あなたにおすすめの小説
命の音が聴こえない
月森優月
現代文学
何も聞こえない。私の世界から音が消えた。
その理由が精神的なものだなんて、認めたくなかった。
「生きてる意味ってあるのかな」
心の中で声が聞こえる。それは本当に私の声なのだろうか。
心の奥に眠る、かすかな命の音。
その音に気付いた時、私の世界は少しずつ動き出す。
これは、何も聞こえない世界で足掻く少女の再生の物語。
蘭癖高家
八島唯
歴史・時代
一八世紀末、日本では浅間山が大噴火をおこし天明の大飢饉が発生する。当時の権力者田沼意次は一〇代将軍家治の急死とともに失脚し、その後松平定信が老中首座に就任する。
遠く離れたフランスでは革命の意気が揚がる。ロシアは積極的に蝦夷地への進出を進めており、遠くない未来ヨーロッパの船が日本にやってくることが予想された。
時ここに至り、老中松平定信は消極的であるとはいえ、外国への備えを画策する。
大権現家康公の秘中の秘、後に『蘭癖高家』と呼ばれる旗本を登用することを――
※挿絵はAI作成です。
WEAK SELF.
若松だんご
歴史・時代
かつて、一人の年若い皇子がいた。
時の帝の第三子。
容姿に優れ、文武に秀でた才ある人物。
自由闊達で、何事にも縛られない性格。
誰からも慕われ、将来を嘱望されていた。
皇子の母方の祖父は天智天皇。皇子の父は天武天皇。
皇子の名を、「大津」という。
かつて祖父が造った都、淡海大津宮。祖父は孫皇子の資質に期待し、宮号を名として授けた。
壬申の乱後、帝位に就いた父親からは、その能力故に政の扶けとなることを命じられた。
父の皇后で、実の叔母からは、その人望を異母兄の皇位継承を阻む障害として疎んじられた。
皇子は願う。自分と周りの者の平穏を。
争いたくない。普通に暮らしたいだけなんだ。幸せになりたいだけなんだ。
幼い頃に母を亡くし、父と疎遠なまま育った皇子。長じてからは、姉とも引き離され、冷たい父の元で暮らした。
愛してほしかった。愛されたかった。愛したかった。
愛を求めて、周囲から期待される「皇子」を演じた青年。
だが、彼に流れる血は、彼を望まぬ未来へと押しやっていく。
ーー父についていくとはどういうことか、覚えておけ。
壬申の乱で散った叔父、大友皇子の残した言葉。その言葉が二十歳になった大津に重く、深く突き刺さる。
遠い昔、強く弱く生きた一人の青年の物語。
―――――――
weak self=弱い自分。
欲望
♚ゆめのん♚
現代文学
主人公、橘 凛(たちばな りん)【21歳】は祖父母が営んでいる新宿・歌舞伎町の喫茶店勤務。
両親を大学受験の合否発表の日に何者かに殺されて以来、犯人を、探し続けている。
そこに常連イケおじホストの大我が刺されたという話が舞い込んでくる。
両親の事件と似た状況だった。
新宿を舞台にした欲望にまみれた愛とサスペンス物語。
世界の端に舞う雪
秋初夏生(あきは なつき)
現代文学
雪が降る夜、駅のホームで僕は彼女に出会った
まるで雪の精のように、ふわりと現れ、消えていった少女──
静かな夜の駅で、心をふっと温める、少し不思議で儚い物語

交番とあとそれと…
suepi2007
現代文学
曲がったことが嫌いで、ルール遵守の新人警官の御幸一(みゆき はじめ)が日々のパトロールの中で出会う人との関わりの中で、何を考え、何を思い、どう変わっていくのか…!