上 下
19 / 85
異世界転生

18

しおりを挟む
 「この世界では、錬金術師という職業は忌み嫌われるものなんですか?」

 「まぁー何と言いましょうか……稀少な職業である事は間違いありません。しかし歴史上でも錬金術師と名乗った者は例えば出資させて金品を騙し取ったり、効かない薬を高額で売り付けたりと、往々にして詐欺紛いな事を働いていたのです。そのため錬金術師と言うと詐欺師扱いされる事が多いようです。ケイタ様がそうとは申している訳ではないですが……」

 なるほど……錬金術師とあまり吹聴しない方が良さそうだ。

 「それはそうとケイタ様このゴブリンはいかがしますか?」

 カミヤさんは、岩の下敷きとなった小さな人型の魔物を見ながら話している。

 「これはゴブリンなのですか?」

 「はい、ご存知なかったのですか?」

 この生物を[鑑定]すれば簡単に正体が分かったのに……と今更気付いた。

 「ゴブリンの様な魔物には、魔石があるので、採取しておいた方がよろしいかと。しかしこの岩の下敷きでは、難しいでしょうが……」

 「岩が邪魔なら退けましょう。」

 と大きな岩をアイテムボックスに収納した。

 「それは!まさか!アイテムボックスのスキルですか!そんな大きな物も収納出来るのですか?アイテムボックスのスキルを持つ者を見た事がありましたが、その者は小さな物しか収納出来なかったのですが……?」

 「つい最近、鉱石を何トンと収納出来たので、僕のアイテムボックスはまだ沢山収納出来ますよ。」

 「それは便利なスキルですね。羨ましいです。そのスキルがあれば、馬車で荷物をいちいち運んだりせずとも、行商が出来ますね!」

 「すいません。素晴らしいスキルに話が脱線してしまいました。何か刃物を持っていますか?」

 刃物と言われて先日作成した、鉄の剣を取り出した。カミヤさんは、ぎこちない手付きでゴブリンの心臓部から、小石程の大きさの魔石をほじくり出して、布でゴブリンの血を拭き、僕に手渡した。

 「魔道具を作製する時に必要となるのが、この魔石です。冒険者の間では、討伐した者が、素材の権利を持つという不文律があります。まぁ私はペーパー冒険者ですが。」

 魔石を手にしたが、魔道具という物の想像が出来ない。貴重な物らしいので、アイテムボックスに収納しておこう。

 「ケイタ様、厚かましいお願いとは存じておりますが、聞いて頂けませんか?もし可能であれば、馬車の荷台の荷物をアイテムボックスで運んで頂く事は出来ないでしょうか?もちろん御礼をお支払い致します。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ぽっちゃりおっさん異世界ひとり旅〜目指せSランク冒険者〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
酒好きなぽっちゃりおっさん。 魔物が跋扈する異世界で転生する。 頭で思い浮かべた事を具現化する魔法《創造魔法》の加護を貰う。 《創造魔法》を駆使して異世界でSランク冒険者を目指す物語。 ※以前完結した作品を修正、加筆しております。 完結した内容を変更して、続編を連載する予定です。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

ギャルゲーの悪役子息に転生しましたが、主人公の邪魔をする気はないです。 それよりも領地に引きこもってのんびり魔道具開発を行いたいです。

みゅう
ファンタジー
ギャルゲーオタクな友達がはまってたゲームの極悪非道な悪役子息に転生した主人公 宮野涼。 転生した涼は主人公(ヒーロー)をいじめれるようなメンタルなどない。 焦った涼が見つけた趣味は魔道具開発?! これは超マイペースな涼が最高級の暮らしを送るため魔道具開発にいそしむ話である。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!

ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。 婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。 「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」 「「「は?」」」 「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」 前代未聞の出来事。 王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。 これでハッピーエンド。 一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。 その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。 対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。 タイトル変更しました。

処理中です...