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クスリ編

変わりゆく君をみて

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愛衣は出て行った、家の金は消えていた
きっとヤゴニが欲しかったのだろう、
だが、愛衣は家に帰って来る事は無かった。

それから、5ヶ月が過ぎ去った。
五ヶ月という、長いようで、短い月日が
経過した、季節はもう冬だ。

雪が降り出し、街中は賑やかだった、
看板には飾り付けをしたりと、そして
明日からはクリスマスだ。

場所は、新宿。

雪が降り積もり、ホームレスの方々は
身を寄せ合って過ごしていた、寒いとは
嘆かずにだだ、その日を普通に暮らしていた。
そんな、中に愛衣は居た。

「ねぇ、アユ 明日クリスマスだよ
ケーキ買わない?」

冬景色と言うべきか、雪月と言うには
あまりにもクリスマスの前日は美しかった。

「ねぇ…… アユ ホームレスってなんで
いるのかな?」

アユ自身、ホームレスが嫌いだとかって
そんな理由は無い、生きている者達を
嫌いになる事は無い、ただ、嫌いなのは
自分の権利、権力を主張し、恰も自分が
正しいかのように振る舞う傲慢な貴族思考だ
本当に虫唾が走る。

そして、そんな新宿の大通り、
歌舞伎町では、玉城優奈と、愛衣が居た。

「ヤゴニくらはぃ、、私我慢できなぃ…… 」
物乞いなんかじゃない程に
愛衣は依存し切っていた、断ち切れない鎖
それに雁字搦めな愛衣。

「欲しかったら、金稼ぎな、そしたら
三日分やるよ 」

「え、本当に?」

姉さん、本当に彼女人生崩壊させましたね?
すごいですよ、半端組はこの月日の中
ウチらを血眼になって探してるらしい
後、G連合をまた狙ってるみたいです。

自分ら、これからどうなるんですか?
確かに姉さんは、崖っぷちじゃない
人生は退屈だって言ってましたね?
でも、自分は退屈がいい。

ごめんなさい。ごめんなさい。

車の中、窓から玉城優奈の姿を眺める。
歌舞伎町の通り、雪が軽く降り積もっている
そして、その裏の影から
闇は動き出していた。

「玉城、コラァ ! 見つけたぞ、
歌舞伎町の通りでブルシート広げて
何金稼いでんだ? この通りでウリは
禁止されてるはずだがな 」

そんな光景を見た愛衣は怖がる。

「玉城さん、大丈夫なんですか? 」

「半端組の 下坂か…… 」

半端組 歌舞伎町組、組長代理
下坂 兼永 。

「あ? お前いつから俺を呼び捨てに
するようになったんだ? 殺されたい
のか?」

「そんな怒鳴らないでくださいよ、あんまり
キレってと、寿命縮まりますよ ふふ 」

態度には、態度で返せ
シタテに出れば、舐められる、なら
決して弱さを見せるな、捨てろ、度胸は
度胸、怒りは、煽りで、そうそれが
この裏稼業の本質。

「 本当に殺すぞアマ 」
そんな風に怒鳴りを上げていたら
案の定警察がこちらに歩み寄ってきた。
そして、下坂は去った。

「何かありましたか?」

「いえ、特に何も 」

「そうでしたか …… 」

警察は、愛衣に視線を向けた

「あれ、木山愛衣さんですか?
行方不明の届け出が出ているのですが……
署まで来て貰えますか?」

愛衣は、嫌な顔をするが、そんなのは
警察には知る由も無い。

「署まで来てください、こちらの方は
任意では無いですよ 」

そして、愛衣は去った。
だが、そんな簡単に逃げられるはずは
無く、警官に捕まった愛衣。

それを見た、玉城は警官の腹を蹴り
そして逃げ去った。

「待て!」

逃げるのには慣れてる、だから簡単だ
こんな、交番警察撒くのなんざ、赤子の
手を捻るくらいと同じ。

「大丈夫か 愛衣? 」

「私は、大丈夫! でも、玉城さん
刺されてませんか?だってさっきから
血がボタボタと垂れてますよね? 」

さっきの一悶着のせいで、警官が来て
その下坂が去り際に私の腹を刺した。

「あぁ…… 大丈夫だ、こんなのは
日常茶飯事だよ 」

そして、それを車から見てる
俺は、この現状を把握し、理解し、
怯えもしなかった。

だって、俺が仕組んだ事なのだから。

だから、俺は平気、いつもの通り
に生きていくだけ。


「やばい、目が霞んできやがる 」

そんな
死に際のセリフなんて吐かないでよ
私、あなたにあの時救われたのに。


私がお兄ちゃんの家を飛び出した後
当然行く宛も無かった私、有名だけど
事務所とかに頼る訳には行かないし、絶対に
頼ったら負けな気がした。

でも、そんな中
あなたは、私を迎えにきてくれた
雨の中、子犬のように怯えてた私をあなた
助けてくれた、そして退屈だらけの世界
から解き放ってくれた。

「おいなにしてんのお前? 」

そんな一言から物語は始まった。

「別に…… 」

最初は怖かったし、逃げ出したいとも
思ってたけど、
あなたは私を迎えに来てくれた。

そして、玉城は思った。
洗脳、
玉城は最初から知っていた、だって
カモにしようとしていたのだから
だから、愛衣がこう懐いてくれるのは
有り難い。
こっからが、地獄の始まり始まりってか。

そして、路地裏に居た私を
あなたは家に連れて行ってくれた。

シャワーが暖かくて
家が暖かくて
気持ちが良くて、気持ちが良くて。

注射、炙り、吸引
全てがいい、頭がとろけてしまう
ほどに。

「あっ! はぁ…… はぁ…… すごいこれっ!
きもちぃぃぃ!! 」

薬が身体の中を弾けていく、脳が甘えて
いる、私が私を愛している。

「んっ、、んん あ、あっあん 」

始まれ、始まれ
愛衣お前の身体はもう
薬漬けだ。
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