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第40話
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「お邪魔しまーす。」
「聖君!おはようございます!来てくれてありがとう!」
「あぁ、体調はどうだ?」
「調子はいいよ。」
「あ、志麻ちゃんがこれ。今週の分だってさ。」
「持ってきてくれたの?ありがとう。」
「にしても。紫苑さんこんな立派なところに住んでたんだ。すげぇ。」
「入るときすごくカッコいいよね!」
「いや、俺お前に開けてもらったから入れたんだけど?」
「でも、エレベーター乗ったでしょ?」
「あぁ、兄貴にやってもらった。まじあれすげぇ。」
「ね!ビルに住んでるひとはみんなこうなのかな。」
「いや、紫苑さんが特別なんだぞ?」
「そうなんだ。」
一緒に課題を取り組みながら話す。
この感じ凄く久しぶりで内心ずっとワクワクしてる。
「…聖君。次はいつ来てくれるの?」
「あ?あー。紫苑さんが仕事ある日は俺がいることになったんだよ。だから割と頻繁に会うぞ?」
「聖君って、紫苑さんの部下さんなんだ。」
「あー正確には違うんだよな。紫苑さんに組の話は聞いてたよな?確か。」
「うん、確か東…東峯会直系の二条組の若頭さんなんだよね?」
「そう。二条会の2番目にえらい人。その部下ってことは二条組に所属している人ってわけなんだけど俺は所属してないんだ。」
「…所属してもいいことないの?それとも試験みたいなのがあるの?」
「いや試験はないよ。ただ、俺が未成年ってのもあるし周りが優しいんだ。俺にはまだ表社会で働ける道があるから。」
「徹さんも紫苑さんも優しいもんね。じゃあ、将来はどこかの企業に就職するの?」
「優しくは…ないぞ?杏限定だよあの人たちの優しさは。俺は、兄貴の後を追っかけるよどこまでも。杏は…あー、杏は何かやってみたいこととかないのか?」
「やってみたいこと…。」
思いつかなかった。
あれがしたいとか、これがしたいとか。
何も思いつかなかった。
「ないんか。杏。」
「ううん…思いつかなかった。あるのかな…したいこと。」
「そうだな。俺は宮さんのお昼ごはんが食べてみてぇな。」
「ふふふっ。じゃあ、もらいに行こうよ。」
「あっちで食べていいらしいぞ。どうする?こっちで二人で食べるか、下で宮さんたちと食べるか。」
「そりゃもちろんみんなで食べよ!」
少し重くなった空気を変えてくれた聖君。
やってみたいことを探すことって選択をすることと同じぐらい?いや、それ以上難しいかも。何もないから空っぽの人間のように感じる。
せっかく聖君が雰囲気変えてくれたから俺も切り替えなきゃ。
「おーい。行くぞ。」
「うん!今行くよ。俺知ってるんだ。今日のお昼ご飯。」
「なに?宮さんが作るものは全部うまそうだけど。」
「ほんと、すっごく美味しいよ。俺はね、宮さんの料理と夏目先生のお弁当が好き。」
「そこに志麻ちゃんいるのは杏らしい。」
「えへへ。」
玄関に全部心のもやもやは置いて宮さんのところへ行くためにエレベーターに乗った。
「聖君!おはようございます!来てくれてありがとう!」
「あぁ、体調はどうだ?」
「調子はいいよ。」
「あ、志麻ちゃんがこれ。今週の分だってさ。」
「持ってきてくれたの?ありがとう。」
「にしても。紫苑さんこんな立派なところに住んでたんだ。すげぇ。」
「入るときすごくカッコいいよね!」
「いや、俺お前に開けてもらったから入れたんだけど?」
「でも、エレベーター乗ったでしょ?」
「あぁ、兄貴にやってもらった。まじあれすげぇ。」
「ね!ビルに住んでるひとはみんなこうなのかな。」
「いや、紫苑さんが特別なんだぞ?」
「そうなんだ。」
一緒に課題を取り組みながら話す。
この感じ凄く久しぶりで内心ずっとワクワクしてる。
「…聖君。次はいつ来てくれるの?」
「あ?あー。紫苑さんが仕事ある日は俺がいることになったんだよ。だから割と頻繁に会うぞ?」
「聖君って、紫苑さんの部下さんなんだ。」
「あー正確には違うんだよな。紫苑さんに組の話は聞いてたよな?確か。」
「うん、確か東…東峯会直系の二条組の若頭さんなんだよね?」
「そう。二条会の2番目にえらい人。その部下ってことは二条組に所属している人ってわけなんだけど俺は所属してないんだ。」
「…所属してもいいことないの?それとも試験みたいなのがあるの?」
「いや試験はないよ。ただ、俺が未成年ってのもあるし周りが優しいんだ。俺にはまだ表社会で働ける道があるから。」
「徹さんも紫苑さんも優しいもんね。じゃあ、将来はどこかの企業に就職するの?」
「優しくは…ないぞ?杏限定だよあの人たちの優しさは。俺は、兄貴の後を追っかけるよどこまでも。杏は…あー、杏は何かやってみたいこととかないのか?」
「やってみたいこと…。」
思いつかなかった。
あれがしたいとか、これがしたいとか。
何も思いつかなかった。
「ないんか。杏。」
「ううん…思いつかなかった。あるのかな…したいこと。」
「そうだな。俺は宮さんのお昼ごはんが食べてみてぇな。」
「ふふふっ。じゃあ、もらいに行こうよ。」
「あっちで食べていいらしいぞ。どうする?こっちで二人で食べるか、下で宮さんたちと食べるか。」
「そりゃもちろんみんなで食べよ!」
少し重くなった空気を変えてくれた聖君。
やってみたいことを探すことって選択をすることと同じぐらい?いや、それ以上難しいかも。何もないから空っぽの人間のように感じる。
せっかく聖君が雰囲気変えてくれたから俺も切り替えなきゃ。
「おーい。行くぞ。」
「うん!今行くよ。俺知ってるんだ。今日のお昼ご飯。」
「なに?宮さんが作るものは全部うまそうだけど。」
「ほんと、すっごく美味しいよ。俺はね、宮さんの料理と夏目先生のお弁当が好き。」
「そこに志麻ちゃんいるのは杏らしい。」
「えへへ。」
玄関に全部心のもやもやは置いて宮さんのところへ行くためにエレベーターに乗った。
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