異星人王太子は訳あり嫁に恋してる！

プロローグ

　西暦2200年の地球。人々は地球外の生物、つまり異星人の存在を認知し彼らと交流し調和を目指そうとしていた。
しかし、異星人らは地球を新たな領土として狙い、侵略を目論んでいた。惑星ゲルダの王族軍隊もそのひとつだった。
「君が、夏海かい？」
地球の日本のある区域。ゲルダの軍隊の基地内。ゲルダの王太子と彼の率いる軍隊の軍人らがそこにいた。地球のある人物を迎え入れるために。床に座り込む王太子とその客人を軍人らは立って囲む。
オレンジの髪をし地球人に近い容姿をした王太子・アイガロンは自分の目の前で正座し頭を下げる地球人の青年を見る。
「はい……俺が夏海です」
青年、夏海は頭を下げたまま答える。
「頭を上げろ」
アイガロンは頭を上げさせる。
「……」
夏海はゆっくりろと顔をあげる。ごく普通だが愛嬌のある容姿の彼は、ゲルダ人にとってはとても美しく見えた。
「やはり可愛らしい顔をしているな」
アイガロンは夏海をまじまじと見つめる。
「……君は本当に、『アレ』なのか？」
アイガロンは夏海を見てあることを確認する。
「君はこの地球では珍しい、雌雄同体なのか？」
「……はい、俺の星では『両性具有』と呼ばれています」
夏海は一見ごく普通の青年だが、男性器と女性器を同時に兼ね備えた『両性具有』という存在だ。
アイガロンは立ち上がり夏海に近づき、彼の顔の顎に触れてやや上げる。
「かわいらしい顔かつ雌雄同体なのはやはりそそるな。今日からお前は私の妻だ。よろしく」
アイガロンと夏海が今日出会ったのは、夏海が彼の妻になるため。つまり政略結婚のためだ。
「よろしくお願いします。アイガロンさん」
夏海は内心アイガロンが恐ろしいがそれを表に出さず、顔を上げられながらも彼をじっと見るのだった。