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 「離してください!」

 ポピーは手を振り解こうとするが、男は腕をしっかりと掴み離さない。

 「ほう!口がきけるじゃねーか!てっきり口がきけねーかと思ったぜ!なぁ!」

 男達は下品な笑い声をあげている。

 「貴方達に用はありません。通して下さい。」

 「達に用はないとよ(笑)僕ちゃんかっこいいねぇ~!女の子をいっぱい連れてるから強い所を見せなきゃね!」

 男達は完全に僕達一行を馬鹿にして、からかっている。

 「その手を離しなさい。この方がどなたか知っているのですか?すでに男爵バロンの地位にありながら、間もなく伯爵アールとなられる方ですぞ!相手を見て物を申しなさい!」

 メメが威圧的な態度で男達を諭す。

 「ほーう!この小さな僕ちゃんが伯爵アールだって!?それじゃ俺様は国王ですぞ!!」

 「ギャハハハ!誰が国王だって?盗賊王の間違いじゃねーか??」

 「おい、本当に伯爵アールだったらどうするだよ?」

 「お前は気が小せえな!そんな事ある訳ないじゃねーか。お嬢ちゃんのハッタリだよ。!」

 「ハッタリではありません。いい加減にしなさい!度が過ぎるとこちらも考えますよ!」

 男達の悪ふざけにメメが苛ついている。

 「ほう!お嬢ちゃんかっこいいじゃねーか。」

 男は言葉を発しながらメメのお尻を舐めるように触りあげた。

 その行動にメメは、両手で男の胸を突いた。
 
 「何すんだよ!テメー!」

 その場の空気が一気に張り詰め、一触即発の状態となった。

 「おいお嬢ちゃん!俺達に手を出すという事は分かってるんだろうな!」

 「先に手を出したのは貴方達でしょう?貴方達がやる気なら、私も反撃させて貰いますよ。」

 「やっちまおうぜ!」

 「おうよ!」

 男達が腰に刺している剣を抜いた。街中で剣を抜くという行動は、御法度である。

 「よし!抜いたな!正当防衛だ!僕達は武器を使わず、痺れさせてコイツらを鎮圧するぞ!」

 僕の言葉に皆、察して男達に痺れリキッドを投げつける。

 「うわ!」

 バリン!

 痺れリキッドが命中し、男達の身体に当たった衝撃で小瓶が割れた。中の液体が男達に降り掛かる。

 2人の男は胸に命中したようで、意識をなくしその場に倒れ込んだ。一人は腕に、もう一人は脚に液体がかかったらしく、液体がかかった腕と脚が痺れて動かないようだ。

 「何だ!お前達何をしたんだ!?」

 今まで威勢の良かった男達は震えた声となり僕達から後退りしている。

 「ちょっとからかっただけじゃねーか。悪かったよ。許してくれ……」
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