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「お前さんは冒険者かい?」
「ああ、そうだが?」
「そうか……冒険者になって何がしたいんだ?」
「ん?そりゃ金の為だよ。冒険者になれば金が貰えるだろ?ほんで上位の冒険者になれば地位も名誉も手に入るだろ?」
「お前さん、冒険者に憧れてんだな?しかし見ろよ。俺も昔は冒険者だったんだ。でもな?一生懸命頑張ったって、結局は血だ。血の無い冒険者はS級はおろか、A級にだってなれやしないよ。」
「じいさん、冒険者だったのか?血ってのは何だ?」
「血筋だよ血筋!!S級冒険者なんて貴族の血がねぇとなれねんだよ。冒険者ランクが低いと美味しい依頼は回って来ないし、同じ依頼をこなしても報酬は安いまんまだ。要するに形を変えた奴隷の様なもんだ。」
「そんな事あるのか?」
「ああ……冒険者なんて諦めた方がいいぞ……やったって惨めになるだけだ。悪い事は言わねぇ。命がある内……五体満足な内に足を洗っときな。なまじお前さんに才がありゃ足を引っ張られる。それが冒険者の世界だ……」
「足を引っ張るなんてある訳がねぇよ!」
◇ ◇ ◇ ◇
トントントン!!
部屋をノックする音で目が覚めた。イテテテ……頭が痛い……ん?昨日からの記憶がない……飲み過ぎたか?
「お客さん!アキラってお客さんの事だろ?ギルドからお使いの者が来てるよ。下まで降りて来てよ!!」
呼びに来たのは宿屋の少女だ。
「お客?ギルドから?」
「そう!下で待ってるのよ。降りて来てよ。」
頭を整理しながら、階段を降りる。
そうそう、ギルドが報酬を宿屋に持ってくる事になっていた。ようやく来たか。
「これはこれはアキラ様。大変お待たせ致しました。」
この人は確かギルマス。えらく腰が低いな……
「で、報酬を持って来て貰えたのか?」
「はい……ですが問題がありまして……実はアキラ様がGランク冒険者という事でお支払いする報酬に上限がございまして……」
「どういう事だ?まさかGランク冒険者だから、敵軍を俺ひとりで撃退したのに、報酬が払えないと?」
「いえ……払えないという訳では……上限がございますという事でして……」
ギルマスは煮え切らない態度をしている。
「ではいくら報酬を貰えるのか?」
「はい……報酬はこちらでございます……」
俺の目の前に巾着袋が置かれた。これだけ??
袋を開けて中を確認する。金貨だ。一枚……二枚……全部で金貨十枚だ……
「敵軍数百人の首の値段が金貨十枚??このファストリアの街を救ったと自覚してたのだが?全ての報酬が金貨十枚という事か?」
「ああ、そうだが?」
「そうか……冒険者になって何がしたいんだ?」
「ん?そりゃ金の為だよ。冒険者になれば金が貰えるだろ?ほんで上位の冒険者になれば地位も名誉も手に入るだろ?」
「お前さん、冒険者に憧れてんだな?しかし見ろよ。俺も昔は冒険者だったんだ。でもな?一生懸命頑張ったって、結局は血だ。血の無い冒険者はS級はおろか、A級にだってなれやしないよ。」
「じいさん、冒険者だったのか?血ってのは何だ?」
「血筋だよ血筋!!S級冒険者なんて貴族の血がねぇとなれねんだよ。冒険者ランクが低いと美味しい依頼は回って来ないし、同じ依頼をこなしても報酬は安いまんまだ。要するに形を変えた奴隷の様なもんだ。」
「そんな事あるのか?」
「ああ……冒険者なんて諦めた方がいいぞ……やったって惨めになるだけだ。悪い事は言わねぇ。命がある内……五体満足な内に足を洗っときな。なまじお前さんに才がありゃ足を引っ張られる。それが冒険者の世界だ……」
「足を引っ張るなんてある訳がねぇよ!」
◇ ◇ ◇ ◇
トントントン!!
部屋をノックする音で目が覚めた。イテテテ……頭が痛い……ん?昨日からの記憶がない……飲み過ぎたか?
「お客さん!アキラってお客さんの事だろ?ギルドからお使いの者が来てるよ。下まで降りて来てよ!!」
呼びに来たのは宿屋の少女だ。
「お客?ギルドから?」
「そう!下で待ってるのよ。降りて来てよ。」
頭を整理しながら、階段を降りる。
そうそう、ギルドが報酬を宿屋に持ってくる事になっていた。ようやく来たか。
「これはこれはアキラ様。大変お待たせ致しました。」
この人は確かギルマス。えらく腰が低いな……
「で、報酬を持って来て貰えたのか?」
「はい……ですが問題がありまして……実はアキラ様がGランク冒険者という事でお支払いする報酬に上限がございまして……」
「どういう事だ?まさかGランク冒険者だから、敵軍を俺ひとりで撃退したのに、報酬が払えないと?」
「いえ……払えないという訳では……上限がございますという事でして……」
ギルマスは煮え切らない態度をしている。
「ではいくら報酬を貰えるのか?」
「はい……報酬はこちらでございます……」
俺の目の前に巾着袋が置かれた。これだけ??
袋を開けて中を確認する。金貨だ。一枚……二枚……全部で金貨十枚だ……
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