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娘
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「なんで家上げてんの?」
そこにいたのは、これまた絶世の美少女。
長い黒髪
二重の大きな目
透き通った肌
スラリと長く細い手足
清楚な容姿が、セーラー服によって更に引き立てられる。
どこか面影が…。
まるで樹さんを女性にしたような…。
「あぁ、僕の妻の未麻さんだよ。」
「はぁ?」
間髪入れずに、その美少女は不服の声を上げた。
「どーせ、長続きしないんだから…。」
フンッと鼻を鳴らし、少女はウチをチラリと見た。
少女の大きな瞳は冷たく、そして忌々しげに歪められる。
「そんなヤンキーみたいなオバサン、居ても何にも出来ないでしょ」
「…オバ」
唐突に言われた悪口。
驚きで少し声が漏れてしまったではないか。
こちとら、契約結婚で渋々結婚したのに!
「まー、飯作れんならいいけどー」
そう言うと、美少女は踵を返して二階へと続く階段を登っていってしまった。
とんでもない、嵐のような子の登場にどっと疲れが押し寄せる。
ふと、その時。
いい香りがふわりと漂う。
「彼女が僕の娘、一妃です。」
間近に聞こえた声にぴくりと体を震わせる。
気づけば、至近距離にいる樹さん。
流石、プレイボーイだ。
喪女の私は、その姿にバクバクと心臓を鳴らしながら樹さんの言葉を飲み込もうとする。
「……え?…いつき…?」
「はい、一妃です。」
ニコニコと答える樹さん。
何で父親と娘が同じ読みの名前なの?!
確かに、凄く似てたけど!
ナルシスト拗らせすぎだろ。
「名付けは母親なので」
私の心の中のツッコミを見透かしたような一言。
なんだ…、と安心したのも束の間。
元奥さん相当な強者だな。
様々な情報の嵐に、一息つくまもない。
元奥さんは、きっと樹さんに相当惚れ込んでいたに違いない。
そうでなきゃ、娘に夫と同じ読みの名前は付けないだろう。
そう思うと、何故か一妃ちゃんがとても不憫でならなかった。
父を愛しすぎる母。
ちゃんと愛されていたのだろうか。
そう考えた所で、私は小さく首を振った。
そんな事を私が考えたところでどうにもならない。
そこで同情したって、彼女に失礼だろうし。
結婚したとはいえ、私は彼女の本当のお母さんにはなれないだろう。
彼女の方が、私を受け入れてくれる気がしない。
これから大変だ。
私は隣の樹さんにバレずに、息を吐いた。
そこにいたのは、これまた絶世の美少女。
長い黒髪
二重の大きな目
透き通った肌
スラリと長く細い手足
清楚な容姿が、セーラー服によって更に引き立てられる。
どこか面影が…。
まるで樹さんを女性にしたような…。
「あぁ、僕の妻の未麻さんだよ。」
「はぁ?」
間髪入れずに、その美少女は不服の声を上げた。
「どーせ、長続きしないんだから…。」
フンッと鼻を鳴らし、少女はウチをチラリと見た。
少女の大きな瞳は冷たく、そして忌々しげに歪められる。
「そんなヤンキーみたいなオバサン、居ても何にも出来ないでしょ」
「…オバ」
唐突に言われた悪口。
驚きで少し声が漏れてしまったではないか。
こちとら、契約結婚で渋々結婚したのに!
「まー、飯作れんならいいけどー」
そう言うと、美少女は踵を返して二階へと続く階段を登っていってしまった。
とんでもない、嵐のような子の登場にどっと疲れが押し寄せる。
ふと、その時。
いい香りがふわりと漂う。
「彼女が僕の娘、一妃です。」
間近に聞こえた声にぴくりと体を震わせる。
気づけば、至近距離にいる樹さん。
流石、プレイボーイだ。
喪女の私は、その姿にバクバクと心臓を鳴らしながら樹さんの言葉を飲み込もうとする。
「……え?…いつき…?」
「はい、一妃です。」
ニコニコと答える樹さん。
何で父親と娘が同じ読みの名前なの?!
確かに、凄く似てたけど!
ナルシスト拗らせすぎだろ。
「名付けは母親なので」
私の心の中のツッコミを見透かしたような一言。
なんだ…、と安心したのも束の間。
元奥さん相当な強者だな。
様々な情報の嵐に、一息つくまもない。
元奥さんは、きっと樹さんに相当惚れ込んでいたに違いない。
そうでなきゃ、娘に夫と同じ読みの名前は付けないだろう。
そう思うと、何故か一妃ちゃんがとても不憫でならなかった。
父を愛しすぎる母。
ちゃんと愛されていたのだろうか。
そう考えた所で、私は小さく首を振った。
そんな事を私が考えたところでどうにもならない。
そこで同情したって、彼女に失礼だろうし。
結婚したとはいえ、私は彼女の本当のお母さんにはなれないだろう。
彼女の方が、私を受け入れてくれる気がしない。
これから大変だ。
私は隣の樹さんにバレずに、息を吐いた。
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