旅商人と夜ノ森の番人

すがのさく

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 一度キスしてしまえば、もう止まらなかった。
 ベッドになだれ込む際にマイネはわずかにアベルの胸を押したものの、その抵抗が本気でないことは明らかだった。
 思った以上に華奢な少年の身体は、アベルの愛撫に反応しよく跳ねる。

「ま、……待って、アベル」
「ごめん。何も待てない」
「や、あ、……」

 冷たい隙間風に晒されて立ち上がる乳首に、アベルは迷いなく吸い付いた。シーツに押し付けられたマイネはぎゅっと目をつぶり、首を横に振っている。
 ベッドに倒れ込んでマイネをすぐに裸に剥き、自分も裸になってから彼の全身を検分した。
 ろうそくの炎でほの赤く浮き上がる白い身体は未熟な果実を思わせ、恥ずかしがって身を捩るさまはただアベルの劣情を増幅させるだけだった。

「……うう、アベル、こんな、恥ずかし……」
「すごく可愛い。本当に嫌なら言って。すぐに止める」 

 舌の先でわざとぐりぐりと乳首を押し潰すようにすると、マイネは手で顔を覆った。
 反応は初々しい。けれど彼は初めてじゃない。
 先ほど彼の寝間着を剥ぐ際に、「こんなことは久し振りで、上手くできる自信はない」と言い放った。
 これで、彼がヴィルフリートの手籠めになっていることは確定した。

「ん、んう、やあっ……」

 両方の胸の先端を丹念に舐める。味わうように、唾液を絡めて塗り込むように。
 そのまま舐めながら、マイネの両脚を持ち上げて大きく開かせた。

「だっ、だめっ、そんなのっ!」

 マイネが焦ったようにアベルの髪を掻き回すが、アベルが脚の間に入り込んだため閉じることができない。
 彼の勃起した性器は、アベルの腹の辺りに擦られ揺れている。

「ちゃんと気持ちいい?」
「や、だあ……っ」

 涙目のマイネがそっぽを向いて視線を逸らす。構わず胸への愛撫を再開しようとしたところ、聞き覚えのある唸り声がした。

「ピム……」

 ぐるるる……、と低く太く威嚇する、凶暴な本性を予感させる動物の声だ。
 気付けば部屋の出入り口に大きな獣が立っており、ギラギラと青く光る眼でこちらを見つめている。
 襲われけがをしたあの晩を思い出し、アベルに緊張が走った。

「ピム、お願い、こっちに来ないで」

 マイネがか細い声で懇願した。脚を全開にした恥ずかしい体勢を飼い犬に見られている。どうにか局部を隠そうと、しわくちゃになっている毛布を手繰り寄せた。

「僕を見ないで。大丈夫だから、向こうの部屋へ行ってて。お願いだよ」

 忠実な獣はこちらをじっと睨みつけていた。しかし主人の涙目の懇願に折れたのか、ふいと顔を背けのしのしと部屋を出て行った。

「見られたくないのか?」

 萎れかけた自身を見られたくなくて、アベルはマイネの柔らかな脇腹に舌を這わす。細い身体はびくんと跳ねた。

「ひゃっ……当然、です。ピムは賢いから、あなたと僕が何をしてたか理解してる」
「忠犬ピムは主人を守ろうとするから?」
「それも、ありますが。弱いところを見られたくない。僕は彼の、主人なのに……ひ、ああんっ」

 マイネの甘い声を聞きつけると、アベルの性器はすぐにもう一度首をもたげた。
 開いた脚をぐっと腹側に倒し、いよいよ彼からも局部がつぶさに見えるようにした。
 細い下生えがまばらに薄く生えた下腹に、しっかりと勃起する男性器、柔らかそうな根本の膨らみ、周りより色の濃い奥の穴。その入り口は羞恥のためかひくひくと蠢いている。
 驚くほどに嫌悪感がない。すべて唇で、舌で愛撫できる自信がある。

「今までここを、誰が見た?」
「……そんなこと……」
「そうだな。言う必要ないよ」

 知っている。彼の育ての親、ヴィルフリートだ。
 涙の滲む赤らんだ顔で睨んでくるくせに大した抵抗はしない。きっと彼は、交歓をよく知っている。自分の身体で快感を満足に汲み取ることができるまで、性交に慣らされているのだ。
 ひくつく穴に、そっと指を添えてみた。

「あ、あっ、そこは」

 くにくにと撫でると、穴は指を飲み込もうと動く。
 口での拒絶も形だけで、身体は男と交わりたいと叫んでいる。まっさらなのに、身体だけ淫乱な、綺麗なマイネ。
 アベルは両手で尻を大きく開き、後孔に舌を這わせた。

「あああっ! アベル、やめてください、……っあ、アベルっ!」

 身を捩るマイネに逃げられないよう、がっしりと尻を掴んで離さない。唾液を穴の中に送り込むようにし、周りの筋を優しく舌で押して刺激した。そうすると徐々にぐずぐずと解れ、柔らかくなってくる。

「っう、うあ、だめ、なにこれ……。腰、動いちゃ……」
「動いていい。君も動きたいように動いて」
「そんなの無理……っあ、……んっ」

 人差し指をゆっくり突き入れた。痛くないよう、細心の注意を払い進んでいく。

「中、熱……」

 指の形を確かめるように、内壁が蠕動しきゅうきゅう締まる。

「は、入ってきます。だめ、……抜いて……」
「本当に、嫌?」

 入れられるところまで入れ、手を止めた。

「本気で嫌なら止めるよ」
「うう……」

 マイネは目を閉じ、苦しげに呻いた。荒い息をつきながら、考え込むような間を置く。

「……やめないで。今止められたら、僕……」

 まぶたの開けられた瞳には涙が滲んでいた。
 この瞬間、どうしても欲しくなった。本気でやめてと言われればそうしてやるつもりだったが、もうだめだ。

「ああ、あん、指……」
「もう一本入れよう。とろとろに溶かして、俺のを入れる」

 アベルは指を増やす。
 蕩けた自らの秘部を見せられ、マイネは顔を真っ赤にしている。けれど、視線は逸らせないようだった。
 指を抜き差しする度、くちゅ……ぬちゅ……と音を立て、潤滑のために入れ込んだ唾液が溢れてくる。

「ん、あ、アベル……」

 マイネは口の端から唾液を垂らしながら、うわ言のようにアベルの名を呼ぶ。

「……あの、もうちょっと上の、お腹の裏あたり……」

 言い辛そうに、恥ずかしそうに注文を述べる。

「ここ?」

 きゅっ、と指定された辺りに圧を加えると、マイネは「ああんっ!」と背を反らせた。

「いいところ、教えてくれたの? ありがとう。可愛い」
「ひあっ……」

 突き出された乳首に、アベルはちゅっとキスをした。
 だらだらと、液が彼の尻のあわいを伝っている。乳首は大して触れてもいないのにピンと屹立し、マイネの中も声も柔らかく熟れている。
 アベルは頃合いを悟った。痛いくらいに張った自分の性器を握り、そこに押し当てる。

「……あっ、それ……」

 マイネが息を呑み込んだのがわかった。

「いい?」

 できる限り優しく問うと、マイネは恥ずかしそうに俯いた。

「……入れて、ください……」


 くぱ、と一瞬入り口が広がり、すかさずアベルはそこに潜り込んだ。

「ああ、……あ、あっ……!」

 めいっぱい広がった入口が先端を咥え込むと、あとは沈むように奥に入っていく。

「やあ、あん、あ、おっきい……」
「うっ……」

 マイネは腰を揺らしながら、性器を奥へ奥へといざなっている。その細い腰をしっかりと掴み、アベルは性器を進める。
 いやらしい汁を溢れさせながら、アベルの性器は入る限りまで侵入した。
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