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悦楽の狭間で2※
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「これは従姉の大切にしていたもの。だからこうして、タリアス様とのお褥の際に使っているのです。僕は女性の、セフィラの代わりにはなれませんが、少しは女性的に見えるかと思いまして。……くだらない気休めですが」
ではこれは、以前話してくれた彼の従姉の遺品ということなのだろうか。
「女性的になど見えずともよいのだ、ミロ。私は女を抱きたいわけではない。男の身でありながら、男によがらされ喘ぐお前たちを愛していたい」
慰めるように、タリアスが優しく言葉を掛ける。
「タリアス様……」
伸ばされたタリアスの手を取り、ミロは甲に口づけた。親密さと、深い慕情。そんなものが感じられ、ユノンの困惑は一層深まる。
「タリアス様、ミロと、ここで睦み合っておられたのですか?」
本当は考えずともわかることだ。それでも恐ろしくて口に出せなかった。
愛すべき夫に、他に夜を共にする相手がいるなどと。
望んでいたはずのことだったのに、いざそれが現実になると途端に足が竦む。愛し愛されることだけが自分の生きる目的だったのに、それが脅かされる予感に震える。
「お前との初夜を迎えるにあたり、まず少年を一人抱いてみたと過去に話したことがあっただろう?」
ミロはタリアスの手の甲に頬擦りしている。
まさか、と思った。けれどこの予感はきっと当たる。
タリアスの最初の相手、それは――。
「とても嬉しゅうございました。僕の初めてを陛下に捧げることができまして、この上ない幸せです。それに、最初に陛下のお相手を務めた男が僕だなんて。……とても、とても身に余る光栄です」
「な……」
言葉が出て来なかった。
ではミロは、最初から何食わぬ顔をしてユノンの側付きになったくせに、心の中ではお前は二番手だとほくそ笑んでいたのだろうか。
「……裏切られた気分だ」
ここへ来てから今までの、様々な場面で親切に尽くしてくれたミロが浮かんでは消えていった。彼のことは友のようだとまで思った。
つい口をついて出てしまった言葉に、ミロはタリアスの手を離しぶんぶんと首を振る。
「ユノン様、私はあなた様を裏切ってなどおりません! 決して」
「心の中はわからない。口では、何とでも言える」
口だけじゃない、身振りでも。
何度も優しくされ、激しく欲しいと求められ、その気になっていた自分が恨めしい。結局は誰からも大して望まれてなどいないのに。
自分は、いつだって誰かの代わりだ。
「……ユノン様……」
ミロの大きな瞳に、捨てられようとしている小動物のように涙が溜まっていく。それを見ていたくなくて、ユノンはまた目を背けた。
すぐに信じそうになってしまう。こんな愛欲などという一番汚らしくて激しい情の中にいて、優しさなどいらない。かけてはならない。
「ミロ、ユノンは口では何とでも言えると言ったな。では、行動で示してやりなさい」
小動物を優しく撫で回すような、タリアスの声。それが、しかし……とたじろぐミロの声に被せられた。
「お前もユノンを慕っているのなら、きちんと行動でもってどれだけ愛を注いでいるのか証明しなさい。ここは褥。裸の身体で会話をする場だ」
口も行動も同じことだ。結局は人の心の中などわかりはしない。わかり合うことなどできない。
そう考え頑なに口を閉ざすユノンの尻のあわいに、タリアスの手が這わされた。そして指先が埋め込まれた小花を摘まむ。
「あっ、タリアス様……」
ず……ずず……と肉の洞内が引きつれ、杭が引きずり出された。
「あ、う……」
ぽっかりと口を開けているだろう穴を、ミロが食い入るように見つめている。とろりと狭間を伝うのは、タリアスが注いだ白い蜜だ。
「ミロ、見るな」
咎めるように命じてはみるものの、ミロは心奪われたかのように局部に視線を奪われている。ちろ、と小さく出された舌が唇を舐めた。
「さあ、ミロ」
タリアスは再びユノンの膝下に手を添え、大きく股を開かせた。そしてやや強い口調でミロを促す。
ミロは縋るような目でタリアスに頷いたのち、ユノンの股間に顔を近付けた。
「ユノン様、私はユノン様のことも、お慕い申しております。この気持ちに嘘はございません」
「……ひっ、ミロ、やめろ。やめ……う、ああ……」
温かな両手に尻を掴まれ、さらに割り開かれる。そして開花したままの後孔にぬるりと這わされたのは、ミロの舌だ。
「あ、……あ、う……」
ユノンはみっともなく喘ごうとする唇をぎゅっと噛んだ。
「ユノン、せっかくミロがお前を悦ばせるために身体を張っている。声は我慢せず、聞かせてやりなさい」
「は、……い。……あん、や……ミロ……」
じゅる……じゅる……とミロがすすり上げては舌でまさぐる音が、鼓膜を甘く毒していく。
限界まで広げられた脚は耐え難い快楽に突っ張ることもできず、宙で爪先を丸まらせることしかできない。
「ひう、あっ、あっ、ああんっ、やだ……!」
舌は生き物のように這い回る。杭に広げられた洞の中まで侵入し、かとおもうと会陰を舐め上げて幹の根元をぐりぐりと刺激し、時には陰嚢を口に含み飴玉のようにころころと転がされる。
「やあっ、だめ、あんっ、……あ、いやあ……」
いつの間にか膝から手が離れ、タリアスの手が両方の乳首を捏ねている。親指でごく弱い力で転がされると、痺れるような刺激が下半身へと降りて行く。
幹はすでに腹につきそうなほどに勃起している。
「だ、め、……ミロ、タリアスさま……っ、あん」
ぎゅ、ぎゅ、と搾乳するように乳首を摘ままれ、内側が収縮しミロの舌を締め付ける。その度に濡れた感覚に熱い息が漏れてしまう。
股間への刺激にも蕩けきってしまい、身体は時折ビクビクと強張るのに脱力してしまっている。
「ふあ……」
勝手にぽろぽろと目尻から涙がこぼれてくる。
「あ……おかわいそうに、ユノン様。こちらも慰めて差し上げましょう」
ミロがふにゃりと笑うが、彼もまたすでに正気でない。酔ったような熱を含む眼差しでユノンの男根を両手で包み、うっとり見つめるとぱくりと口に含んだ。
「はう……ミロ、いや……」
喉の奥で扱くような動きをしながら、唇を上下に動かす。奥まで咥えこまれて根本を締められ、それなのに同時に先端も刺激されて局部に一気に血液が溜まっていく。
「そんな……されたら……っ」
激しい快楽に止めろと首を振ると涙が飛び散った。
ではこれは、以前話してくれた彼の従姉の遺品ということなのだろうか。
「女性的になど見えずともよいのだ、ミロ。私は女を抱きたいわけではない。男の身でありながら、男によがらされ喘ぐお前たちを愛していたい」
慰めるように、タリアスが優しく言葉を掛ける。
「タリアス様……」
伸ばされたタリアスの手を取り、ミロは甲に口づけた。親密さと、深い慕情。そんなものが感じられ、ユノンの困惑は一層深まる。
「タリアス様、ミロと、ここで睦み合っておられたのですか?」
本当は考えずともわかることだ。それでも恐ろしくて口に出せなかった。
愛すべき夫に、他に夜を共にする相手がいるなどと。
望んでいたはずのことだったのに、いざそれが現実になると途端に足が竦む。愛し愛されることだけが自分の生きる目的だったのに、それが脅かされる予感に震える。
「お前との初夜を迎えるにあたり、まず少年を一人抱いてみたと過去に話したことがあっただろう?」
ミロはタリアスの手の甲に頬擦りしている。
まさか、と思った。けれどこの予感はきっと当たる。
タリアスの最初の相手、それは――。
「とても嬉しゅうございました。僕の初めてを陛下に捧げることができまして、この上ない幸せです。それに、最初に陛下のお相手を務めた男が僕だなんて。……とても、とても身に余る光栄です」
「な……」
言葉が出て来なかった。
ではミロは、最初から何食わぬ顔をしてユノンの側付きになったくせに、心の中ではお前は二番手だとほくそ笑んでいたのだろうか。
「……裏切られた気分だ」
ここへ来てから今までの、様々な場面で親切に尽くしてくれたミロが浮かんでは消えていった。彼のことは友のようだとまで思った。
つい口をついて出てしまった言葉に、ミロはタリアスの手を離しぶんぶんと首を振る。
「ユノン様、私はあなた様を裏切ってなどおりません! 決して」
「心の中はわからない。口では、何とでも言える」
口だけじゃない、身振りでも。
何度も優しくされ、激しく欲しいと求められ、その気になっていた自分が恨めしい。結局は誰からも大して望まれてなどいないのに。
自分は、いつだって誰かの代わりだ。
「……ユノン様……」
ミロの大きな瞳に、捨てられようとしている小動物のように涙が溜まっていく。それを見ていたくなくて、ユノンはまた目を背けた。
すぐに信じそうになってしまう。こんな愛欲などという一番汚らしくて激しい情の中にいて、優しさなどいらない。かけてはならない。
「ミロ、ユノンは口では何とでも言えると言ったな。では、行動で示してやりなさい」
小動物を優しく撫で回すような、タリアスの声。それが、しかし……とたじろぐミロの声に被せられた。
「お前もユノンを慕っているのなら、きちんと行動でもってどれだけ愛を注いでいるのか証明しなさい。ここは褥。裸の身体で会話をする場だ」
口も行動も同じことだ。結局は人の心の中などわかりはしない。わかり合うことなどできない。
そう考え頑なに口を閉ざすユノンの尻のあわいに、タリアスの手が這わされた。そして指先が埋め込まれた小花を摘まむ。
「あっ、タリアス様……」
ず……ずず……と肉の洞内が引きつれ、杭が引きずり出された。
「あ、う……」
ぽっかりと口を開けているだろう穴を、ミロが食い入るように見つめている。とろりと狭間を伝うのは、タリアスが注いだ白い蜜だ。
「ミロ、見るな」
咎めるように命じてはみるものの、ミロは心奪われたかのように局部に視線を奪われている。ちろ、と小さく出された舌が唇を舐めた。
「さあ、ミロ」
タリアスは再びユノンの膝下に手を添え、大きく股を開かせた。そしてやや強い口調でミロを促す。
ミロは縋るような目でタリアスに頷いたのち、ユノンの股間に顔を近付けた。
「ユノン様、私はユノン様のことも、お慕い申しております。この気持ちに嘘はございません」
「……ひっ、ミロ、やめろ。やめ……う、ああ……」
温かな両手に尻を掴まれ、さらに割り開かれる。そして開花したままの後孔にぬるりと這わされたのは、ミロの舌だ。
「あ、……あ、う……」
ユノンはみっともなく喘ごうとする唇をぎゅっと噛んだ。
「ユノン、せっかくミロがお前を悦ばせるために身体を張っている。声は我慢せず、聞かせてやりなさい」
「は、……い。……あん、や……ミロ……」
じゅる……じゅる……とミロがすすり上げては舌でまさぐる音が、鼓膜を甘く毒していく。
限界まで広げられた脚は耐え難い快楽に突っ張ることもできず、宙で爪先を丸まらせることしかできない。
「ひう、あっ、あっ、ああんっ、やだ……!」
舌は生き物のように這い回る。杭に広げられた洞の中まで侵入し、かとおもうと会陰を舐め上げて幹の根元をぐりぐりと刺激し、時には陰嚢を口に含み飴玉のようにころころと転がされる。
「やあっ、だめ、あんっ、……あ、いやあ……」
いつの間にか膝から手が離れ、タリアスの手が両方の乳首を捏ねている。親指でごく弱い力で転がされると、痺れるような刺激が下半身へと降りて行く。
幹はすでに腹につきそうなほどに勃起している。
「だ、め、……ミロ、タリアスさま……っ、あん」
ぎゅ、ぎゅ、と搾乳するように乳首を摘ままれ、内側が収縮しミロの舌を締め付ける。その度に濡れた感覚に熱い息が漏れてしまう。
股間への刺激にも蕩けきってしまい、身体は時折ビクビクと強張るのに脱力してしまっている。
「ふあ……」
勝手にぽろぽろと目尻から涙がこぼれてくる。
「あ……おかわいそうに、ユノン様。こちらも慰めて差し上げましょう」
ミロがふにゃりと笑うが、彼もまたすでに正気でない。酔ったような熱を含む眼差しでユノンの男根を両手で包み、うっとり見つめるとぱくりと口に含んだ。
「はう……ミロ、いや……」
喉の奥で扱くような動きをしながら、唇を上下に動かす。奥まで咥えこまれて根本を締められ、それなのに同時に先端も刺激されて局部に一気に血液が溜まっていく。
「そんな……されたら……っ」
激しい快楽に止めろと首を振ると涙が飛び散った。
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