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 購入した奴隷はそれぞれ従業員用宿舎に部屋を与えた。

 「みんな、こちらが最初から僕の世話をしてくれているマリさん一家です。マリさんの子供のジル、サブ、シーナです。小さい子供なのに、僕の店をずっと手伝ってくれている大事な家族です。みんな仲良くして下さいね。」

 マリさんがクルゴン、エフィル、ネルを連れて従業員用宿舎の中を案内してくれている。

 「まだ新しい従業員を募集する予定だけど、君達が中心になって僕の手助けをしてもらいたいんだ。期待してるよ!」

 「期待してるなど……有り難いお言葉です。ケイタ様のご期待に添えるように精一杯頑張ります。」

 3人に加え、マリさんまでやる気が出ているようだ。

 「じゃあみんな、それぞれの仕事をしっかり頼みますね。」

 叙勲パーティーに来ていた僕の屋敷に泊まりたいという客が、毎日のように入れ替わり立ち替わり来る予定となっている。ずっと相手はしなくても、一度は顔を見せなくてはいけないだろう。

 面倒くさいことになったな……と正直気が重かったが、これも宣伝だと自分に言い聞かせていた。

 ポーション屋、高級雑貨屋、武器防具屋全て商売繁盛していたが、売れ過ぎると在庫が足りなくなるという嬉しい悲鳴であった。

 腕輪型アイテムボックスもそれぞれの店毎にひとつ用意して在庫を腕輪型アイテムボックスに収納していった。

 腕輪型アイテムボックスをそれぞれの店の責任者に装着させる事で、商品の搬入作業が格段に早くなっている。

 「ケイタ様これは凄く便利がいいですね。効果はずっと続くのですか?」

 「マリさん、そうだといいけど、一般的な魔道具と同じで、魔石の魔力が枯渇すれば収納出来なくなると思うよ。収納している物はどうなるか分からないから実験の意味もあるんだ。」

 「そうなんですね。これも商品にすれば飛ぶように売れるのが想像出来たのですが、まだ実験段階という事ですか。」

 「あまりにも強過ぎる道具は悪用されると大変ですからね。慎重にしようかと思っています。」

 マリさんは頷いていた。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 3店舗の経営はマリさん一家をはじめとした従業員達に、屋敷に宿泊している貴族達の世話はクルゴンやエフィネ、ネルに任せていた。僕は宿泊する貴族に挨拶するだけで良かった。

 雑用から解放された僕は、製作作業に集中する事が出来ていた。

 大量に商品を作製しても順調に売り上げがあると在庫がどんどんなくなっていった。嬉しい悲鳴だ。

 あっという間に1ヶ月が過ぎ去り、そろそろ売り上げ報告に行かなければならない。

 マリさんに加えてクルゴンも会計処理を手伝ってくれていたので、僕の役割は報告を聞き、その内容を商業者ギルドに報告に行くだけだ。
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