恋する乙女には及ばない

湊戸アサギリ

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プロローグ

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安夫視点


 男ながら可愛らしい女の子の服やメイクが好きで親兄弟に隠れて嗜んでいた。大学進学で実家を出てからはSNSで自分の女装写真を上げるのが日常化していた。そして今は、

「圭介、お待たせ!」

「おお……」

お気に入りのゴスロリな服着てデートをする事が多くなった。ウィッグも化粧もバッチリだ。いつもの待ち合わせ場所に圭介はいた。

「……似合ってる」

「わぁいありがとう!」

俺が褒められて喜んでると、圭介は手を繋いできた。俺よりゴツくてデカい手してるの、なんか羨ましい。

圭介には『付き合ってもらってる』ようなものだけど、それでも傍にいてくれるのは確かに嬉しい。
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