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No.33:「女の勘!」
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12月の第3週。
僕たちは期末テストをようやく終えた。
手応えとしてはいつも通り。
ただ前回同様、英語は出来たと思う。
すみかさんの家庭教師のおかげだ。
テストの最終日、亜美と智也と3人でカラオケに行こうという話になった。
テスト明けだけに、亜美も智也もテンションが高い。
「よっしゃ、それじゃあ歌うか」
「あ、あたし最初に歌いたい!」
亜美がアイドルグループの曲を歌い始めた。
亜美は歌が本当に上手い。
音程も外さないし、声量もある。
「相変わらず亜美はうまいね」
「まぁちょくちょく来てるからね、カラオケは」
「それじゃあ次、俺ね」
智也がマイクを取って歌い始める。
智也はよく音程を外す。
しかも声量がでかい。
ジャイアンスタイルだ。
「智也は相変わらずだね」
「どういう意味だよ、こら」
僕は歌える曲が少ない。
ちょっと昔のアニソンぐらい。
あとは文部省唱歌かな。
「相変わらず、可もなく不可もなくだな」
「翔らしいよね」
僕たちはドリンクを飲みながら小休止する。
「ねえ翔。すみかさんとは、その……その後どうなの?」
「どうって……何も変わらないよ。相変わらず以前のままだ」
「へぇー。まだそういう関係じゃないんだ」
「まだって……そういう関係じゃないよ」
「俺はちょっと信じられないけどなー。だってあの空間だぜ。仕切りって言ったってカーテン1枚だろ? そんなもん無いに等しいんじゃないのか?」
「そんなこと言ったって、何もないものは何もないんだよ」
そう、僕とすみかさんは相変わらずだった。
僕がバイトがあるときは入れ違いだけど、バイトがない日の夜は一緒にご飯を食べる。
たまに英語の宿題を手伝ってもらったりしている。
掃除洗濯は、すみかさん担当だ。
僕も助かっている。
余談だが、時間がある時には例のYoutubeの動画撮影もお願いしている。
相変わらずヌーブラ + ピッチピチのTシャツだ。
再生回数も順調に伸びていて、少しだけど広告収入も入ってきた。
ただし、まだ8,000円以下なので現金化はできてないけど。
現金化できたら、すみかさんと一緒にファミレスでも行ってご馳走したいと思っている。
多分サンゼだろうな。
「でもさ……翔、好きなんじゃないの? すみかさんの事」
前に智也にも聞かれたな。
「自分でもよくわかんないんだよ。好きなのかもしれないし、単なる憧れなのかもしれない。でもすみかさんは、僕のことを弟ぐらいにしか思ってないからね」
「そんなことないと思うな」
亜美が否定する。
「その根拠は?」
「女の勘!」
「なんだよ、それ」
非論理的だな。
「でも俺はそのすみかさん、だっけ? かなり翔のこと、頼りにしてると思うな。だって住むところにだって困ってたんだろう? そういう意味では翔、救世主だよな」
「うん、感謝はしてくれてると思う」
まあ色々考えても仕方がない。
しばらくして亜美がトイレに行っている間、智也が話しかけてきた。
「俺、一応亜美に告ったから」
「うん、聞いてる」
「え? 亜美から?」
「そう」
「げー……マジでか」
「驚くことないだろ?」
「なんて言ってた?」
「全然気がつかなかったって」
「まあそうだろうな。翔しか見てなかったもんなぁ」
「……僕はどう答えればいいの?」
「まあ別に。とにかくさ、俺の方はのんびりやるよ。このまま友達でもいいし。もちろん俺のことを見てくれると嬉しいけどさ」
「智也、本当にいいやつだな」
「よく言われる」
「自分で言うかな」
このタイミングで亜美が戻ってきた。
何話してたの?と聞かれたので、日本の景気後退について話してたって答えてやった。
僕たちは期末テストをようやく終えた。
手応えとしてはいつも通り。
ただ前回同様、英語は出来たと思う。
すみかさんの家庭教師のおかげだ。
テストの最終日、亜美と智也と3人でカラオケに行こうという話になった。
テスト明けだけに、亜美も智也もテンションが高い。
「よっしゃ、それじゃあ歌うか」
「あ、あたし最初に歌いたい!」
亜美がアイドルグループの曲を歌い始めた。
亜美は歌が本当に上手い。
音程も外さないし、声量もある。
「相変わらず亜美はうまいね」
「まぁちょくちょく来てるからね、カラオケは」
「それじゃあ次、俺ね」
智也がマイクを取って歌い始める。
智也はよく音程を外す。
しかも声量がでかい。
ジャイアンスタイルだ。
「智也は相変わらずだね」
「どういう意味だよ、こら」
僕は歌える曲が少ない。
ちょっと昔のアニソンぐらい。
あとは文部省唱歌かな。
「相変わらず、可もなく不可もなくだな」
「翔らしいよね」
僕たちはドリンクを飲みながら小休止する。
「ねえ翔。すみかさんとは、その……その後どうなの?」
「どうって……何も変わらないよ。相変わらず以前のままだ」
「へぇー。まだそういう関係じゃないんだ」
「まだって……そういう関係じゃないよ」
「俺はちょっと信じられないけどなー。だってあの空間だぜ。仕切りって言ったってカーテン1枚だろ? そんなもん無いに等しいんじゃないのか?」
「そんなこと言ったって、何もないものは何もないんだよ」
そう、僕とすみかさんは相変わらずだった。
僕がバイトがあるときは入れ違いだけど、バイトがない日の夜は一緒にご飯を食べる。
たまに英語の宿題を手伝ってもらったりしている。
掃除洗濯は、すみかさん担当だ。
僕も助かっている。
余談だが、時間がある時には例のYoutubeの動画撮影もお願いしている。
相変わらずヌーブラ + ピッチピチのTシャツだ。
再生回数も順調に伸びていて、少しだけど広告収入も入ってきた。
ただし、まだ8,000円以下なので現金化はできてないけど。
現金化できたら、すみかさんと一緒にファミレスでも行ってご馳走したいと思っている。
多分サンゼだろうな。
「でもさ……翔、好きなんじゃないの? すみかさんの事」
前に智也にも聞かれたな。
「自分でもよくわかんないんだよ。好きなのかもしれないし、単なる憧れなのかもしれない。でもすみかさんは、僕のことを弟ぐらいにしか思ってないからね」
「そんなことないと思うな」
亜美が否定する。
「その根拠は?」
「女の勘!」
「なんだよ、それ」
非論理的だな。
「でも俺はそのすみかさん、だっけ? かなり翔のこと、頼りにしてると思うな。だって住むところにだって困ってたんだろう? そういう意味では翔、救世主だよな」
「うん、感謝はしてくれてると思う」
まあ色々考えても仕方がない。
しばらくして亜美がトイレに行っている間、智也が話しかけてきた。
「俺、一応亜美に告ったから」
「うん、聞いてる」
「え? 亜美から?」
「そう」
「げー……マジでか」
「驚くことないだろ?」
「なんて言ってた?」
「全然気がつかなかったって」
「まあそうだろうな。翔しか見てなかったもんなぁ」
「……僕はどう答えればいいの?」
「まあ別に。とにかくさ、俺の方はのんびりやるよ。このまま友達でもいいし。もちろん俺のことを見てくれると嬉しいけどさ」
「智也、本当にいいやつだな」
「よく言われる」
「自分で言うかな」
このタイミングで亜美が戻ってきた。
何話してたの?と聞かれたので、日本の景気後退について話してたって答えてやった。
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