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 「続けて男爵バロン叙勲式を執り行なう。商業者ナカムラ・ケイタ!」

 僕の名前と姿を見た参列者からはどよめきが起こった。一度の叙勲式で2度も名前を呼ばれ叙勲を賜ったのである。

 無事に叙勲式が終わり、そのまま大広間では晩餐会となる。早速僕の周りには色々な人が集まっていた。

 ギルドマスターのランドルフに言われていたように、名前と店舗名、住所を書いた名刺を用意していた。

 近付いて来る者と名刺交換を行い、今後行われる叙勲パーティーへの約束を交わすのであった。

 「彼は商業者ギルドに登録してから1ヶ月でAランク商業者にまで登りました。Sランク商業者までももうすぐです。当ギルドの超有望株ですよ。仲良くされて損はないですよ。」

 ランドルフは我が事のように近くにいる貴族達に僕の事を宣伝している。恥ずかしかったが、その事により、僕と名刺交換する人は多くなった気がした。

 晩餐会も無事に終わり、帰りの馬車に揺られていた。

 「意外と緊張しましたね。疲れました。」

 「ナカムラケイタ様御立派でしたよ。かなりの人数と名刺交換されたんじゃないですか?」

 「ランドルフさんの宣伝効果もありましたからね。100枚は交換したんじゃないかな?」

 「ほう、100枚ですか!古くからの貴族には、新しく出たての貴族を嫌う者も多いですので、あの場にいたほとんどの貴族と名刺交換した事になるんじゃないですかね。あの場にいたほぼ全員がナカムラケイタと仲良くなりたいと思った証拠ですよ。」

 「認めて貰えたのなら嬉しいですね。」

 「しかし100名となると叙勲パーティーも大変ですね。1人で来る貴族は居ませんから、同伴者にお供の者もとなると……」

 「そうですね。今の屋敷だと手狭になるので、屋敷の改築が必要ですね。」

 「詳細はまた係の者が参りますが、食事や引き出物の準備など大変そうですね。」

 「もう商売のための宣伝と思って割り切りましたよ。」

 「割り切りの良いのも、商売の上手な者の要素ですよ。」

 帰りの馬車は緊張から解放されて賑やかな雰囲気であった。

 次の日、店舗の開店前に商業者ギルドの職員がやってきた。

 「ナカムラケイタ様はじめまして。当ギルドのギルドマスター、ランドルフから派遣されましたアレクと申します。商売の邪魔にならないように開店前にお邪魔しました。本日は叙勲パーティーに招待する人数と名簿を作成しますので昨日交換した名刺をお貸し下さい。」

 貴族の住居先によっては、当日の宿泊が必要かまで準備がいるようだ。面倒くさい仕事を代行してくれるみたいで、喜んでアレクに任せる事にした。

 
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