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37、初メテ。 ※
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夜になり、歩き疲れた二人はパークの閉園を待たずにホテルに戻って、食事を摂った。ホテルのディナーは本格的なフルコースでこんな風に改まったディナーは初めての事で美優は少し緊張した。
「私、フルコースなんて初めてかも」
「そうなんだ。こういう感じのお店も記念日とかには行こうね。ファロルも美味しいけどあそこは野次馬達が五月蠅いから」
少し突き放した様にそう言った壱弥は、手前にあったワイングラスを手に取って赤ワインを味わった。
「でも私、ファロルが一番好きだよ? やっぱり湊士さんのお料理ホントに美味しいし気軽に行けるのもいいし」
「そうだね。普段はあそこでいいよね。ただ、二人で行くとなると車で行かなきゃいけないから呑めないんだよね。そうなると誰かと乗り合って行こうってなって、結局皆で行く事になるんだ」
壱弥は少しうんざりとした様子で言うとコースの肉料理を小さくナイフとフォークで切り分けて、口に運んだ。
「でも、皆で行く方が楽しいと思うよ?」
「俺は美優ちゃんと二人きりがいい」
「……私も壱弥君と二人きりでも凄く楽しいよ?」
美優も同じ様に柔らかく焼きあがったヒレ肉を小さく切り分けて上品にかけられたソースを少しつけて味わった。
「このお肉柔らかくて美味しいね」
「そうだね。ここのフルコース評判良かったから食べてみたかったんだよね。これは正解」
その後も二人はコースを堪能して食事を済ませると、ホテルの部屋へと戻る。
その部屋は美優がSNSで泊まりたいと言っていたちょっとお姫様気分の味わえる、可愛い装飾の施されたコンセプトルームだった。
部屋に入った時は本当に驚いたし、感激した。
「……ホントにこの部屋可愛いね。こういう部屋憧れてたから嬉しい」
「よかった。美優ちゃんが喜んでくれて」
ゆったりとした大きなジャグジー付のバスルームで、のんびりとお風呂に入り、部屋でまったりとしながら二人は夜景の見渡せるソファーで向かい合っていた。
「あのね、壱弥君、私、今年の誕生日こんな風な気持ちで過ごせると思ってなかったの」
美優はグラスの中のシードルの気泡の行方を眺めながら独白の様に呟いた。
壱弥はそんな美優をじっと見つめる。
「……去年の夏、お父さんとお母さんを病院で見た時、本当に何もかも無くしちゃった気分でいたの。でも、壱弥君がSNSでもこうしてリアルでもいっぱい助けてくれて、良くしてくれて、ホントに助けられたの」
美優は気泡から目を離して壱弥を振り返り、微笑む。
「ありがとう、壱弥君。私に出来る事なんて少ないし、頼りないとは思うんだけど、でもいつでも何でも言ってね? 絶対助けになるから」
「……美優ちゃん。卒業式の時のお願い事叶えてくれる約束、憶えてる?」
「うん、憶えてるよ」
「じゃあ、俺からのお願い聞いて?」
「うん、何?」
「……これからもずっと一緒にいて? 一生一緒にいて欲しいんだ」
「…………うん」
壱弥は破顔する。
「ホント? ずっと一緒にいてくれる?」
「……うん。壱弥君が望んでくれるなら」
壱弥は正面の壁の高い位置にあった時計を見上げた。
「……、丁度、0時だね。お誕生日おめでとう、美優ちゃん」
壱弥は席を立って、ウォークインクローゼットまで歩み、ほんの少しして出てくると、ソファーの美優の前に跪いた。
「ね、これ、趣味に合うかわからないけど、受け取って欲しいんだ」
青いベルベットの小さな箱を差し出して、その箱を開けた。
そこにはペアの流れる様なラインのピンキーリングが入っていた。女性用のリングを壱弥は取り出して、美優の手を取った。
そしてすっと指輪と小指にはめる。
美優はそのリングをまじまじと見つめた。それは先日自分でも壱弥とお揃いの指輪を買える、ギリギリの価格帯のものだとネットで検索して眺めていた物だった。
「え、どうして?」
「え? 何? 気に入らなかった?」
「ち、違うの。これ、こないだ壱弥君とお揃いで私でも買えるなって思ってたやつなの」
「え? そうなんだ? あんまり値段の張るものだったら美優ちゃん気にすると思ってお手頃なの選んだんだ」
「私がプレゼントしようと思ってたのにな。先越されちゃった」
「そっか、先越せてよかった。ね、美優ちゃん? 俺にも指輪はめて?」
「うん」
美優も男性用のピンキーリングを取り出して壱弥の小指にスッとはめた。
「またお揃いの物が増えたね。嬉しいよ」
壱弥ははめられた指輪に唇を寄せて、愛おしそうにそう呟いた。
壱弥の様子があまりにも嬉しそうなので美優は何か照れくさくなって、思わず上擦った声を上げた。
「い、壱弥君、明日も早くから回りたいし、そろそろ、寝ようか?」
「……うん、そうだね。寝よっか」
大きなクイーンサイズのダブルベッドに二人は両端から潜り込む。
そして間接照明を一つ残して部屋の明かりを消し眠りに着く。
「……ねえ、美優ちゃん?」
「……なあに?」
「好きだよ。ホントに好きなんだ……。俺には美優ちゃんしか、いないんだ」
「……ありがとう。私も壱弥君の事、好きだよ」
美優がそう答えると壱弥はガバリと美優の抱き寄せた。
突然こんな風に抱きしめられて、美優の頬は急激に紅潮して耳まで真っ赤だ。
「あ、あの、いちやくん……?」
壱弥はその美優の呼びかけを合図の様に美優の頬にキスをした。
そして額に、瞼に、そしてそっと唇に、キスをした。
「……えっと……、あの……」
美優は壱弥がいつもより熱を帯びてキスしている事がわかったので、戸惑い問いかけようとすると、次の瞬間美優に覆いかぶさった。
熱い瞳で美優を見つめる壱弥を見て、鼓動が早まって行くのを感じる。
しばらく見つめ合った後、壱弥が呟くように美優に問いかけた。
「……美優ちゃん……、抱いてもいい?」
そう問われて、美優は恥ずかしくなって、壱弥の視線から逃れる様に顔を背けた。
長い甘い沈黙が二人の間を過ぎって、
そして美優は少し涙目で返事をする。
「……………………いいよ……。あ、あのね、でもね」
「? 何?」
「あの、わ、私、こういう事、初めてなの……。それにその、何かおかしなトコがあるかもしれなくて……」
壱弥は驚いた表情で美優を見つめ返した。
「え? 美優ちゃん、だって、彼氏いたんでしょ? 初めてなの?」
「…………うん、あの、あのね。元カレとはその、そういう雰囲気になって、途中まではした事あるの……。でも上手くいかなくて……。それから気まずくなっちゃって、それで口きいてくれなくなって……、自然消滅しちゃったの」
壱弥は驚いた表情のまま、美優を見つめ続けている。
「あ、あのね、だから、私の身体、何かおかしい所があるかもしれないの……。だから……」
壱弥がポスリと美優の肩に頭を乗せた。
「……? 壱弥君?」
「……そうだったんだ……」
壱弥は美優の首元でそう呟くと、しばらく黙ってしまう。
「……あ、あの……」
突然顔を上げた壱弥は、いつもの様に微笑んでいた。
「美優ちゃん? 俺、失敗しないよ? それでも抱いていい?」
「…………うん…………」
涙目になりながら、消え入る様な声でやっと返事をした美優に、壱弥は優しい瞳を向ける。
頬を優しく撫でて、顎を引き上げる。
壱弥は美優の唇に自らの唇を重ねた。
壱弥の舌が優しく美優の口腔内に侵入してくる。
初めて元カレとそんなキスをした時はお互い初めて同士でぎこちなかったが、壱弥がするキスは何とも優しく心地がいい。
壱弥が唇を離して美優を見つめて語り掛ける様に言った。
「ねえ、美優って呼んでいい?」
「……うん、いいよ」
「じゃあ、俺の事も壱弥って呼んで?」
「……うん、壱弥……」
「大好きだよ。美優……。俺のするのと同じ様に舌、絡めて来て?」
そう言うと、また美優の唇に優しく口づける。
そして先程よりも少しだけ大胆に、舌を這わせてきた。
それに応える様に美優も壱弥の真似をして、舌を動かしてみる。
二人は長く長く互いの唇を味わう様に絡め合わせ、抱きしめ合った。
しばらくすると壱弥は美優のバスローブの腰紐を器用に解く。
キスを続けたまま、壱弥は美優のバスローブのはだけた全身を優しく愛撫し、美優の緊張を解していった。
唇を再び離した壱弥は美優の耳元に唇を寄せて囁く。
「美優……、凄く可愛い。綺麗だ」
その甘い囁きに美優は涙で瞳を潤ませながら、紅潮した顔を壱弥に向けた。
「あ、あのね? 私、変なトコない……?」
「ん? どうして?」
「……元カレと上手く出来なかったの、私の身体がどこか変なのかと思って……、ずっと気にしてたの……」
「そっか……。変じゃないよ? 上手くいかないのは初めて同士のあるあるだから。美優のせいじゃないよ?」
「……よかった……」
「美優、少し背中浮かせて? ブラ取りたい」
「う、うん……」
壱弥の指示通り、少し背中を浮かせると、壱弥は片手で簡単にホックを取ってしまう。
はらりと胸が楽になって、ブラ紐をするりと肩から外されて、美優の大きな胸が露わになった。
それを慌てて腕で胸を寄せる様に隠した。
「美優、着痩せするタイプなんだね。凄く可愛い。隠さないで?」
壱弥は優しく美優の両手首を掴んで、その腕を胸から離した。
たわわな美優の白い胸には可愛いピンク色の小さな実が先端にほんの少し勃っていた。
壱弥は美優の手首から吸い寄せられる様に美優の大きな膨らみを優しく掴み、揉み解す。
「……ふ……っ……、ん…………」
じっくりと時間をかけて壱弥は美優のその白く大きな膨らみを揉み解した後、優しく先端のピンク色の果実を口に含んだ。
「あ……、ん……」
美優はなんだかくすぐったい様なもぞもぞとする様なよくわからない感覚に声が漏れるのが我慢出来ずに恥ずかしくて、必死に左手でシーツを握り、右手は背けられた顔の口許に添えた。
人差し指の指背を噛んで我慢しようとすると、壱弥が美優の右手をベッドのシーツの上に連れて行き、指を絡めて繋いでしまう。
「美優? 噛んじゃダメ」
「で、でも……変な声出ちゃって……恥ずかしい……」
「ううん。その声可愛いよ? もっと聞かせて?」
「ダメ……。恥ずかしいよ……」
「ホントに可愛いよ、美優……」
うっとりとした瞳で美優を見つめた壱弥は、絡め繋いだ手の平に力をぎゅっと込めて再び美優にキスをした。
さきほどよりももっと濃密なキスを交わす。その間に壱弥の指は美優のショーツへとゆっくりと這っていく。
ショーツの上から小さな秘丘を優しく弄られて、美優はやはりもぞもぞとした、くすぐったい様な、何か焦れる様な切ない様な今まで経験した事のない感覚に見舞われて、ぎゅっと壱弥の握る手を握り返した。
塞がれた唇からやはり声が漏れてしまう。
「……ん゛……んん゛……」
じんわりと壱弥の触れる所から熱を感じる様になってきた頃、壱弥の手が優しくショーツの中に入れられて、美優の秘部にそっと触れられた。
「ん……、んふぅ…………」
壱弥の指先は美優の芯芽にを弄り、その度に美優は何かわからない腰が浮いてしまうようなジワリとした感覚が押し寄せて、壱弥とのキスに応えていられなくなる。
壱弥は口づけをやめると、美優に優しく声をかけた。
「痛かったりしない? 大丈夫?」
「……痛くないよ。でも何かムズムズする様な、ジンジンする様な、変な感じで……」
「良かった……。感じてるんだね」
壱弥にそう言われて初めてこの感覚が感じているのだという事に気が付いて、急激に恥ずかしくなって、壱弥から顔を背ける。
「美優、耳まで真っ赤だ。ホントに可愛いよ」
壱弥は背けられた美優の頬を優しく撫でると、その耳輪に唇を寄せる。美優は感じてるのと同じ感覚を耳に感じて肩を竦める。
壱弥の唇は美優の真っ赤になってしまった耳輪を食み、そのまま舌を耳朶にまで這わせる。
壱弥が与えた刺激はゾワゾワとした感覚になって美優の全身を竦めさせた。
これが感じるって事なのか……と美優は初めての感覚に名前がついて少しホッとしたような心持ちになりながら、壱弥の顔を見た。
目が合うと壱弥は本当に大事な物を愛でる様に美優の頬を更に撫でて、額に、瞼に、そしてまた唇に優しくキスを落とした。
「私、フルコースなんて初めてかも」
「そうなんだ。こういう感じのお店も記念日とかには行こうね。ファロルも美味しいけどあそこは野次馬達が五月蠅いから」
少し突き放した様にそう言った壱弥は、手前にあったワイングラスを手に取って赤ワインを味わった。
「でも私、ファロルが一番好きだよ? やっぱり湊士さんのお料理ホントに美味しいし気軽に行けるのもいいし」
「そうだね。普段はあそこでいいよね。ただ、二人で行くとなると車で行かなきゃいけないから呑めないんだよね。そうなると誰かと乗り合って行こうってなって、結局皆で行く事になるんだ」
壱弥は少しうんざりとした様子で言うとコースの肉料理を小さくナイフとフォークで切り分けて、口に運んだ。
「でも、皆で行く方が楽しいと思うよ?」
「俺は美優ちゃんと二人きりがいい」
「……私も壱弥君と二人きりでも凄く楽しいよ?」
美優も同じ様に柔らかく焼きあがったヒレ肉を小さく切り分けて上品にかけられたソースを少しつけて味わった。
「このお肉柔らかくて美味しいね」
「そうだね。ここのフルコース評判良かったから食べてみたかったんだよね。これは正解」
その後も二人はコースを堪能して食事を済ませると、ホテルの部屋へと戻る。
その部屋は美優がSNSで泊まりたいと言っていたちょっとお姫様気分の味わえる、可愛い装飾の施されたコンセプトルームだった。
部屋に入った時は本当に驚いたし、感激した。
「……ホントにこの部屋可愛いね。こういう部屋憧れてたから嬉しい」
「よかった。美優ちゃんが喜んでくれて」
ゆったりとした大きなジャグジー付のバスルームで、のんびりとお風呂に入り、部屋でまったりとしながら二人は夜景の見渡せるソファーで向かい合っていた。
「あのね、壱弥君、私、今年の誕生日こんな風な気持ちで過ごせると思ってなかったの」
美優はグラスの中のシードルの気泡の行方を眺めながら独白の様に呟いた。
壱弥はそんな美優をじっと見つめる。
「……去年の夏、お父さんとお母さんを病院で見た時、本当に何もかも無くしちゃった気分でいたの。でも、壱弥君がSNSでもこうしてリアルでもいっぱい助けてくれて、良くしてくれて、ホントに助けられたの」
美優は気泡から目を離して壱弥を振り返り、微笑む。
「ありがとう、壱弥君。私に出来る事なんて少ないし、頼りないとは思うんだけど、でもいつでも何でも言ってね? 絶対助けになるから」
「……美優ちゃん。卒業式の時のお願い事叶えてくれる約束、憶えてる?」
「うん、憶えてるよ」
「じゃあ、俺からのお願い聞いて?」
「うん、何?」
「……これからもずっと一緒にいて? 一生一緒にいて欲しいんだ」
「…………うん」
壱弥は破顔する。
「ホント? ずっと一緒にいてくれる?」
「……うん。壱弥君が望んでくれるなら」
壱弥は正面の壁の高い位置にあった時計を見上げた。
「……、丁度、0時だね。お誕生日おめでとう、美優ちゃん」
壱弥は席を立って、ウォークインクローゼットまで歩み、ほんの少しして出てくると、ソファーの美優の前に跪いた。
「ね、これ、趣味に合うかわからないけど、受け取って欲しいんだ」
青いベルベットの小さな箱を差し出して、その箱を開けた。
そこにはペアの流れる様なラインのピンキーリングが入っていた。女性用のリングを壱弥は取り出して、美優の手を取った。
そしてすっと指輪と小指にはめる。
美優はそのリングをまじまじと見つめた。それは先日自分でも壱弥とお揃いの指輪を買える、ギリギリの価格帯のものだとネットで検索して眺めていた物だった。
「え、どうして?」
「え? 何? 気に入らなかった?」
「ち、違うの。これ、こないだ壱弥君とお揃いで私でも買えるなって思ってたやつなの」
「え? そうなんだ? あんまり値段の張るものだったら美優ちゃん気にすると思ってお手頃なの選んだんだ」
「私がプレゼントしようと思ってたのにな。先越されちゃった」
「そっか、先越せてよかった。ね、美優ちゃん? 俺にも指輪はめて?」
「うん」
美優も男性用のピンキーリングを取り出して壱弥の小指にスッとはめた。
「またお揃いの物が増えたね。嬉しいよ」
壱弥ははめられた指輪に唇を寄せて、愛おしそうにそう呟いた。
壱弥の様子があまりにも嬉しそうなので美優は何か照れくさくなって、思わず上擦った声を上げた。
「い、壱弥君、明日も早くから回りたいし、そろそろ、寝ようか?」
「……うん、そうだね。寝よっか」
大きなクイーンサイズのダブルベッドに二人は両端から潜り込む。
そして間接照明を一つ残して部屋の明かりを消し眠りに着く。
「……ねえ、美優ちゃん?」
「……なあに?」
「好きだよ。ホントに好きなんだ……。俺には美優ちゃんしか、いないんだ」
「……ありがとう。私も壱弥君の事、好きだよ」
美優がそう答えると壱弥はガバリと美優の抱き寄せた。
突然こんな風に抱きしめられて、美優の頬は急激に紅潮して耳まで真っ赤だ。
「あ、あの、いちやくん……?」
壱弥はその美優の呼びかけを合図の様に美優の頬にキスをした。
そして額に、瞼に、そしてそっと唇に、キスをした。
「……えっと……、あの……」
美優は壱弥がいつもより熱を帯びてキスしている事がわかったので、戸惑い問いかけようとすると、次の瞬間美優に覆いかぶさった。
熱い瞳で美優を見つめる壱弥を見て、鼓動が早まって行くのを感じる。
しばらく見つめ合った後、壱弥が呟くように美優に問いかけた。
「……美優ちゃん……、抱いてもいい?」
そう問われて、美優は恥ずかしくなって、壱弥の視線から逃れる様に顔を背けた。
長い甘い沈黙が二人の間を過ぎって、
そして美優は少し涙目で返事をする。
「……………………いいよ……。あ、あのね、でもね」
「? 何?」
「あの、わ、私、こういう事、初めてなの……。それにその、何かおかしなトコがあるかもしれなくて……」
壱弥は驚いた表情で美優を見つめ返した。
「え? 美優ちゃん、だって、彼氏いたんでしょ? 初めてなの?」
「…………うん、あの、あのね。元カレとはその、そういう雰囲気になって、途中まではした事あるの……。でも上手くいかなくて……。それから気まずくなっちゃって、それで口きいてくれなくなって……、自然消滅しちゃったの」
壱弥は驚いた表情のまま、美優を見つめ続けている。
「あ、あのね、だから、私の身体、何かおかしい所があるかもしれないの……。だから……」
壱弥がポスリと美優の肩に頭を乗せた。
「……? 壱弥君?」
「……そうだったんだ……」
壱弥は美優の首元でそう呟くと、しばらく黙ってしまう。
「……あ、あの……」
突然顔を上げた壱弥は、いつもの様に微笑んでいた。
「美優ちゃん? 俺、失敗しないよ? それでも抱いていい?」
「…………うん…………」
涙目になりながら、消え入る様な声でやっと返事をした美優に、壱弥は優しい瞳を向ける。
頬を優しく撫でて、顎を引き上げる。
壱弥は美優の唇に自らの唇を重ねた。
壱弥の舌が優しく美優の口腔内に侵入してくる。
初めて元カレとそんなキスをした時はお互い初めて同士でぎこちなかったが、壱弥がするキスは何とも優しく心地がいい。
壱弥が唇を離して美優を見つめて語り掛ける様に言った。
「ねえ、美優って呼んでいい?」
「……うん、いいよ」
「じゃあ、俺の事も壱弥って呼んで?」
「……うん、壱弥……」
「大好きだよ。美優……。俺のするのと同じ様に舌、絡めて来て?」
そう言うと、また美優の唇に優しく口づける。
そして先程よりも少しだけ大胆に、舌を這わせてきた。
それに応える様に美優も壱弥の真似をして、舌を動かしてみる。
二人は長く長く互いの唇を味わう様に絡め合わせ、抱きしめ合った。
しばらくすると壱弥は美優のバスローブの腰紐を器用に解く。
キスを続けたまま、壱弥は美優のバスローブのはだけた全身を優しく愛撫し、美優の緊張を解していった。
唇を再び離した壱弥は美優の耳元に唇を寄せて囁く。
「美優……、凄く可愛い。綺麗だ」
その甘い囁きに美優は涙で瞳を潤ませながら、紅潮した顔を壱弥に向けた。
「あ、あのね? 私、変なトコない……?」
「ん? どうして?」
「……元カレと上手く出来なかったの、私の身体がどこか変なのかと思って……、ずっと気にしてたの……」
「そっか……。変じゃないよ? 上手くいかないのは初めて同士のあるあるだから。美優のせいじゃないよ?」
「……よかった……」
「美優、少し背中浮かせて? ブラ取りたい」
「う、うん……」
壱弥の指示通り、少し背中を浮かせると、壱弥は片手で簡単にホックを取ってしまう。
はらりと胸が楽になって、ブラ紐をするりと肩から外されて、美優の大きな胸が露わになった。
それを慌てて腕で胸を寄せる様に隠した。
「美優、着痩せするタイプなんだね。凄く可愛い。隠さないで?」
壱弥は優しく美優の両手首を掴んで、その腕を胸から離した。
たわわな美優の白い胸には可愛いピンク色の小さな実が先端にほんの少し勃っていた。
壱弥は美優の手首から吸い寄せられる様に美優の大きな膨らみを優しく掴み、揉み解す。
「……ふ……っ……、ん…………」
じっくりと時間をかけて壱弥は美優のその白く大きな膨らみを揉み解した後、優しく先端のピンク色の果実を口に含んだ。
「あ……、ん……」
美優はなんだかくすぐったい様なもぞもぞとする様なよくわからない感覚に声が漏れるのが我慢出来ずに恥ずかしくて、必死に左手でシーツを握り、右手は背けられた顔の口許に添えた。
人差し指の指背を噛んで我慢しようとすると、壱弥が美優の右手をベッドのシーツの上に連れて行き、指を絡めて繋いでしまう。
「美優? 噛んじゃダメ」
「で、でも……変な声出ちゃって……恥ずかしい……」
「ううん。その声可愛いよ? もっと聞かせて?」
「ダメ……。恥ずかしいよ……」
「ホントに可愛いよ、美優……」
うっとりとした瞳で美優を見つめた壱弥は、絡め繋いだ手の平に力をぎゅっと込めて再び美優にキスをした。
さきほどよりももっと濃密なキスを交わす。その間に壱弥の指は美優のショーツへとゆっくりと這っていく。
ショーツの上から小さな秘丘を優しく弄られて、美優はやはりもぞもぞとした、くすぐったい様な、何か焦れる様な切ない様な今まで経験した事のない感覚に見舞われて、ぎゅっと壱弥の握る手を握り返した。
塞がれた唇からやはり声が漏れてしまう。
「……ん゛……んん゛……」
じんわりと壱弥の触れる所から熱を感じる様になってきた頃、壱弥の手が優しくショーツの中に入れられて、美優の秘部にそっと触れられた。
「ん……、んふぅ…………」
壱弥の指先は美優の芯芽にを弄り、その度に美優は何かわからない腰が浮いてしまうようなジワリとした感覚が押し寄せて、壱弥とのキスに応えていられなくなる。
壱弥は口づけをやめると、美優に優しく声をかけた。
「痛かったりしない? 大丈夫?」
「……痛くないよ。でも何かムズムズする様な、ジンジンする様な、変な感じで……」
「良かった……。感じてるんだね」
壱弥にそう言われて初めてこの感覚が感じているのだという事に気が付いて、急激に恥ずかしくなって、壱弥から顔を背ける。
「美優、耳まで真っ赤だ。ホントに可愛いよ」
壱弥は背けられた美優の頬を優しく撫でると、その耳輪に唇を寄せる。美優は感じてるのと同じ感覚を耳に感じて肩を竦める。
壱弥の唇は美優の真っ赤になってしまった耳輪を食み、そのまま舌を耳朶にまで這わせる。
壱弥が与えた刺激はゾワゾワとした感覚になって美優の全身を竦めさせた。
これが感じるって事なのか……と美優は初めての感覚に名前がついて少しホッとしたような心持ちになりながら、壱弥の顔を見た。
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