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第9話
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「言わなきゃいけないこと…。」
「そうだね。まずは体の話から。」
思ったより体はボロボロの状態だったみたいだ。
「…辛くなったらいつでも言ってね。別にすべて今日必ず知っておかなくてはいけない話じゃないんだ。すべてを知っても少しずつ自分の中で理解していかなくてはいけないこともあるからね。」
「…?はい。」
「君の体中にある傷跡は治せるものもあるけど、治せないものもある。やけどの痕とかは手術をすれば綺麗にできるし、切れてできた傷もかさぶたになれば少し痕が残るくらいになると思う。…けど、両手足首と首にある枷がこすれてできた傷は残ってしまう。」
「そうですか。…別に痛くないんで、大丈夫です。」
いじめられたときにできた傷も、恭さんがつけた傷も、お父さんが付けた傷も、どれも誰が付けたかなんて覚えていない。
気が付いたらできていた、増えていた。熱を持って痛いときもあったけどそれも今はないし、枷のあとは消えないだろうなって察していたから別に何とも思わない。
「もう少し自分の体を大切にしてもいいかもね。」
自分の体を大切にできない。だって、イラナイって思っちゃうから。ゴミみたいに他人に扱われている体を大切になんて思えない。
「…はい。」
「次に、杏君の体の内部についてね。」
「はい。」
「君が最近まで飲んでいた薬は違法の薬で効果としてはΩの発情期を誘発するものだったけど、君は一回目の発情期が来る前に薬によって発情期を起こしたことでΩホルモンのバランスが完全にくるってしまっている可能性が高いんだよね。だから、不定期に発情したり、人より重くて長い発情期があるかもしれない。それに、この薬の依存性や、正直体が完全にできる成長期の前に起きた影響はわからないからもっと深刻な問題になる可能性もあるんだ。」
「そうですか。」
「妊娠はしてなかった。けどそれは、杏君の栄養が偏りすぎていたことや、ストレス、なにより膣の状態がボロボロだったんだ。もしかして、うんちするときに血ついてない?」
「…分かりません。あんまり痛いって感じなかったので見ませんでした。」
「うーん、そっか。体が不調を訴えたらすぐに僕に相談してね。」
「はい。」
2年も変な薬を飲んで「なんともなかった。」なんて言われるわけがない。
自分の体の話なのに、まるで他人の話を聞いているようで変な気分だった。
たぶんこれも自分を大切にしていないということなんだと思う。
「で、最後に、番についてなんだけど…。」
「俺は大丈夫なんで、お願いします。」
言いにくそうにしている先生に先を促す。
「…うん。杏君は望まぬ形だろうけど、番にされて解消されてしまったよね。それで、α欠乏症にかかっているんだ。」
α欠乏症…。初めて聞いた病気。
「α欠乏症は番を解消されたΩが必ずかかる病気なんだ。…杏君は番を解消されたΩはどうなってしまうって学校で習った?」
「50パーセントのΩが…自殺してしまう…と習いました。」
ハッとなって先生を見る。
「うん。自殺衝動もこの病気には含まれてしまっているんだ。五年生存率が50パーセント。五年を超えると5パーセント以下。」
「俺は…早くて五年以内に死ぬかもしれないってことですか?」
「…そうならないようにサポートはさせてもらうけど…その可能性もあるんだ。」
「そうだね。まずは体の話から。」
思ったより体はボロボロの状態だったみたいだ。
「…辛くなったらいつでも言ってね。別にすべて今日必ず知っておかなくてはいけない話じゃないんだ。すべてを知っても少しずつ自分の中で理解していかなくてはいけないこともあるからね。」
「…?はい。」
「君の体中にある傷跡は治せるものもあるけど、治せないものもある。やけどの痕とかは手術をすれば綺麗にできるし、切れてできた傷もかさぶたになれば少し痕が残るくらいになると思う。…けど、両手足首と首にある枷がこすれてできた傷は残ってしまう。」
「そうですか。…別に痛くないんで、大丈夫です。」
いじめられたときにできた傷も、恭さんがつけた傷も、お父さんが付けた傷も、どれも誰が付けたかなんて覚えていない。
気が付いたらできていた、増えていた。熱を持って痛いときもあったけどそれも今はないし、枷のあとは消えないだろうなって察していたから別に何とも思わない。
「もう少し自分の体を大切にしてもいいかもね。」
自分の体を大切にできない。だって、イラナイって思っちゃうから。ゴミみたいに他人に扱われている体を大切になんて思えない。
「…はい。」
「次に、杏君の体の内部についてね。」
「はい。」
「君が最近まで飲んでいた薬は違法の薬で効果としてはΩの発情期を誘発するものだったけど、君は一回目の発情期が来る前に薬によって発情期を起こしたことでΩホルモンのバランスが完全にくるってしまっている可能性が高いんだよね。だから、不定期に発情したり、人より重くて長い発情期があるかもしれない。それに、この薬の依存性や、正直体が完全にできる成長期の前に起きた影響はわからないからもっと深刻な問題になる可能性もあるんだ。」
「そうですか。」
「妊娠はしてなかった。けどそれは、杏君の栄養が偏りすぎていたことや、ストレス、なにより膣の状態がボロボロだったんだ。もしかして、うんちするときに血ついてない?」
「…分かりません。あんまり痛いって感じなかったので見ませんでした。」
「うーん、そっか。体が不調を訴えたらすぐに僕に相談してね。」
「はい。」
2年も変な薬を飲んで「なんともなかった。」なんて言われるわけがない。
自分の体の話なのに、まるで他人の話を聞いているようで変な気分だった。
たぶんこれも自分を大切にしていないということなんだと思う。
「で、最後に、番についてなんだけど…。」
「俺は大丈夫なんで、お願いします。」
言いにくそうにしている先生に先を促す。
「…うん。杏君は望まぬ形だろうけど、番にされて解消されてしまったよね。それで、α欠乏症にかかっているんだ。」
α欠乏症…。初めて聞いた病気。
「α欠乏症は番を解消されたΩが必ずかかる病気なんだ。…杏君は番を解消されたΩはどうなってしまうって学校で習った?」
「50パーセントのΩが…自殺してしまう…と習いました。」
ハッとなって先生を見る。
「うん。自殺衝動もこの病気には含まれてしまっているんだ。五年生存率が50パーセント。五年を超えると5パーセント以下。」
「俺は…早くて五年以内に死ぬかもしれないってことですか?」
「…そうならないようにサポートはさせてもらうけど…その可能性もあるんだ。」
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