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 包帯を外したメリッサの顔は、愛くるしい犬っぽい顔であった。

 「治ったの?アタイの目と足は治ったの?」

 「ああ、多分ね。完全に治ったのならメリッサもこれから働いて貰うからね。」

 「何でもするよ!死ぬしかないと思ってたアタイがまた働ける!!いっぱい働くよ!!」

 「おいおいメリッサ。嬉しいのは分かるけど、工房内では走り回らないでくれよ。外に出て好きな様に走っておいで!」

 「分かった!ケイタ様アタイ何でもするからね!」

 嵐の様にメリッサは外に出ていった。

 「材料がまだあるから、忘れないように何本か作るね。」

 復習する様に、僕はエリクサーを製造した。

 結局エリクサーは12本完成した。

 「お見事ですじゃ。ケイタ様。」

 「じゃあ、クルゴンも1本飲んでくれ!」

 「え?私も?」

 「クルゴンも魔力回路の病気で魔法が使えなくなったんだろ?エリクサー飲めば治るんじゃないか?」

 「しかし……貴重なエリクサーを……」

 「無くなればまた作れば良いよ。僕は錬金術師だよ!」

 クルゴンは意を決してエリクサーをグビリと飲んだ。

 「おお……なるほど、ピリピリとして……身体が熱い!魔力がみなぎるのが分かる。ああ……この感覚……久しぶりじゃ。」

 クルゴンは急いで工房から飛び出た。

 何もない上空に向かって手をかざしている。

 「熱き火の矢を放て!ファイヤーアロー!」

 上空に向けたクルゴンの掌からは、赤い閃光が放たれた。

 「魔法が……魔法が戻ったようじゃ……」

 クルゴンの目にも光るものが認められる。

 失われた魔法を取り戻したクルゴンは、老けた身なりが一気に若返った様だった。

 「ケイタ様、魔法を取り戻してくれて感謝するぞい。改めて忠誠を誓わせてくだされ。」

 僕の前で片膝をつき、頭を垂れている。少し偉そうだったクルゴンが丁重な口調となっていた。

 「エリクサーの作り方を教えてくれたおかげですよ。でもこんなに効果がある物は簡単には売らない方が良いかも知れませんね。」

 「そうですな……争いの種になるやもしれませんの。しばらくは秘密にしておいた方が良いかもしれんのう。」

 「痺れリキッドも?」

 「そうですな……痺れリキッドの効果時間によるじゃろうが、悪党に使われると簡単に強盗など犯罪に使われてしまいそうじゃが……魔物に襲われた時などには、効果抜群でしょうな。」

 「せっかくの新商品だけど、これもしばらくは商品にはしないでおこうか……上級ポーションと上級毒消しポーションは売っても良いよね?」

 「それは大丈夫でしょうな。高値でも売れそうですな!」
 
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