人質同然だったのに何故か普通の私が一目惚れされて溺愛されてしまいました

ツヅミツヅ

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 第4妾妃のハリラ様が亡くなった。
 自殺だそうだ。

 ご挨拶した時の印象は退紅色の長い髪が光沢を持っていて美しいのと、笑いかけて下さる時の朗らかな雰囲気にとても好感が持てた。

「イルモとヨルシムは昨日の事件何か知ってるの?」

 イルモが笑いながら答える。
「俺は非番だったからなぁ。プストで大酒喰らってたよ」
「ヨルシムは当直だった?」
 ヨルシムに訊ねる。
「あぁ、当直だったけど現場は見てないよ。
 でも他の奴らから聞いた話だと、
 ちょっと前からぶつぶつ言いながら歩いてたらしいぞ」

「ちょっと前ってどの位?」
 ヨルシムは頭を掻きながら言った。
「2日ほど前から様子がおかしかったらしいんだ。大体姫さん以外の陛下のお妃様は常に侍女達を連れて歩いてるんだが、
 1人きりでフラフラ歩いてる所を見た奴らがいるな」

 腕組みをして、考え込む。
「それって何かおかしな薬草とか使ってたのかしら?」
 イルモが言う。
「衛兵仲間に中毒者を見た事がある奴がいるんだが、ちょうど妾妃様みたいな感じだったらしいぞ」
 私は頷く。
「そうよね。どんなに考えても麻薬よね……」
 ヨルシムが言う。
「でも部屋からは何も出てないってさ。あんなもんは煙自分から吸う以外に摂り様がないもんな」
 噛む物は自分の意思で結構しっかり噛まないと麻薬の成分が滲み出て来ない。
 それか、無理に摂取させるなら狭い部屋に閉じ込めて煙を吸わせるしかない。

 私は腕組みをしたまま右手を口元に添える。
「妾妃を無理矢理閉じ込めて煙を吸わせるなんて難しいわね……」

 何か引っかかるものがあるけど今ひとつピンと来ない……
 大事な事を忘れてる気がする……。

「姫さん、こりゃ自殺だぞ?もうそう片付いてるからな?」
 ヨルシムが念を押す。
「わかってるわよ」
 ヨルシムの目が見れない。
「絶対わかってないな」
 イルモが言い重ねる。
「そんな事ないわよ」
「余計な事に首突っ込んで危ない目に遭っても知らないぞ?」
 ヨルシムが真剣に念を押す。
「俺らがいる所なら守ってやるんだがよ?非番の日はどうしようもねえからな」
 イルモが言う。

 2人とも心配してくれてるみたいで嬉しい。

 でももし誰かに殺されたなら、きっとハリラ様はとても無念だった事だろう。
 やっぱり真実はちゃんとはっきりさせておかないと。

 とにかく情報収集ね。

 私は2人と別れて、
 ハリラ様の死亡した現場へ向かってみる。
 3階の王の間から後宮に続く廊下にあるバルコニーは大きな庭園を見渡せる。
 欄干は波打っていて腰までの位置の所もあって少し低い箇所がある。
 下は石畳になっているから怪我じゃ済まないだろう。
 ハリラ様はここから転落した。

「……何であんたがここにいるのよ……」
 バルコニーの下を眺めていたら後ろから声がかかった。

 振り返ると第一妾妃のエルシー・ユーリア・マルッティネン様がいた。
 依然ご挨拶して頂いた時の強気な瞳は、どこか異常な光を放っていた。
 それと髪色に合わせた様な深紅の口紅がなんとなく目を引いた。

「マルッティネン様……」

「あんたなんて消えればいいのに‼︎」
 唐突に大声で捲し立てる。
「あんたが来なければ陛下は今まで通り誰のものにもならずにいたのに!
 あんたが来なければ、あの方が誰かを愛する所なんて見ずに済んだのに‼︎」

 あまりの剣幕とあまりの目の異常さに、
 只事じゃない事を察する。

 マルッティネン様が、私に向かって来た。
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