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 城壁に俺達は並べられた。城門の近くはベテラン勢なのだろう。ほとんどが顔見知りのようだ。

 冒険者になりたての俺は城壁の端っこの端っこに配置された。

 全く期待されて無いのだろう……

 「おい、指揮官!こんな端っこだけど、敵が現れたら好きにってもいいんだな?」

 「ほう?冒険者になりたてが大口を叩くな。せいぜいびびって、漏らさないようにしろよ。れるんなら、いくらでもっていいぜ!」

 「言質げんちを取ったからな!後でしっかり報酬を頂くぜ?」

 指揮官から証言を取れた。周りの冒険者も聞いていたはずだ。安心して暴れてやる。

 現在、俺の最大MPは420。連射が効き過ぎる武器を選択すると数秒で弾切れを起こしてしまう。

 ここはブローニングM2だな。幸い城壁の端っこだ。隣に遠慮する必要も無い。

 三脚の銃架で固定された重機関銃。単発でもフルオート連射でも可能な万能銃である。熱感知スコープを取り付ける。

 歴代最も長く軍隊で使用されていた傑作である。その実力を見せてやろうじゃないか!

 両手でハンドルを握りしめる。

 俺の居る城壁の上からは、森の奥に敵であろう熱源を感知している。

 縦長に隊列を組んで進んでいる。木々が邪魔で狭いのだろう。俺の他には誰も敵の気配に気付いていないようだ。

 ここから届くか?

 森から抜け出た所を狙うか!

 敵もさるもの、音がしない様に侵攻している。気付いているのは熱感知出来る俺だけだ。恐らく、森の木々で姿を隠し、城壁に近付けられるギリギリまで潜伏して来る気だろう。
 
 敵の縦に伸びた戦列の先頭は森の木が切れている所まで来た。

 ゴクリと息を呑む……

 敵軍の旗が振り落とされた。

 無言のまま敵軍は猛然と姿を現した。味方はまだ気付いていない。

 ドンドンドン!

 全て見えている俺は、先頭の奴を狙い撃つ。

 敵軍の先頭に的中した。勢いよく前のめりにつんのめっている。

 「敵襲だ!森の木の切れ目だ!」

 俺の銃撃音でようやく味方が気付いたようだ。上位冒険者も呑気なもんだ……

 どのみち味方の攻撃範囲外らしく、誰一人敵を迎撃してはいない。

 デカい口だけの役立たずめ……

 ドドドドドド!!ドドドドドド!!

 敵軍は攻撃された事に気付き、なりふり構わず全軍突撃を開始してきた。辺りに地響きが鳴り渡る。

 ガガガガガガガガガガガ!!!

 乱れ撃ちだ!!俺は森から縦長の隊列で出て来る敵軍に向かってオート射撃を始めた。人が面白いように転がっていく。

 
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