、玄関のドアを開ける黒田。
そしたら、そこには何かを取ろうとして
上に登ったはいいもの途中で足を滑らし
床に頭をぶつけ倒れているユアがそこには
居た。
「……待ってろ今すぐに救急車を呼ぶから」
ユアは意識が朦朧としながらも、何かを
黒田に伝えたくて。
「おじさん…… 絶対にヒーローになって
ね…… 」
ヒーローになるよ、必ずなるから
ユアが思う理想のヒーローになるからさ!
まだ、まだ逝かないでくれよ。
「わかったから!もう喋るな!!」
そして、ユアは救急車に運ばれた、
そして病院に到着した直後、やはり
打ち所が悪かったのか……。
黒田が急いで病院に行くと、そこには
救急隊員が立っていて。
「搬送中、病院到着後…… すぐに死亡が
確認されました、時刻は15時50分」
黒田は崩れ落ちるしか無かった。
「ユアまだ早いだろうがああああああああああああああああああ」
この悲痛の叫びを、
このどうしようもない現実を、
何も出来なかった無力さを。
「……」
_おじさんは絶対にいいヒーローになれる
黒田は立ち上がった。
「ユア、見ていてくれ!俺必ずお前が
望む理想のヒーローになるから!!
天国にまで届くように俺、頑張るから」
誓いを立てた日は、いつもよりも
空が青かった。
記憶を思い出していた。
いつの話か、ちょっと昔の
そんな物語。
自分がまだ、今のような立ち位置では無く
全然売れていない時、いつもお腹が空いて
いた。
「あ~腹減った」
俺が住んでいるのは六畳一間の汚いアパート
で、トイレも洗濯も共同で、そんな
場所に俺は居た。
そして、俺はいつものように
洗濯をしていると、俺のズボンをクイッと
誰かが引っ張ってきた。
黒田はクイッと引っ張ってきた後方の方角
に目を向けると、何やら黒茶色をした
三つ編みが似合う小さな女の子がそこには
居た。
「何だガキ?」
そうすると、小さな女の子は黒田を
ムムッと睨み付け。
「ガキじゃないもん!!」
そしたら、黒田の表情は何故か柔らかくなり。
「あ、そうだ!これ食うか?」
黒田は小さな女の子に飴を見せた。
そしたら、その女の子は一目散に飴を
取り、口に入れた。
「やっぱりガキじゃあねぇかよ!!
アッハッハッハ 」
黒田は小さな女の子を揶揄った。
「おじさん駄目なんだよ、子供を揶揄うの
って!!」
そしたら黒田はニヤッとし。
「お前さっきまでガキじゃないって言って
たじゃん」
「そう言うのをママが揚げ足だって言って
たんだよ!!」
黒田はこの時間帯を苦痛だとは感じなかった
日頃から会話をするのが少ないと思っていた
からこその黒田にとってはいい暇潰しだ。
「揚げ足じゃなくてだな……これは
イタズラって言うんだ」
「意味わかんないしっ!!」
そして、黒田とその少女は週に1回から
2回程度に共同の洗濯場で会う。
月日が経過し。
「そういえば聞き忘れてたんだけど
お前名前は?」
「確かに言って無かったね…… じゃあ~
おじさんから教えてよ」
「おじさんじゃない!お兄さんだ!!
俺の名前は黒田だ!黒田洋平!!」
そしたら、その女の子は口を開き。
「半端ユア!!」
黒田は、洗濯物を洗濯機にいれながら
喋っている。
「ユアかいい名前だな…… 」
「急に褒めるなし!!」
「いい名前じゃあねぇかよ!!いいモンは
褒めて、悪いモンは貶すこれが今の時代
ってモンだろ」
「時代の話とかよくわかんないし!!」
そして、ユアはお腹を手で急に抑え始めた。
「どした?」
「んん…… なんでもない」
とユアが言った瞬間、ユアのお腹が急に
ギュルルと音を鳴らした。
「何だよユアお前腹減ってんのかよ」
そうユアに黒田が言うと。
「……ばかっ」
ユアは顔を赤らめ、アカンベーと表情をして
自分の部屋に戻るユア。
「……健兄、お腹空いた」
そう言うと、兄は怒った表情をし。
「金が無いんだ、もう仕方ないじゃんか」
「え……?」
「ユア、俺はここから出て行く」
「何でよ健兄」
「ここに居たって何にも変わらないから」
「健兄が居なくなったら、私どうしたら
いいの?」
小さな女の子は、小さな女の子なりに
考える。
「……知るか」
そう言い終えると、健は逃げ去った
そして、そんな走る姿を黒田は見つめて
いた。
「何なんだ一体」
ふと、上を見上げると、二階の部屋に
住んでいるユアが泣いていた。
「ユアどうしたんだ……」
俺には家庭の事情だったりと
分からない話ばかりな気がして、深く追求
するのをやめておこうと思いその場では
話しかけなかった。
月日が経過して行く中で、黒田は自分の夢を
探していた、それがそう
_ヒーローショーのヒーロー_
誰もが釘付けになりテレビに無我夢中で
見ていたあのヒーローのような存在に
なれるならと。
でも、現実は厳しかった、
何回も何十回も俺はオーディションに
落ちた、酷い場合は書類選考でも落ちた。
金もなければ、夢もまた遠い。
「あ~クソッ!!何でこんなにも夢って
奴は遠いんだろうな…… 」
六畳一間の一室で、俺は畳に寝転がり
ながら一人現実と言う名の理不尽に胸を
焼かれたようなそんな思いに馳せていた。
そして、俺の上の階、つまりは
ユアの居る階から大きな物音が聞こえ
俺はすぐにユアのもとに向かった。
「ユア大丈夫か!!?」
と、玄関のドアを開ける黒田。
そしたら、そこには何かを取ろうとして
上に登ったはいいもの途中で足を滑らし
床に頭をぶつけ倒れているユアがそこには
居た。
「……待ってろ今すぐに救急車を呼ぶから」
ユアは意識が朦朧としながらも、何かを
黒田に伝えたくて。
「おじさん…… 絶対にヒーローになって
ね…… 」
ヒーローになるよ、必ずなるから
ユアが思う理想のヒーローになるからさ!
まだ、まだ逝かないでくれよ。
「わかったから!もう喋るな!!」
そして、ユアは救急車に運ばれた、
そして病院に到着した直後、やはり
打ち所が悪かったのか……。
黒田が急いで病院に行くと、そこには
救急隊員が立っていて。
「搬送中、病院到着後…… すぐに死亡が
確認されました、時刻は15時50分」
黒田は崩れ落ちるしか無かった。
「ユアまだ早いだろうがああああああああああああああああああ」
この悲痛の叫びを、
このどうしようもない現実を、
何も出来なかった無力さを。
「……」
_おじさんは絶対にいいヒーローになれる
黒田は立ち上がった。
「ユア、見ていてくれ!俺必ずお前が
望む理想のヒーローになるから!!
天国にまで届くように俺、頑張るから」
誓いを立てた日は、いつもよりも
空が青かった。
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