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第参章 縁
参
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藤五郎の家を後にして、墨田の川端を腕組みしながら、北川はてくてくと歩いていた。
ブツブツとつぶやきながら。
「さぁて、これをどのようにして……」
北川は悩んでいた。
この心根の優しい男としては、二人に知らせずに二人の事を嗅ぎ回ったのが心苦しくてならない。そしてまた、美代という人間をよく知るこの男は、美代がすでに、北川の行動を見通しているだろう事も、うすうす感づいていた。
「隠しておけ……ねぇよな」
北川にしてみれば、利吉は偶然見つけ出した気の良い蕎麦屋。美代は、格好の知恵袋である。
ここで失いたくはない。
いや、もうすでに、北川にとって二人は、旨い蕎麦屋と頭の良い娘以上の繋がりがあるような気がしていた。
「古典的ではあるが……ゴマするってんでいこうかねぇ」
北川は、懐をさすった。
そこには、なんとも厚みのない財布が、寂しげに収まっている。ゴマをするには、少々心許ない。
「なんか良い金ずるでも歩いちゃいねぇかなぁ」
などと馬鹿な事を思い描いたその時、後ろから射すくめるような視線を感じた。
しかし、北川は歩くのをやめない。
北川とて、それなりに場数を踏んだ男である。視線を感じてすぐさまそれに気づいた風をみせるようなうかつさは、とうの昔に捨てていた。
……にしても、こりゃ良くねぇ感じだなぁ……。
視線は、北川の斜め後ろから注がれている。
剣客の一面をも持ち合わせる北川には、それに冷たい殺気がこもっているような気がしていた。しかも、それなりに危険な感じだ。
どうしたもんかねぇ。
時は、夕日傾き残照消えやらんとする逢魔が時。
とは、いえ、ここは江戸、朱引きの内とくれば、こんな時間であろうとも人通りは少なくない。いくら何でも、こんな所で斬り合いにでも発展したら、後々厄介だ。
いってぇ、だれだ?
北川は、記憶の糸を、そこら中からたぐり寄せてみた。
たぐってたぐって、たぐり尽くしてでた答えは。
「多すぎて見当もつかねぇ……仕事柄なぁ」
であった。因果な商売である。
……仕方がねぇ。振り向いてみるか……。
そう心に決めて、北川は、前ふりなしに振り向いた。
「あいつだな」
その瞬間、一組の女連れが、草陰に飛び込む小動物のように、板塀の向うに消えた。
「逃がしてなるかい」
ぱっと見た感じでは、侍ではなかったように思われる。
ならば斬り合いになる事もなかろう。
そう踏んだ北川は、思いがけず速い足で、陰の消えた板塀のところまで駆け寄った。
すると、そこにいたのは。
「えっと……お前は……」
誰だ?
「ああ、湊屋じゃねぇか!」
そう言われたその男は、面目なさそうに顔を上げ「へぇ、お久しぶりで」とか細い声で答えた。
隣の女は、きょとんとしている。
いい女だった。
「おい、隠れることはあるまい、俺とお前の仲であろう?」
確かに、浅からぬ仲である。
自らの娘をかどわかし、狂言で大名の縁続きに一杯食わそうとした。あの湊屋であるのだから。しかし、当の本人は、迷惑も甚だしいのではあろうが。
「お内儀と、娘は元気か?」
こういう事を聞くのが、北川の性根の悪い所である。
なにせ北川は、湊屋の内儀と娘がすでに家を出て行ってしまっている事を、先刻承知なのであるから。
しかし湊屋は、そんな北川の問いに、少しばかり得意げに答えた。
「こっちは、後添いのお由美です」
なんてぇこった。
北川はあきれた。
この男が女房子供に愛想を尽かされてから、まだ季節も変わらないというのに、もう後添いが決まっていることにである。しかも、前の内儀もそれなりに美人ではあったが、今度もまた輪をかけていい女と来ている。
少々特徴のない顔であるが……な。
「ほぉ、金持ちとは、もてるものだな」
北川は素直にそう言った。
素直に、うらやんだ。
「いえいえ、それほどでもございませんよ」
湊屋と来たら、先ほどまでの怯えた様子とはうってかわって、嫌らしい目つきでニタニタとしている。
それがなんとも憎らしい。
と、そこでひらめいた。
「おう湊屋、そう言えばおめぇに用事があったのよ。どうだい、そこの茶屋で一杯やりながら、願いを聞いちゃくれねぇかい」
急に口調が変わる。よくない事を思いついた証である。
すると湊屋は、そんな北川の思惑に気づいたのか、急に表情を曇らせた。
何やら、下賎の者でも見る目つきである。
……露骨だねぇ。
ま、やる事の品は、確かによかねぇがな。
「催促でございますね。何を催促なさいますのかは存じませんが、それならばこの場ですましていただいて結構です」
さすがに、たかりとはいわねぇか。とはいえ、話が早くて結構だ。
「そうかい、じゃあ遠慮なしに言わせてもらうがね」
そういって北川は、腕組みをして思案する。
さてと……とびきりのごますりだ、中途半端じゃいけねぇよな……かかりは人の懐だしな。
「おめぇ、秋葉亭って知ってるかい?」
北川の問いに、湊屋は一瞬放心して「秋葉亭……で、ございますか?」と問い返した。
「ああ、そうだよ、日本橋の料亭の、秋葉亭だ」
有名な店である。
名の通った大店か、もしくは相当なお大尽でないとその敷居をまたげないと評判の、豪勢な料亭の名だ。
「ああ、それでしたら存じ上げておりますよ、もちろん。懇意にさせていただいております」
さすがは湊屋、筋が良い。
「そうかい、まぁ知っているとは思っていたがな。で、そこでな一席設けてもらえねぇかと思ってよ」
湊屋は、まだ全体がつかめていないのか、不思議な顔をしている。
「北川様とわたくしで……でございますか?」
「馬鹿言っちゃいけねぇよ」
北川は笑い飛ばした。
「おめぇと一席相手する義理はねぇし、おめぇもいやだろう」
これには湊屋も、大いに頷く。遠慮なしに、大肯定だ。
「そうじゃなくてだな、ちょっとした客をもてなすんで、おめぇの方でそのかかりを持ってもらえねぇかと思ってな」
「ああ、そうでございますか」湊屋はあからさまにほっとした顔で、続ける。
「そのくらいの事でございましたら、何の造作もございません。で、ご同席はどういった筋の方で?」
いやはや、秋葉亭のかかりを、造作もない、とはね……。
生きている内に、そんな黄金の舞うようなかかりを「そんな事」なんぞと言ってみたい気もするが、まあ、でも、貧乏でいる内は金持ちって生き物とは、どうにも仲良くなれそうにねぇ。
「それがな、そんじょそこらの素っ町人でな」
「へぇ、でもそれでしたら、秋葉亭の敷居はまたげないものと存じますが」
あ、ちげぇねぇ。
北川は少し首をひねり、そして提案した。
「なるほどな、たしかにあそこは、素っ町人の格好では無理だ……。じゃあ湊屋、こうしようや。お前の方で、男物のいいやつと、小娘用のいいやつを見繕っちゃくれないかい」
「お衣装をで、ございすか?」
「ああ、そうだ。なぁに、古着で良いんだ古着で、秋葉亭に入れるように形が付けばよいのだからな。おめぇの方で、そいつの家へ届けに行って、それで、日時やら何やらの細かい事も、そっちで伝えてくれねぇか?」
これならば、ゴマをするまで会わずにすむ。
北川は、自分の提案に心底ほっとした。
「はい、それではそう言う事で。では、その、お連れになられる方のお住まいの程を教えていただけますでしょうか?」
湊屋の問いに、北川は、利吉親子の住所を耳打ちした。
「へぇ、それならば我が家からも遠くはありませんし、お受けいたしましょう」
湊屋は、早口でそうまくしたてる。どうやら、一刻も早くこの場を離れたいらしい。
もちろん北川の側を離れたいという気持ちが強いのだろうが、先ほどから寄り添っている、後添いの方が少し焦れてきているのも、その理由のようだ。
「おう、俺の方にも、詳しい時がわかったら使いをよこせよ」
「へぃ、もちろんでございますとも」
湊屋はそう言うと、間髪入れずにきびすを返し、後添いの手を引いた。
「かえりますよ」
「はぃな」
北川は、後添いのその独特の語り口に、その女の出自の程を読み取った。
「なるほど、女郎上がりかい」
湊屋夫婦には聞こえぬように、北川がそう言うと、さすがは耳ざとい商人の湊屋は、振り返って北川を睨んだ。
北川は、慌てて視線をそらせてきびすを返す。
おぉおぉ、おっかねぇことで。
今度こそ聞こえぬようにつぶやいて、別れの挨拶も交わさずに、北川は歩き出す。
これで一応の算段はついた。後は、仕方がねぇ、真摯に頭を下げるのみ。士分としては情けのない事であるが、相手が利吉親子ならば、それもやすいというもの。
そんな事を考えながら、幾分か、北川の足取りも軽やかになっていた。
ただ、少し気がかりな事もある。
さっきの視線。あれは間違いなく、殺意を込めた穏やかでないモノだった。
湊屋のやつは、そこまで俺を憎んでいるのか。
そうつぶやいて、北川は夕闇に染まる空を見た。
因果な商売だな、毎度の事ではあるが。
北川は、頭をぽりぽりと掻きながら、すっかり暗くなった墨田沿いの道を、鼻歌を歌いながら家路を急いだ。
胃の腑の底で、腹の虫がなく。
北川の頭の中では、すでに、秋葉亭のごちそうが、ぐるぐると巡っていた。
ブツブツとつぶやきながら。
「さぁて、これをどのようにして……」
北川は悩んでいた。
この心根の優しい男としては、二人に知らせずに二人の事を嗅ぎ回ったのが心苦しくてならない。そしてまた、美代という人間をよく知るこの男は、美代がすでに、北川の行動を見通しているだろう事も、うすうす感づいていた。
「隠しておけ……ねぇよな」
北川にしてみれば、利吉は偶然見つけ出した気の良い蕎麦屋。美代は、格好の知恵袋である。
ここで失いたくはない。
いや、もうすでに、北川にとって二人は、旨い蕎麦屋と頭の良い娘以上の繋がりがあるような気がしていた。
「古典的ではあるが……ゴマするってんでいこうかねぇ」
北川は、懐をさすった。
そこには、なんとも厚みのない財布が、寂しげに収まっている。ゴマをするには、少々心許ない。
「なんか良い金ずるでも歩いちゃいねぇかなぁ」
などと馬鹿な事を思い描いたその時、後ろから射すくめるような視線を感じた。
しかし、北川は歩くのをやめない。
北川とて、それなりに場数を踏んだ男である。視線を感じてすぐさまそれに気づいた風をみせるようなうかつさは、とうの昔に捨てていた。
……にしても、こりゃ良くねぇ感じだなぁ……。
視線は、北川の斜め後ろから注がれている。
剣客の一面をも持ち合わせる北川には、それに冷たい殺気がこもっているような気がしていた。しかも、それなりに危険な感じだ。
どうしたもんかねぇ。
時は、夕日傾き残照消えやらんとする逢魔が時。
とは、いえ、ここは江戸、朱引きの内とくれば、こんな時間であろうとも人通りは少なくない。いくら何でも、こんな所で斬り合いにでも発展したら、後々厄介だ。
いってぇ、だれだ?
北川は、記憶の糸を、そこら中からたぐり寄せてみた。
たぐってたぐって、たぐり尽くしてでた答えは。
「多すぎて見当もつかねぇ……仕事柄なぁ」
であった。因果な商売である。
……仕方がねぇ。振り向いてみるか……。
そう心に決めて、北川は、前ふりなしに振り向いた。
「あいつだな」
その瞬間、一組の女連れが、草陰に飛び込む小動物のように、板塀の向うに消えた。
「逃がしてなるかい」
ぱっと見た感じでは、侍ではなかったように思われる。
ならば斬り合いになる事もなかろう。
そう踏んだ北川は、思いがけず速い足で、陰の消えた板塀のところまで駆け寄った。
すると、そこにいたのは。
「えっと……お前は……」
誰だ?
「ああ、湊屋じゃねぇか!」
そう言われたその男は、面目なさそうに顔を上げ「へぇ、お久しぶりで」とか細い声で答えた。
隣の女は、きょとんとしている。
いい女だった。
「おい、隠れることはあるまい、俺とお前の仲であろう?」
確かに、浅からぬ仲である。
自らの娘をかどわかし、狂言で大名の縁続きに一杯食わそうとした。あの湊屋であるのだから。しかし、当の本人は、迷惑も甚だしいのではあろうが。
「お内儀と、娘は元気か?」
こういう事を聞くのが、北川の性根の悪い所である。
なにせ北川は、湊屋の内儀と娘がすでに家を出て行ってしまっている事を、先刻承知なのであるから。
しかし湊屋は、そんな北川の問いに、少しばかり得意げに答えた。
「こっちは、後添いのお由美です」
なんてぇこった。
北川はあきれた。
この男が女房子供に愛想を尽かされてから、まだ季節も変わらないというのに、もう後添いが決まっていることにである。しかも、前の内儀もそれなりに美人ではあったが、今度もまた輪をかけていい女と来ている。
少々特徴のない顔であるが……な。
「ほぉ、金持ちとは、もてるものだな」
北川は素直にそう言った。
素直に、うらやんだ。
「いえいえ、それほどでもございませんよ」
湊屋と来たら、先ほどまでの怯えた様子とはうってかわって、嫌らしい目つきでニタニタとしている。
それがなんとも憎らしい。
と、そこでひらめいた。
「おう湊屋、そう言えばおめぇに用事があったのよ。どうだい、そこの茶屋で一杯やりながら、願いを聞いちゃくれねぇかい」
急に口調が変わる。よくない事を思いついた証である。
すると湊屋は、そんな北川の思惑に気づいたのか、急に表情を曇らせた。
何やら、下賎の者でも見る目つきである。
……露骨だねぇ。
ま、やる事の品は、確かによかねぇがな。
「催促でございますね。何を催促なさいますのかは存じませんが、それならばこの場ですましていただいて結構です」
さすがに、たかりとはいわねぇか。とはいえ、話が早くて結構だ。
「そうかい、じゃあ遠慮なしに言わせてもらうがね」
そういって北川は、腕組みをして思案する。
さてと……とびきりのごますりだ、中途半端じゃいけねぇよな……かかりは人の懐だしな。
「おめぇ、秋葉亭って知ってるかい?」
北川の問いに、湊屋は一瞬放心して「秋葉亭……で、ございますか?」と問い返した。
「ああ、そうだよ、日本橋の料亭の、秋葉亭だ」
有名な店である。
名の通った大店か、もしくは相当なお大尽でないとその敷居をまたげないと評判の、豪勢な料亭の名だ。
「ああ、それでしたら存じ上げておりますよ、もちろん。懇意にさせていただいております」
さすがは湊屋、筋が良い。
「そうかい、まぁ知っているとは思っていたがな。で、そこでな一席設けてもらえねぇかと思ってよ」
湊屋は、まだ全体がつかめていないのか、不思議な顔をしている。
「北川様とわたくしで……でございますか?」
「馬鹿言っちゃいけねぇよ」
北川は笑い飛ばした。
「おめぇと一席相手する義理はねぇし、おめぇもいやだろう」
これには湊屋も、大いに頷く。遠慮なしに、大肯定だ。
「そうじゃなくてだな、ちょっとした客をもてなすんで、おめぇの方でそのかかりを持ってもらえねぇかと思ってな」
「ああ、そうでございますか」湊屋はあからさまにほっとした顔で、続ける。
「そのくらいの事でございましたら、何の造作もございません。で、ご同席はどういった筋の方で?」
いやはや、秋葉亭のかかりを、造作もない、とはね……。
生きている内に、そんな黄金の舞うようなかかりを「そんな事」なんぞと言ってみたい気もするが、まあ、でも、貧乏でいる内は金持ちって生き物とは、どうにも仲良くなれそうにねぇ。
「それがな、そんじょそこらの素っ町人でな」
「へぇ、でもそれでしたら、秋葉亭の敷居はまたげないものと存じますが」
あ、ちげぇねぇ。
北川は少し首をひねり、そして提案した。
「なるほどな、たしかにあそこは、素っ町人の格好では無理だ……。じゃあ湊屋、こうしようや。お前の方で、男物のいいやつと、小娘用のいいやつを見繕っちゃくれないかい」
「お衣装をで、ございすか?」
「ああ、そうだ。なぁに、古着で良いんだ古着で、秋葉亭に入れるように形が付けばよいのだからな。おめぇの方で、そいつの家へ届けに行って、それで、日時やら何やらの細かい事も、そっちで伝えてくれねぇか?」
これならば、ゴマをするまで会わずにすむ。
北川は、自分の提案に心底ほっとした。
「はい、それではそう言う事で。では、その、お連れになられる方のお住まいの程を教えていただけますでしょうか?」
湊屋の問いに、北川は、利吉親子の住所を耳打ちした。
「へぇ、それならば我が家からも遠くはありませんし、お受けいたしましょう」
湊屋は、早口でそうまくしたてる。どうやら、一刻も早くこの場を離れたいらしい。
もちろん北川の側を離れたいという気持ちが強いのだろうが、先ほどから寄り添っている、後添いの方が少し焦れてきているのも、その理由のようだ。
「おう、俺の方にも、詳しい時がわかったら使いをよこせよ」
「へぃ、もちろんでございますとも」
湊屋はそう言うと、間髪入れずにきびすを返し、後添いの手を引いた。
「かえりますよ」
「はぃな」
北川は、後添いのその独特の語り口に、その女の出自の程を読み取った。
「なるほど、女郎上がりかい」
湊屋夫婦には聞こえぬように、北川がそう言うと、さすがは耳ざとい商人の湊屋は、振り返って北川を睨んだ。
北川は、慌てて視線をそらせてきびすを返す。
おぉおぉ、おっかねぇことで。
今度こそ聞こえぬようにつぶやいて、別れの挨拶も交わさずに、北川は歩き出す。
これで一応の算段はついた。後は、仕方がねぇ、真摯に頭を下げるのみ。士分としては情けのない事であるが、相手が利吉親子ならば、それもやすいというもの。
そんな事を考えながら、幾分か、北川の足取りも軽やかになっていた。
ただ、少し気がかりな事もある。
さっきの視線。あれは間違いなく、殺意を込めた穏やかでないモノだった。
湊屋のやつは、そこまで俺を憎んでいるのか。
そうつぶやいて、北川は夕闇に染まる空を見た。
因果な商売だな、毎度の事ではあるが。
北川は、頭をぽりぽりと掻きながら、すっかり暗くなった墨田沿いの道を、鼻歌を歌いながら家路を急いだ。
胃の腑の底で、腹の虫がなく。
北川の頭の中では、すでに、秋葉亭のごちそうが、ぐるぐると巡っていた。
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