1 / 1
担任だった教師×数年前に卒業した教え子
しおりを挟む
担任だった教師×数年前に卒業した教え子
※教師の息子視点
六年前、俺の母は病気で亡くなった。父は涙を出さなかったが最初の二年間は暗い顔が多かった。入院中ずっと俺と妹と共に見舞いに通い看病もしたが俺達の思いは叶わなかった。
「父さんのことは心配しないでくれ」
父は俺や妹にそう言った。俺も妹も仕事でなかなか実家に帰れずにいたからそのまま放置せざるえなかった。そんなある日、久々に俺は実家に帰った。
「ああ、お帰り」
父は実家に普通にいた。そしてもう一人、見知らぬ人物がいた。
「先生の息子さん、はじめまして」
「え?」
母のお気に入りだったワンピースを着て、母と同じ茶色いロングヘアをした人物はよく見ると男の人だった。化粧も母そっくりで驚いた。
「おれ、みつきって言います。君のお父さんとお付き合いをしています」
「この子は父さんの昔の教え子でね、この子との再婚を考えている」
「おれ、じゃなかった私、高校の時先生が担任だったんですよ。奥さんが亡くなったのを知ったので……」
みつきさんが男なのはわかる。その人と再婚ってどういうことだ?
「私、『妻になってくれ』って言われて先生の亡くなった奥さんの代わりになれればと思ってこの格好をしているんです」
みつきさんは微笑む。ああ、そうか。みつきさんは母の代わりになりたくて母の着た服に母のした化粧をしたんだ。
「先生には『無理に母親にならなくていい』って言われたけど、君達とは仲良くしていきたいんです、よろしく」
「はい……」
俺と握手したみつきさんの手は、細いが元々は筋肉があったようにも見えた。母の服を着るために痩せたのか?
父が母の代わりになれと言ったのか、みつきさんが自ら代わりになったのか、どちらなのかは確かめたいようで確かめたくはないのだった……
※教師の息子視点
六年前、俺の母は病気で亡くなった。父は涙を出さなかったが最初の二年間は暗い顔が多かった。入院中ずっと俺と妹と共に見舞いに通い看病もしたが俺達の思いは叶わなかった。
「父さんのことは心配しないでくれ」
父は俺や妹にそう言った。俺も妹も仕事でなかなか実家に帰れずにいたからそのまま放置せざるえなかった。そんなある日、久々に俺は実家に帰った。
「ああ、お帰り」
父は実家に普通にいた。そしてもう一人、見知らぬ人物がいた。
「先生の息子さん、はじめまして」
「え?」
母のお気に入りだったワンピースを着て、母と同じ茶色いロングヘアをした人物はよく見ると男の人だった。化粧も母そっくりで驚いた。
「おれ、みつきって言います。君のお父さんとお付き合いをしています」
「この子は父さんの昔の教え子でね、この子との再婚を考えている」
「おれ、じゃなかった私、高校の時先生が担任だったんですよ。奥さんが亡くなったのを知ったので……」
みつきさんが男なのはわかる。その人と再婚ってどういうことだ?
「私、『妻になってくれ』って言われて先生の亡くなった奥さんの代わりになれればと思ってこの格好をしているんです」
みつきさんは微笑む。ああ、そうか。みつきさんは母の代わりになりたくて母の着た服に母のした化粧をしたんだ。
「先生には『無理に母親にならなくていい』って言われたけど、君達とは仲良くしていきたいんです、よろしく」
「はい……」
俺と握手したみつきさんの手は、細いが元々は筋肉があったようにも見えた。母の服を着るために痩せたのか?
父が母の代わりになれと言ったのか、みつきさんが自ら代わりになったのか、どちらなのかは確かめたいようで確かめたくはないのだった……
0
お気に入りに追加
22
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる