6 / 99
2
第4話
しおりを挟む
目が覚めたら、そこは知らないところだった。
「ここっ…どこっ!!」
オーナーに会って飲み物を飲んだ後からの記憶がない…。
重い体に鞭を打って立ち上がろうとすると、じゃらじゃらと金属の鎖がぶつかった音がした。
音がする方を見ると、鎖が首と両手足に付いていた。まるで奴隷のように。
それに…裸になっていた。着てきた服はどこにも見当たらない。
白を基調とした部屋は窓もなくベッドと机といすだけ。
扉は2つあるけど1つは鎖の長さ的に届かなさそうだった。
「目が覚めたんだね、蓮きゅん。」
バンっと目の前にあった扉が勢いよく開き、オーナーが入ってくる。
蓮は僕じゃない。僕は杏だ。
そもそもなんで連の名前を知ってる…??
今日?昨日?…出会ったばっかりのオーナーが知っているのはおかしい。
「僕は蓮じゃ…ないです。」
「うん?知ってるよ。僕は昔から蓮きゅんが大好きだったんだ。君は…イラナイ方だよね。でも、ボクちん頭いいからひらめいちゃったわけ。君は蓮きゅんと顔だけは似てるよね。しかも、Ωでちょうど売られてきた…。ボクちんの蓮きゅんになるため…ってことだよね?神様はボクちんが、いかにがんばりものなのかちゃんと見てるからプレゼントをくれたんだよね。うんうん。」
兄さんのストーカーだったってこと…!?
僕は身代わりの人形?お母さんはこのことを知っていてここに僕を売ったの?僕がオーナーに売れるってわかっていたから?
分からないことだらけ。全部僕のおバカな頭じゃ解決できないこと。
考えている間もオーナーは後ろを向いてずっと準備らしきことをしている。
静かな空間に響くわずかにこすれる物音が怖い。
「ってことでまぁずはボクちんの番になってもらうためにお薬を飲んでもらいましょーね。」
振り返りながらオーナーはそういった。
薬……!?!?こわ…い…。 ガチガチと音を鳴らして震える歯がオーナーの指をかんでしまった。
「いったいなぁ。抵抗するわるいこにはお仕置きしないと。」
そういってオーナーは僕の口の中に無理やり指を突っ込んできた。
鼻をつまれて息がうまくできなくなり口もふさがれ薬を飲みこむ。
「いいかい?君は今日から蓮君でボクちんのことは恭さんとよぶんだよ。君がイイコでいてさえくれればボクちんは君をたぁんと可愛がってあげるからね。」
あぁ、これは頭が悪い僕でもわかる。
悪夢の始まりだ。
薬が効いた僕は体がまるで溶けてしまったかのような感覚で四つん這いに必死になりながら叫ぶように声を出していた。
「ごめん…なざい。もう…もう、ゆるじでぐだざい。」
涙なのか鼻水なのかよだれなのかわからないくらい混ざった体液が顔から流れる。
初めての発情期とセックスは痛くはないもののわからないことだらけで謝ることしかできなかった。
僕の後ろで腰を振り快楽を得ているこの男こそが涙と鼻水とよだれの原因である。
「蓮きゅん、もうわかったよね?誰が君の番なのか。」
「ぎょう…ぎょうざんでず。」
「少しでも反抗したら、今度はもっとひどいことちゃうかもしれないからきおつけるんだよ?」
「はい…わかり…まじだ。」
先ほど番うために外された首輪をまた付けられる。
重い鎖とこの首輪は僕の体力も奪う。
腰を振られるたびにガチャガチャとなりたまに鞭を打つようにあたる鎖は怖かった。
(僕…死ぬのかなぁ…。)
僕の命は恭さんが握っている。
オーナーだからとかじゃなくて番として本能的に感じている。きっと僕はこの人に捨てられた命を捨てるのだろう。僕自身はこんな行為したくないのに体は…本能は、そうじゃない。
番との行為がしたくてたまらなくなってしまう。
Ωが家畜と同等にみられることが多いのはきっとこういうところからなのだろう。
僕はそんな風に消えたかったわけじゃないのに、神様はとことん僕のことが嫌いみたいだ。
「じゃぁ…今日からよろしくねボクちんの蓮きゅん。」
そういって恭さんは電気の部屋を消し扉の奥に消えていった。
窓がないこの部屋は真っ暗になる。
扉の一つは出入口で一つはシャワー室だった。鎖の距離的に出入り口だけは絶対に届かないようになってる設計の部屋は明らかに監禁用の部屋だった。
薬によって強制的に発情させられ、薬が切れたことで発情が終わったばかりの体はまだ火照っているからか、何も着ていないけれど寒さは感じなかった。エアコンの風が出るところもあるので部屋の中は裸でも快適に過ごせる温度になってるようだった。
これ以上動けないほど重い体にタオルケットをかけてまるまって考える。
もし、恭さんが好きな兄さんになり切れたら彼は愛してくれるのだろうか。
もし、恭さんが望むような兄さんになったら僕は幸せになれるのだろうか。
…僕が恭さんを愛せればきっと彼は「蓮」を愛してくれる。
でもそれで僕は本当にいいのかわからないまま、落ちてくる瞼に逆らえず眠りについた。
「ここっ…どこっ!!」
オーナーに会って飲み物を飲んだ後からの記憶がない…。
重い体に鞭を打って立ち上がろうとすると、じゃらじゃらと金属の鎖がぶつかった音がした。
音がする方を見ると、鎖が首と両手足に付いていた。まるで奴隷のように。
それに…裸になっていた。着てきた服はどこにも見当たらない。
白を基調とした部屋は窓もなくベッドと机といすだけ。
扉は2つあるけど1つは鎖の長さ的に届かなさそうだった。
「目が覚めたんだね、蓮きゅん。」
バンっと目の前にあった扉が勢いよく開き、オーナーが入ってくる。
蓮は僕じゃない。僕は杏だ。
そもそもなんで連の名前を知ってる…??
今日?昨日?…出会ったばっかりのオーナーが知っているのはおかしい。
「僕は蓮じゃ…ないです。」
「うん?知ってるよ。僕は昔から蓮きゅんが大好きだったんだ。君は…イラナイ方だよね。でも、ボクちん頭いいからひらめいちゃったわけ。君は蓮きゅんと顔だけは似てるよね。しかも、Ωでちょうど売られてきた…。ボクちんの蓮きゅんになるため…ってことだよね?神様はボクちんが、いかにがんばりものなのかちゃんと見てるからプレゼントをくれたんだよね。うんうん。」
兄さんのストーカーだったってこと…!?
僕は身代わりの人形?お母さんはこのことを知っていてここに僕を売ったの?僕がオーナーに売れるってわかっていたから?
分からないことだらけ。全部僕のおバカな頭じゃ解決できないこと。
考えている間もオーナーは後ろを向いてずっと準備らしきことをしている。
静かな空間に響くわずかにこすれる物音が怖い。
「ってことでまぁずはボクちんの番になってもらうためにお薬を飲んでもらいましょーね。」
振り返りながらオーナーはそういった。
薬……!?!?こわ…い…。 ガチガチと音を鳴らして震える歯がオーナーの指をかんでしまった。
「いったいなぁ。抵抗するわるいこにはお仕置きしないと。」
そういってオーナーは僕の口の中に無理やり指を突っ込んできた。
鼻をつまれて息がうまくできなくなり口もふさがれ薬を飲みこむ。
「いいかい?君は今日から蓮君でボクちんのことは恭さんとよぶんだよ。君がイイコでいてさえくれればボクちんは君をたぁんと可愛がってあげるからね。」
あぁ、これは頭が悪い僕でもわかる。
悪夢の始まりだ。
薬が効いた僕は体がまるで溶けてしまったかのような感覚で四つん這いに必死になりながら叫ぶように声を出していた。
「ごめん…なざい。もう…もう、ゆるじでぐだざい。」
涙なのか鼻水なのかよだれなのかわからないくらい混ざった体液が顔から流れる。
初めての発情期とセックスは痛くはないもののわからないことだらけで謝ることしかできなかった。
僕の後ろで腰を振り快楽を得ているこの男こそが涙と鼻水とよだれの原因である。
「蓮きゅん、もうわかったよね?誰が君の番なのか。」
「ぎょう…ぎょうざんでず。」
「少しでも反抗したら、今度はもっとひどいことちゃうかもしれないからきおつけるんだよ?」
「はい…わかり…まじだ。」
先ほど番うために外された首輪をまた付けられる。
重い鎖とこの首輪は僕の体力も奪う。
腰を振られるたびにガチャガチャとなりたまに鞭を打つようにあたる鎖は怖かった。
(僕…死ぬのかなぁ…。)
僕の命は恭さんが握っている。
オーナーだからとかじゃなくて番として本能的に感じている。きっと僕はこの人に捨てられた命を捨てるのだろう。僕自身はこんな行為したくないのに体は…本能は、そうじゃない。
番との行為がしたくてたまらなくなってしまう。
Ωが家畜と同等にみられることが多いのはきっとこういうところからなのだろう。
僕はそんな風に消えたかったわけじゃないのに、神様はとことん僕のことが嫌いみたいだ。
「じゃぁ…今日からよろしくねボクちんの蓮きゅん。」
そういって恭さんは電気の部屋を消し扉の奥に消えていった。
窓がないこの部屋は真っ暗になる。
扉の一つは出入口で一つはシャワー室だった。鎖の距離的に出入り口だけは絶対に届かないようになってる設計の部屋は明らかに監禁用の部屋だった。
薬によって強制的に発情させられ、薬が切れたことで発情が終わったばかりの体はまだ火照っているからか、何も着ていないけれど寒さは感じなかった。エアコンの風が出るところもあるので部屋の中は裸でも快適に過ごせる温度になってるようだった。
これ以上動けないほど重い体にタオルケットをかけてまるまって考える。
もし、恭さんが好きな兄さんになり切れたら彼は愛してくれるのだろうか。
もし、恭さんが望むような兄さんになったら僕は幸せになれるのだろうか。
…僕が恭さんを愛せればきっと彼は「蓮」を愛してくれる。
でもそれで僕は本当にいいのかわからないまま、落ちてくる瞼に逆らえず眠りについた。
11
お気に入りに追加
501
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
組長と俺の話
性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話
え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある?
( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい
1日1話かけたらいいな〜(他人事)
面白かったら、是非コメントをお願いします!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
噛痕に思う
阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。
✿オメガバースもの掌編二本作。
(『ride』は2021年3月28日に追加します)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる