「戸籍上の夫婦」の筈なのに？？

婚活アプリ

「いい加減、結婚視野に入れれば…？」




「えぇ…。」



妹の一言に私はスマホを自分の顔面に直撃させた。
角が鼻にクリーンヒットさせたところで、痛みに涙がちょちょぎれそうな目で妹を見る。


「いいじゃん…私のことは…。
　大体、お母さんたちも私の結婚のことは何にも言ってこないんだしさ…。」


そんな私の一言に妹は大きく首を横に振った。


「お母さんはああいってるけど、本当は美麻に幸せになってほしいに決まってるじゃない。」


「そうなの…？」


そう言われると、なんだか結婚に対しての話題が身近なものに感じた。


今まで私のわがままに付き合ってくれた両親に孫の顔を見せてあげる。
これが私の目標のひとつでもあったのに、一体どこで諦めてしまったのだろう。

そうだ。高校生活だ。


私が一切モテなかったどころか、30代になっても彼氏いない歴＝年齢だからだ。


「うん…。結婚ね。おやすみー…。」


そう考えると酷く自分が惨めに見えた。


「まぁ、まぁ、そういわずにさ。
　アタシが使ってた婚活アプリ、教えるからさ！」


妹はそう言いながら、自身のスマホの画面を近づけてきた。

ピンクの可愛らしいクマがにっこり笑っている画像。
その下には『婚活アプリ～メルマ～』の文字。


その画面と妹の顔を交互に見て、私は一つため息をついた。


「分かったから…。」

「やった！」

妹の圧に押され、私は渋々ピンクのアプリをダウンロードする。


こんなので結婚相手が見つかるほど、世の中は甘くはないと思うんだけどなぁ…。
そう心の中で私は呟きながらも、自己紹介欄を埋めていくのだった。

世の中は本当に甘いのだと言うことに気付かず…。