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最強の番長×男装して不良しているお嬢様
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オレの住む街に県内トップの暴走族の総長がいる。『剣王(アーサー)』を率いる男、覇山だ。オレは今、街中で偶然出くわした覇山と睨み合っている。
「おめえか? 『真里愛(マリア)』の総長は」
「ああ、オレが真里愛のカズオだ」
オレ、カズオはその覇山と絶賛対立しているうちの一人だ。
「オレは絶対お前をぶっつぶしてやるよ!」
「てめえも俺を潰して県の天下を狙っている一人か?」
「はぁ? そっちじゃねえわ」
オレは覇山に自分の目的を語った。
「オレが勝ったら、オレの族の傘下に下れ! オレに従え! オレの目的はお前自身だ!」
「え?」
睨みながら叫んだオレに覇山とそばにいた数人の覇山の子分らは小さく驚く。
「それってどういう意味だ?」
「今は教えない。近いうちに教えてやる!」
オレは自分の子分らとその場を立ち去った。
※
「ふう……」
しばらく歩き、アジトにしているガレージに到着するとオレは持たれる。
「カズオさん、さっきのセリフはまさか……」
子分の一人がオレを見る。オレはだんだん顔を赤くする。
「うん! オレ、いや私……覇山に告白した!」
オレは特攻服を脱ぎ、ショートヘアのカツラを頭から取る。服の下は胸をサラシで潰し、髪は長いゆるふわの金髪が露わになる。
つまりオレ否、私、数尾美雪は男子として振る舞う女だ。
「よかったっすね! カズオさん、というかお嬢!」
「うん! 覇山はわかってない感じだけどオレにとっては告白だよ!」
オレは半年前、覇山に惚れて不良の世界に入った。男装して『真里愛』に入り頭角を出し総長になった。
「次の喧嘩で勝ったら……オレは女だと明かす。そして覇山をオレの男にする」
「あのー、カズオさんはなんで男のふりして不良やってるんすか? 普通に告白して付き合えばいいと思いますけど?」
子分の一人がオレに言った。オレは返す。
「……だって私、ずっと暴走族の世界に憧れていたのですもの! 覇山様のような素敵な殿方もいるのだなんて知ったらもういてもたってもいられず……ですが私は街の総合商社の令嬢、少しでも正体を隠すために殿方の恰好で暴走族の世界に入るしかなかったのです!」
オレは本来の女の口調で語る。オレはこれでもお嬢様だ。だから正体を隠して総長をしているのだ。
「確かにお嬢だってバレたらややこしいっすね。俺達、お嬢の秘密絶対守りますから」
「ありがとうございます。私必ず覇山様を手に入れてみせますわよ!」
オレと子分達は抗争と恋の勝利を誓うのだった。
※
「覇山さん! 『真里愛』のカズオは女らしいです!」
「ええ!? じゃああのセリフって……俺への告白!?」
覇山に女だとバレたと知らないカズオ総長もとい美雪お嬢様だった。
「おめえか? 『真里愛(マリア)』の総長は」
「ああ、オレが真里愛のカズオだ」
オレ、カズオはその覇山と絶賛対立しているうちの一人だ。
「オレは絶対お前をぶっつぶしてやるよ!」
「てめえも俺を潰して県の天下を狙っている一人か?」
「はぁ? そっちじゃねえわ」
オレは覇山に自分の目的を語った。
「オレが勝ったら、オレの族の傘下に下れ! オレに従え! オレの目的はお前自身だ!」
「え?」
睨みながら叫んだオレに覇山とそばにいた数人の覇山の子分らは小さく驚く。
「それってどういう意味だ?」
「今は教えない。近いうちに教えてやる!」
オレは自分の子分らとその場を立ち去った。
※
「ふう……」
しばらく歩き、アジトにしているガレージに到着するとオレは持たれる。
「カズオさん、さっきのセリフはまさか……」
子分の一人がオレを見る。オレはだんだん顔を赤くする。
「うん! オレ、いや私……覇山に告白した!」
オレは特攻服を脱ぎ、ショートヘアのカツラを頭から取る。服の下は胸をサラシで潰し、髪は長いゆるふわの金髪が露わになる。
つまりオレ否、私、数尾美雪は男子として振る舞う女だ。
「よかったっすね! カズオさん、というかお嬢!」
「うん! 覇山はわかってない感じだけどオレにとっては告白だよ!」
オレは半年前、覇山に惚れて不良の世界に入った。男装して『真里愛』に入り頭角を出し総長になった。
「次の喧嘩で勝ったら……オレは女だと明かす。そして覇山をオレの男にする」
「あのー、カズオさんはなんで男のふりして不良やってるんすか? 普通に告白して付き合えばいいと思いますけど?」
子分の一人がオレに言った。オレは返す。
「……だって私、ずっと暴走族の世界に憧れていたのですもの! 覇山様のような素敵な殿方もいるのだなんて知ったらもういてもたってもいられず……ですが私は街の総合商社の令嬢、少しでも正体を隠すために殿方の恰好で暴走族の世界に入るしかなかったのです!」
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「確かにお嬢だってバレたらややこしいっすね。俺達、お嬢の秘密絶対守りますから」
「ありがとうございます。私必ず覇山様を手に入れてみせますわよ!」
オレと子分達は抗争と恋の勝利を誓うのだった。
※
「覇山さん! 『真里愛』のカズオは女らしいです!」
「ええ!? じゃああのセリフって……俺への告白!?」
覇山に女だとバレたと知らないカズオ総長もとい美雪お嬢様だった。
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