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後編
積極的なりん
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りんは2個のケーキを食べ終えると「うわー、さすがにキツいかも」とお腹を擦っていた。そして紅茶を一口飲んだ後、りんは花宮に憑依したまま俺の横にスルスルッと寄ってきた。
「はい、じゃあ食後のイチャイチャタイムねっ」
そう言ってりんは俺に抱きついてきた。しがみつくように、俺の背中に手を回す。
「んー、充電充電」
「俺はワイヤレス充電器か」
「そうそう。女の子はね、たまにこういう充電が必要なんだよ」
そう言うと今度は俺の首の後ろに手を回して、俺の頭を引き寄せる。顔を斜めにして近づいてきたその唇に、俺の唇が重なる。
「さっきね……琴ちゃんと話してたんだけどさ」
俺の胸の中で、りんが静かに話しだした。
「ナオさあ……キス以上のこと、求めて来ないよね?」
「……」
「霊能者なのに、不能者なの?」
「ちがうわ!」
「それじゃあ、すっごく我慢してたりする?」
「……」
それは確かにある。でも我慢というより……
「我慢っていうより、その……3人でそういうことするっていうのが、罪悪感ていうか背徳感っていうか……」
「キスはいいんだ?」
「ギリギリな。でもそれ以上となると、その……服とか脱ぐわけだろ? なんかそういうのって、抵抗ないか?」
「あーそっか。アタシも琴ちゃんの裸とか見ちゃうわけだもんね」
「それは花宮だって、嫌なんじゃないか?」
「……うん、琴ちゃん、それはちょっと恥ずかしいって」
そりゃそうだろうな。
「でもね。さっき話してたんだけど……もし琴ちゃん、ナオに求められたらどうするって訊いたのね」
「そんなこと訊くなよ」
「そしたらね、やっぱり今は最後まではちょっと怖いって。でもちょっと触られるぐらいだったらギリセーフだってさ」
「それ、りんが言わせたんだろ?」
「そんなことないよ。だって女の子だって、興味あるし。そういうの」
そう言ってりんは、自分の左手で俺の右手を取った。
「だからね……ちょっとだけならいいよ。触っても」
「お、おい……」
りんは俺の右手を、自分の……いや、花宮の左の胸に重ねた。
「んっ……」とりんの口から甘い声が漏れる。俺は……自分の欲求に抗えなかった。俺は花宮の豊満な胸をやさしく、ゆっくりと触った。
柔らかくて弾力があって……下から持ち上げると思ってたよりもずっと重量感があった。花宮は……本当に隠れ巨乳だった。
俺は我慢できず、今度は自分の右手で花宮の左胸を触れる。りんは俺にしがみつくように抱きついてきた。俺の耳元でりんの吐息が荒くなる。俺は頭の中が真っ白になりそうだ。
俺は花宮の胸を触り続けていた。するとりんは、「んんっ、ダメっ……」と言って突然俺の右手を掴んで、自分の頭を俺の胸につけたままうなだれた。
「ご、ごめん……これ以上は……やっぱちょっと、無理……」
そう言ったあと、りんは花宮の体から離脱した。花宮は俺の胸に体を預けながら、片方の手で胸を隠すように抑えている。息も荒く、耳たぶまで赤く染まっていた。
『琴ちゃん、ゴメン』
「花宮、すまん。俺、ちょっと止まらなかった」
花宮は俺の胸の上で、首をふりふりと力なく動かした。
「りんちゃん、ちょっとやりすぎだよ……私、ちから入んない……」
「……花宮。嫌なら最初からりんに嫌って言わないと」
「い、嫌じゃないよっ。嫌じゃないけど……なんだか自分の体じゃないみたいっていうか……」
花宮はまだ息が少し荒い。そして俺の顔を上目遣いで見上げる。
「それに……城之内君が……我慢してるんだったら、嫌だなぁって思って……」
花宮は目が潤んで頬がまだ紅潮したままだ。俺が我慢してると思ってたようだ。別にそんなこと花宮が気にすることないのに。
「俺は大丈夫だ。いや、大丈夫じゃないかもしれんけど……花宮は、自分を大事にしてくれよ。俺は花宮が嫌がることは、したくないんだ」
「城之内君……」
俺は花宮の背中に手を回して、そっと抱き寄せた。その隣でりんは、俺たちのことを黙って見守っていた。ちょっとやり過ぎたことを、少しは反省でもしてくれているといいのだが。
◆◆◆
夏休みが終わっても、まだまだ暑い日が続いた。俺と花宮とりんの関係は、相変わらず続いている。りんは成仏する気配など、全く見せない。このままでは高校卒業後も一緒にいるかもしれない。そんな風にも思えた。
花宮は「それも楽しそう。りんちゃんと一緒に大学に行ってみたいよ」と言っているくらいだ。りんと花宮は、お互いもう何でも話せる親友になっている。というか隠し事ができない関係という方が正しい言い方かもしれない。そりゃあ体もシェアする仲になるわけだから、自ずとそうなるだろう。
そして9月の期末試験をなんとか乗り越えたあとの最初の月曜日。事件は起きた。
その日雄介は朝から学校を休んだ。昨晩、ずっと入院生活を続けていた雄介の3つ上のお兄さんが、亡くなられたらしい。
雄介のお兄さんは小さい頃から白血病で入退院を繰り返していて、学校へは長期間通うこともできないような状態だったらしい。そして昨晩様態が急変し、突然の他界となったとのことだ。
ところが……話はこれだけではなかった。
「はい、じゃあ食後のイチャイチャタイムねっ」
そう言ってりんは俺に抱きついてきた。しがみつくように、俺の背中に手を回す。
「んー、充電充電」
「俺はワイヤレス充電器か」
「そうそう。女の子はね、たまにこういう充電が必要なんだよ」
そう言うと今度は俺の首の後ろに手を回して、俺の頭を引き寄せる。顔を斜めにして近づいてきたその唇に、俺の唇が重なる。
「さっきね……琴ちゃんと話してたんだけどさ」
俺の胸の中で、りんが静かに話しだした。
「ナオさあ……キス以上のこと、求めて来ないよね?」
「……」
「霊能者なのに、不能者なの?」
「ちがうわ!」
「それじゃあ、すっごく我慢してたりする?」
「……」
それは確かにある。でも我慢というより……
「我慢っていうより、その……3人でそういうことするっていうのが、罪悪感ていうか背徳感っていうか……」
「キスはいいんだ?」
「ギリギリな。でもそれ以上となると、その……服とか脱ぐわけだろ? なんかそういうのって、抵抗ないか?」
「あーそっか。アタシも琴ちゃんの裸とか見ちゃうわけだもんね」
「それは花宮だって、嫌なんじゃないか?」
「……うん、琴ちゃん、それはちょっと恥ずかしいって」
そりゃそうだろうな。
「でもね。さっき話してたんだけど……もし琴ちゃん、ナオに求められたらどうするって訊いたのね」
「そんなこと訊くなよ」
「そしたらね、やっぱり今は最後まではちょっと怖いって。でもちょっと触られるぐらいだったらギリセーフだってさ」
「それ、りんが言わせたんだろ?」
「そんなことないよ。だって女の子だって、興味あるし。そういうの」
そう言ってりんは、自分の左手で俺の右手を取った。
「だからね……ちょっとだけならいいよ。触っても」
「お、おい……」
りんは俺の右手を、自分の……いや、花宮の左の胸に重ねた。
「んっ……」とりんの口から甘い声が漏れる。俺は……自分の欲求に抗えなかった。俺は花宮の豊満な胸をやさしく、ゆっくりと触った。
柔らかくて弾力があって……下から持ち上げると思ってたよりもずっと重量感があった。花宮は……本当に隠れ巨乳だった。
俺は我慢できず、今度は自分の右手で花宮の左胸を触れる。りんは俺にしがみつくように抱きついてきた。俺の耳元でりんの吐息が荒くなる。俺は頭の中が真っ白になりそうだ。
俺は花宮の胸を触り続けていた。するとりんは、「んんっ、ダメっ……」と言って突然俺の右手を掴んで、自分の頭を俺の胸につけたままうなだれた。
「ご、ごめん……これ以上は……やっぱちょっと、無理……」
そう言ったあと、りんは花宮の体から離脱した。花宮は俺の胸に体を預けながら、片方の手で胸を隠すように抑えている。息も荒く、耳たぶまで赤く染まっていた。
『琴ちゃん、ゴメン』
「花宮、すまん。俺、ちょっと止まらなかった」
花宮は俺の胸の上で、首をふりふりと力なく動かした。
「りんちゃん、ちょっとやりすぎだよ……私、ちから入んない……」
「……花宮。嫌なら最初からりんに嫌って言わないと」
「い、嫌じゃないよっ。嫌じゃないけど……なんだか自分の体じゃないみたいっていうか……」
花宮はまだ息が少し荒い。そして俺の顔を上目遣いで見上げる。
「それに……城之内君が……我慢してるんだったら、嫌だなぁって思って……」
花宮は目が潤んで頬がまだ紅潮したままだ。俺が我慢してると思ってたようだ。別にそんなこと花宮が気にすることないのに。
「俺は大丈夫だ。いや、大丈夫じゃないかもしれんけど……花宮は、自分を大事にしてくれよ。俺は花宮が嫌がることは、したくないんだ」
「城之内君……」
俺は花宮の背中に手を回して、そっと抱き寄せた。その隣でりんは、俺たちのことを黙って見守っていた。ちょっとやり過ぎたことを、少しは反省でもしてくれているといいのだが。
◆◆◆
夏休みが終わっても、まだまだ暑い日が続いた。俺と花宮とりんの関係は、相変わらず続いている。りんは成仏する気配など、全く見せない。このままでは高校卒業後も一緒にいるかもしれない。そんな風にも思えた。
花宮は「それも楽しそう。りんちゃんと一緒に大学に行ってみたいよ」と言っているくらいだ。りんと花宮は、お互いもう何でも話せる親友になっている。というか隠し事ができない関係という方が正しい言い方かもしれない。そりゃあ体もシェアする仲になるわけだから、自ずとそうなるだろう。
そして9月の期末試験をなんとか乗り越えたあとの最初の月曜日。事件は起きた。
その日雄介は朝から学校を休んだ。昨晩、ずっと入院生活を続けていた雄介の3つ上のお兄さんが、亡くなられたらしい。
雄介のお兄さんは小さい頃から白血病で入退院を繰り返していて、学校へは長期間通うこともできないような状態だったらしい。そして昨晩様態が急変し、突然の他界となったとのことだ。
ところが……話はこれだけではなかった。
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