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それぞれを縛るもの5※

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 中が熟してしまうと、ミロはわざとらしく音を立てて張り型をしゃぶった。そして、それを躊躇なくユノンに挿入する。

「あんっ! あ、う、ああ……!」

 唾液の滑りを借り、黒光りする大きな木の男根はぬるりとユノンの中へ入っていった。
 肉壁がいっぱいに広がる。中をみちみちに満たされ、いやらしい身体は主人の意に反して歓喜する。ユノンは無意識に腰を上下に振った。

「……はあ、あん、あう……」
「ユノン様、どれだけ太くても大きくてもこちらできっちりと受け入れられて、まるで女のぬかるみのようでございますよ」

 幾度も幾度も肉の中を往復され、その度にユノンはびくびくと全身を震わせる。
 張り型が動くことよって粘膜が押し込まれ、また引き出され、与えられたものを逃すものかと必死に食いついている。
 丹念に入れ込まれたミロの唾液が中から漏れ出てきて敷布にしみを作り、まるで快楽に滲み出た蜜のようだった。
 せり上がる白い欲望は戒めの縄によって堰き止められ、ユノンはたまらずむせび泣いた。

「うっ……ひう……っ、や、もう、むり……」

 可憐な芯は、すでに赤黒く膨れて絶えず透明な涙を流している。その汁は幹を伝い、ミロが弄ぶ淫孔へ流れ込んでいた。

「ああ、おかわいそうに。こんなに泣いて……」

 ミロがうっとりと言い、ユノンの頬を舐め上げた。
 それすらも内への刺激を増幅させる薬となり、ユノンは泣きながら首を左右に振った。

「いや……もう、出させてくれ……。壊れてしまう……」
「タリアス様、どうなさいますか?」

 問われたタリアスは、汗で濡れるユノンの前髪をかき上げてゆっくりと頭を撫でているところだった。
 口元に浮かべたほのかな笑みは絶やさない。
 もうユノンは息も絶え絶えで、上手く焦点の合わない目でタリアスを見上げた。

「いいだろう。我が妻は、とてもいい顔になってきた」

 途端、突き刺されたものの動きが止まった。状況が呑み込めないうちに、性器の根元が楽になる。

「あっ、ミロ……?」

 痛みが軽くなる。ついにこのまま解放されるのだろうかと、ユノンは自らを縛った張本人を窺った。

「タリアス様、まずはここだけで?」
「ああ、一度達させてやろう」
「かしこまりました」

 きらきらと目を輝かせながら、ミロは笑みを含んだ声でユノンにも微笑んだ。そして、後ろに刺さったままにされていた張り型に手を伸ばす。
 じゅっ……じゅっ……と音を立て、再び腹の中で固い男根が暴れだす。

「や……っ、あっ、やだ、やだ、ああっ、出る、出るから、やだ……っ!」

 ユノンの訴えも虚しく、戒めを解かれた雄の先端からは勢いよくしぶきが飛んだ。
 出口を求めてさまよっていた精は内への刺激によって押し出され、ユノンの胸や顔にまで降り注いだ。

「……あ、あん……はぁ……んう……」
「可愛い、ユノン様」

 ユノンはぶるりと震え、恍惚としながら勢いを失った濁った体液をだらだらと垂れ流していた。
 ちゅ……と音を立て、ミロが後ろから張り型を抜いた。

「ユノン、偉いぞ。よく我慢できたじゃないか。たくさん出したな」
「……あ、う……」

 放出の衝撃で、ユノンは呂律が回らない。まるで下半身がどろどろに蕩けているようだった。
 ミロがユノンの頬にべったりと付いた精液を舐めとった。

「いつもより、少しだけ薄いような気がします。濃い精は、ライル様との時に出されたのですか?」

 ミロは不満そうな気配を隠そうともしない。
 そんなことを聞かれても、濃いだの薄いだのわかるわけがない。ユノンはその問いには答えず、現実から少しでも逃避するため目を閉じた。
 青い青い空のある世界から、とても遠くにいると感じた。あの世界は一体どこにあるのだろう。
 リーデルエントと、彼の想い人はどのように甘く交わるだろう。
 顔も知らない異世界での自分の想い人が、何故かライルに重ねられた。
 ライルに、会いたい。次はいつ会えるだろう。

「まあミロ、もう追求はやめなさい。拘束を解いてやれ」
「もうよろしいのですか?」
「ああ、もう十分楽しませてもらったよ。私は妻を苦しませたいわけじゃない」
「かしこまりました」

 二人の会話が聞こえ、意識は褥に戻される。
 こもった空気と高い湿度、体液の香り。
 身体に触れられているが、ユノンは目を閉じてされるがままになっていた。
 固められた身体が徐々に楽になってくる。
 開かされたままの脚が解放され、ユノンは股間節の痛みに顔を歪めながらゆっくりと脚を伸ばした。こんなにもひたすら開脚させられていたのは初めてのことだった。

「辛いか、ユノン」

 タリアスが見下ろしてくる。いつの間にかガウンを脱ぎ、逞しい裸体が薄暗い明かりの元に照らされていた。

「……いいえ」

 ユノンは首を振り、嘘をついた。
 本当は辛い。身体も心も、ちょっとでも気を抜けばちぎれ飛んでしまいそうだった。
 幼い頃からあの方に尽くしなさいと教えられ、そして信頼していた夫が、この日ユノンの脅威となった。
 タリアスの愛が、もうわからない。
 けれどライルへの気持ちを自覚した自分はそんなことを言える立場ではないのかもしれない。同じように、おそらく自分もまたタリアスを悲しませているのだから。

「脚を開くのが辛いか。では、私の上に乗りなさい」

 命じられ、隣にごろりと横たわったタリアスの腹の上に跨った。「失礼します」という決まり文句のような声は震えていて、腹をまたぐ腿もぶるぶるとおぼつかなかった。

「タリアス様……」

 ユノンは太く立派なこん棒のような剛直を見下ろした。辱められる妻の姿を眺めている最中も、ずっとこの鋭角を維持していた。

「ユノン。痛ましい姿だ。だが、……とても芸術的だ。美しい。お前は、どんなに淫猥な仕打ちを受けても白く清廉にあり続けるのだな。ミロ、あれを」

 タリアスはミロに何事か呼び掛け、身体を起こした。ユノンと向かい合う形になり、縄目の痕のついた胸を撫でさする。

「あ……あっ……」

 触れられると、ひどく熱い。ユノンは耐え切れずに身体を捩った。

「さあ、これを着けなさい。これは王妃の証だ。初代の王が、妻に贈ったとされる古から受け継がれるもの。ただの贈り物ではないぞ」

 ミロが差し出した黒いビロードをタリアスが受け取った。そこに包まれていたのは、ユノンがタリアスから贈られた碧玉の首飾りだ。

「これは……」

 何度か身に着けている、ユノンにはすでに馴染みになっているものだ。
 ……湖の上で、髪の長いいつかの世の自分が首から下げていたもの。それと、記憶の中でぴったり重なる。

「やはり、これはお前の肌と髪によく映える。お前こそが我が王妃。この先女が生まれ嫁いでこようとも、私が愛するのはお前だ、ユノン」

 タリアスがユノンの首にそれを通す。大ぶりな飾りが素肌の胸に乗ると冷たく、ユノンはびくりと身体を震わせた。

「羨ましいです、ユノン様。陛下のご寵愛を一身に……」

 恨みがましさの滲むミロの声が聞こえた。両肩に温かな手が置かれる。

「そんな顔をするな、ミロ。お前もまた、私にとっては代わりの利かない大切な存在だ。私の、初めての少年よ」

 タリアスの腕がユノンの背後に伸ばされた。頬を撫でられ、うっとりと目を細めるミロの様子は容易に想像できた。

「さあ、まずはお前だよ、ユノン。お前が自分から私を受け入れなさい」

 碧玉をひと撫でし、タリアスが再び横たわる。ミロは横に来て、蕩けた目でユノンとタリアスの様子を交互に眺めている。下帯は脱いでしまったようで、錠で締められた雄は敷布に頭を擦り、透明な汁を滲ませていた。
 ユノンのものも、小ぶりながら負けずに勃起し続けている。首飾りの鎖が乳首を擦るだけでもひくりと反応してしまうのだ。
 タリアスとミロの、熱い視線に射られている。とにかくタリアスを愉しませ満足させない限り、この状況は変わらない。
 ユノンは力を振り絞って腰を上げ、剛直を片手に握った。
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