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 「一時でも、御世話になった事実がありますのでシルメン教団には感謝致しております。しかし私達を利用しようとし、さらにデニス先生に圧力を掛けて内通者としてアルフォンス公爵のために働かせていた事も知っています。なので御協力は辞退致します。」

 「そのような……私共シルメン教団と聖女様は同じ女神様の信仰者として言わば兄弟の様な関係ではありませんか?」

 「同じ女神様を信仰していたとしても、別々に活動する事に何の問題もないと存じますわ。シルメン教団の方々は、ご自身の活動をされれば良いのでは?」

 「それでは、聖女様はシルメン教団の後押しは必要ないと?」

 「必要ございません。なのでシルメン教団も私の名前を利用しないようにお願い致します。」

 「なんと……」

 「それから、この国の中では普及・啓蒙活動は禁止致しますので、悪しからず。」

 「それでは、聖女様はシルメン教団とは何の関係も持ちたくないと?」

 「そうは言っておりません。が、シルメン教団の上層部に不信感を持っている事は事実です。今後協力関係を築けるか否かはお互いの状況によるのではないでしょうか?」

 偵察と協力関係を築くために来たと思われるシルメン教団の使者は、偵察のみしか任務を行えず、グレートホープ聖国を後にした。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 国の運営には才能がある者をどんどん抜擢していた。

 その者達の働きにより、国はどんどん大きくなり栄えている。逆に周辺国では、衰退が激しくなっていた。

 今やフェリカ王国は国家運営が困難なほど衰退し、領土のほとんどをグレートホープ聖国に割譲していた。住民の多くも入国審査を受けてグレートホープ聖国の住民となっていた。

 グレートホープ聖国では、以前の経験や職歴に囚われず、才能により人材を抜擢する事が評判を呼んで、未だに入国希望者が多く訪れているのであった。

 特に他国ではコネがなく要職に就けない、才能溢れる人材が夢を抱きグレートホープ聖国に訪れていた。

 他国で孤児となった少年少女も数多くグレートホープ聖国の国民となっていた。

 孤児院を作り、彼等、彼女らの生活の基盤を支えた。行き場のなくなった若者達は、聖国のために懸命に働いてくれた。才能溢れる若者達は、私の手足となり働いていた。彼等、彼女らに足りないものは、経験のみであった。

 私も歳の近い彼等、彼女らと共に、様々な事を経験のある者達に教わっていた。

 「聖女様!なぜこの様な優秀な若者達が孤児となってしまったか、分かりますか?」
 
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