4 / 23
その4 社長と俺と始まり
しおりを挟む
幸男の言った通り、俺は昔歌手志望だった。練習でよく幸男に聴いてもらっていた。
「兄ちゃんすごい上手!」
幸男がたくさん褒めてくれてそれが嬉しくてたくさん歌っていた。しかし成長していくうちにその夢は忘れつつあった。その夢を思い出したのは、一人暮らしをして三年目の頃だった。
『ライブアイドルオーディション随時実施!』
仕事の帰り道にそんなポスターを見かけた。いわゆる地下アイドルの募集なのはわかっていたが、俺は幸男以外の評価を知りたくなりオーディションにいった。行ってみると、社長の前で歌うのと面接で普通の企業の就活にも思えた。
数日後。オーディションに行った事務所から連絡が来た。
『宮田敏郎さんの採用が決まりました。詳細は事務所でお話させていただきます』
なんと俺の採用が決まった。
再び事務所に行くと、ちょっとガタイの良いスーツを着たイケメンがいた。
「俺は事務所の社長で君のマネージャーになる来栖だ」
「よ、よろしくお願いします」
社長と挨拶をしあう。オーディションの時にも会ったけど緊張してしまう。
正直俺は地下アイドルの知識はあまりないしライブもほぼ見たことがない。だからどんなことするかわからなかった。
「君にやってもらいたいことがあるんだ」
「なんですか?」
「――男の娘は知ってるか?」
「はい、女装男子の一種みたいなものなのは一応知っています。それが何か?」
社長の『男の娘』という発言に俺は意味が一瞬わからなかった。
「君にはそれをやってもらいたい。女装してライブに出るアイドルになってもらいたい」
「え?」
社長のその一言で俺がアンナになることが決まったのだった。
「えっと俺。女顔じゃないから似合わないかと」
「それはこっちが似合うようにさせる。他にも二人いるからその二人と組んでほしい」
「は、はあ……」
俺は社長に事務所内のメイク室に連れていかれ、社長とメイクさんに女装をさせられた。
「え……?」
着替えと化粧にさせられ、栗色のショートボブカットのウィッグを被らされ鏡を見せられると、ちょっと可愛らしい女の子に見えた。特別可愛いわけなじゃないけど好きな人は好き、みたいな。
「ほら、可愛いだろ」
「は、はい」
これが俺がアンナとしてアイドルをすることになった始まりだった。
「兄ちゃんすごい上手!」
幸男がたくさん褒めてくれてそれが嬉しくてたくさん歌っていた。しかし成長していくうちにその夢は忘れつつあった。その夢を思い出したのは、一人暮らしをして三年目の頃だった。
『ライブアイドルオーディション随時実施!』
仕事の帰り道にそんなポスターを見かけた。いわゆる地下アイドルの募集なのはわかっていたが、俺は幸男以外の評価を知りたくなりオーディションにいった。行ってみると、社長の前で歌うのと面接で普通の企業の就活にも思えた。
数日後。オーディションに行った事務所から連絡が来た。
『宮田敏郎さんの採用が決まりました。詳細は事務所でお話させていただきます』
なんと俺の採用が決まった。
再び事務所に行くと、ちょっとガタイの良いスーツを着たイケメンがいた。
「俺は事務所の社長で君のマネージャーになる来栖だ」
「よ、よろしくお願いします」
社長と挨拶をしあう。オーディションの時にも会ったけど緊張してしまう。
正直俺は地下アイドルの知識はあまりないしライブもほぼ見たことがない。だからどんなことするかわからなかった。
「君にやってもらいたいことがあるんだ」
「なんですか?」
「――男の娘は知ってるか?」
「はい、女装男子の一種みたいなものなのは一応知っています。それが何か?」
社長の『男の娘』という発言に俺は意味が一瞬わからなかった。
「君にはそれをやってもらいたい。女装してライブに出るアイドルになってもらいたい」
「え?」
社長のその一言で俺がアンナになることが決まったのだった。
「えっと俺。女顔じゃないから似合わないかと」
「それはこっちが似合うようにさせる。他にも二人いるからその二人と組んでほしい」
「は、はあ……」
俺は社長に事務所内のメイク室に連れていかれ、社長とメイクさんに女装をさせられた。
「え……?」
着替えと化粧にさせられ、栗色のショートボブカットのウィッグを被らされ鏡を見せられると、ちょっと可愛らしい女の子に見えた。特別可愛いわけなじゃないけど好きな人は好き、みたいな。
「ほら、可愛いだろ」
「は、はい」
これが俺がアンナとしてアイドルをすることになった始まりだった。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる