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第60話
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高速を走る車はとても静かで快適な空間なのに俺の心の中はお金のことでいっぱいだった。
まず、入院費用。
俺は少なくとも今回の入院が初めてではない。定期的にいろんなものに巻き込まれているおかげでいろんな病院で入院した。
その時も全部紫苑が払ってくれていた。
「巻き込んだから。守れなかったから、償いにはならないけどこれぐらい払わせてくれ。」
俺はいつもこう言われて払ってもらっていたけど、結構な額だと思う。だって毎回特別室だし。
それに…待って…俺色々あって忘れてたけど、
「紫苑の婚約者じゃん…。」
「あ?」
「…杏様?急にどうされたんですか?」
「あっと、いや、俺色々あって紫苑の婚約者になってたこと完全に忘れてて。」
「おやおや?これは紫苑様の愛が足りないのではないですか?」
「あぁ。そうみたいだな。」
「いや、たくさんもらっているんだろうけど、俺が気がついてないだけだと思うよ!?」
「気がつかない愛より、目に見える愛がいいだろう?」
それはそれで嬉しい。
いや、本題は違うだろ。お金だよお金。
「俺、紫苑にお金あげたい。」
いや、日本語下手すぎた。
「今のはなし!ね!」
「うん?…うん。」
「紫苑、いつもお金払ってくれるでしょ?俺、返したい。」
「大した額じゃないから心配しなくていい。」
「でも、だって、俺を家族から引き離すためにもお金使って俺の入院費だって全部払って…お金足りなくなっちゃう。」
「あ?なくならねぇよ。いいか杏。俺は大学を卒業して会社にもついてるし、組のお金もあるからお前が心配するほど使ってねぇよ。」
「でも…。」
「杏から金もらうなら、お前の親から貰ってるからいい。会社売った金がある。」
「…いつもありがとうございます。」
多分紫苑は少しでももらってくれないだろうし、感謝しても仕切れないけど、口に出してちゃんと伝えとこうと思った。
「あぁ、なら欲しいものがあるからそれをくれないか?」
「なんですか?」
「杏からキスしてほしーなー。」
「なっ!?」
恥ずかしいけど、それで紫苑が喜ぶなら…!
心臓が飛び出そうなほど緊張しているのがよくわかる。
「しっしおん。」
前を向いていた紫苑に声をかけてこっちを向いてもらう。
キスと言えるのかよくわからないけど、唇と唇は重なった。歯も少し当たったけど。
「クククッ。ハハハッ。」
紫苑は何かにツボって爆笑してるし、俺は何かしてしまったのか不安になるし、徹さんはかたまってるし完全にカオスだ。
「てっきり頬にしてくれると思っていたが…唇にされるとはな。」
頬にしてもよかったのか。
いや、たしかにそーすればよかった。
「でも、紫苑だから…唇でいいんです!」
気がつかなかったことがバレたらもっと恥ずかしいからそーゆーことにした。
まず、入院費用。
俺は少なくとも今回の入院が初めてではない。定期的にいろんなものに巻き込まれているおかげでいろんな病院で入院した。
その時も全部紫苑が払ってくれていた。
「巻き込んだから。守れなかったから、償いにはならないけどこれぐらい払わせてくれ。」
俺はいつもこう言われて払ってもらっていたけど、結構な額だと思う。だって毎回特別室だし。
それに…待って…俺色々あって忘れてたけど、
「紫苑の婚約者じゃん…。」
「あ?」
「…杏様?急にどうされたんですか?」
「あっと、いや、俺色々あって紫苑の婚約者になってたこと完全に忘れてて。」
「おやおや?これは紫苑様の愛が足りないのではないですか?」
「あぁ。そうみたいだな。」
「いや、たくさんもらっているんだろうけど、俺が気がついてないだけだと思うよ!?」
「気がつかない愛より、目に見える愛がいいだろう?」
それはそれで嬉しい。
いや、本題は違うだろ。お金だよお金。
「俺、紫苑にお金あげたい。」
いや、日本語下手すぎた。
「今のはなし!ね!」
「うん?…うん。」
「紫苑、いつもお金払ってくれるでしょ?俺、返したい。」
「大した額じゃないから心配しなくていい。」
「でも、だって、俺を家族から引き離すためにもお金使って俺の入院費だって全部払って…お金足りなくなっちゃう。」
「あ?なくならねぇよ。いいか杏。俺は大学を卒業して会社にもついてるし、組のお金もあるからお前が心配するほど使ってねぇよ。」
「でも…。」
「杏から金もらうなら、お前の親から貰ってるからいい。会社売った金がある。」
「…いつもありがとうございます。」
多分紫苑は少しでももらってくれないだろうし、感謝しても仕切れないけど、口に出してちゃんと伝えとこうと思った。
「あぁ、なら欲しいものがあるからそれをくれないか?」
「なんですか?」
「杏からキスしてほしーなー。」
「なっ!?」
恥ずかしいけど、それで紫苑が喜ぶなら…!
心臓が飛び出そうなほど緊張しているのがよくわかる。
「しっしおん。」
前を向いていた紫苑に声をかけてこっちを向いてもらう。
キスと言えるのかよくわからないけど、唇と唇は重なった。歯も少し当たったけど。
「クククッ。ハハハッ。」
紫苑は何かにツボって爆笑してるし、俺は何かしてしまったのか不安になるし、徹さんはかたまってるし完全にカオスだ。
「てっきり頬にしてくれると思っていたが…唇にされるとはな。」
頬にしてもよかったのか。
いや、たしかにそーすればよかった。
「でも、紫苑だから…唇でいいんです!」
気がつかなかったことがバレたらもっと恥ずかしいからそーゆーことにした。
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