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 「ただ?なんだ!?」

 「アキラ様の実力は、あそこの場にいた者ならば、皆承知しています。が……ただ冒険者ランクが低いため、実力を見ていない者達の信用が……」

 「そうか。もう良い。ギルドをよく知らない内からお前達、無能なギルドの言葉を信じた俺も悪かったのだろう。次からは助けを請いたい時は前金で承るとしよう。次に会うのは敵かも知れないがな?」

 街が壊滅するかもしれない状況を助けてこの境遇だ。またこのギルマスを信じろ!と言われても信じる事は無いだろう。

 「……申し訳ございません……全ては私の力不足ゆえ……しかし我がギルドはアキラ様との縁を切りたい訳ではございません……我がギルド職員が協力させて頂きますので、何卒またギルドにお越し下さい……アキラ様の実力が広く認められるよう、お手伝いさせて頂きます……」

 「ギルド職員が俺にどう協力するというんだ?雑用みたいな依頼を優先してキープしてくれるとか言うんじゃないだろうな?」

 「そ……それは……」

 ギルマスは言い淀む。

 バタン!!

その時、応接室のドアが勢い良く開けられた。

 「私がアキラ様の完全専属になりサポートさせて頂きます!!冒険者としても……その……男性としても……」

 ドアを開けて入って来たのは、冒険者達からの人気が高い受付嬢のリサであった。

 「ほう?ギルドの人気者と聞いているリサさんが俺の専属に?ギルド中の冒険者から恨まれるかもな?」

 「それは……恨まれるかもしれませんが……」

 リサの声のトーンが下がった。

 「冗談だ。人気者のリサさんが俺の下半身の世話も専属だと?それなら願ってもない厚遇だが、本当に良いのか?」
 
 リサは頬を赤らめる。(私がなんで男臭いギルドに勤めてると思ってるの!安月給で品も無い冒険者達を相手にしている理由。。。それは……将来の見込みのある男を見つけるため!!その男を青田買いするために、ばら撒きたくも無い愛想をばら撒いてるのよ!一国を一人で救う事が出来る男!そんな男を放っておく訳がないじゃない!!)

 この時はまだ、俺はリサの心の内に気付いてはいなかった……

 「美人が嫌いな男は居ないという事でしょうね!アキラ様、我がギルドの優秀な職員であるリサを公私共に宜しくお願い致します。」

 ギルマスはしたり顔だ。

 「そちらの誠意はよく分かった。リサさんのアドバイスを貰いながら、ギルドとは協力関係を築けるように努力しよう。」

 我ながら、簡単に落ちたものだ……しかし冒険者の憧れのリサをモノに出来ると聞けば、大概の冒険者は陥落するに違いない。
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