上 下
49 / 62

49

しおりを挟む
 街に残り、農作業や木工作業をする者を残して3万人の大兵力でフェリカ王国を目指した。

 攻める立場であった、フェリカ王国が今度は逆の立場になったのである。

 途中途中の土地に家族が住んでいる者は合流して一足先に建設する街に戻っていく。

 
 ◇ ◇ ◇ ◇


 聖女が軍隊を吸収して逆に攻めて来る!

 聖女に降る事を良しとしなかった兵士達はほうほうの体で王国に戻って来ていた。戻って来た兵士達から、噂が広まったのである。

 フェリカ王国では、情報が錯綜している。

 「陛下!陛下!」

 「これが最後のチャンスです。なにとぞ聖女サラと融和を図り、穏便に収めて下さい。敵対したままでは絶対にいけません。陛下!陛下!なにとぞお願い致します。」

 「宰相!そなたはうるさいのう!我に説教する気か!もう良い!そなたには、しばらく暇を与える。しばらく我の前に姿を見せる事を禁じる!分かったか?」

 「陛下!なんと!?」

 「宰相!陛下のお言葉ですぞ!直ちにお引取りなされ!」

 アルフォンス公爵は、意地悪そうにニヤついている。

 「あとは公爵に任せれば良い!頼んだぞ公爵!今日はどんな趣向を用意しておるのじゃ?」

 「陛下!国務の事は私に全てお任せ下さい。何も心配は要りません。陛下今日のとぎは世にも珍しい両性具有という者を用意しております。必ずや陛下のお気にいる事と存じます。」

 「さすが公爵よのう。お主は誠に優秀な男じゃ。そなたが居れば、この国は安泰じゃのう。」

 「陛下勿体無きお言葉でございます。」

 身のない言葉を尻目に、宰相は肩を落として部屋を出て行った……

 元指揮官統率力◎のアーノルドと忠烈なるおとこのトニー率いる3万人近くの軍隊はフェリカ王国の国境を越え、王都ペリシアに迫っていた。

 家族と合流出来た者は、財産を積んだ馬車でフェリカ王国を後にしている。その様子を見ているフェリカ国民にも動揺が走っている。

 寡兵となったフェリカ軍には、私達を制止する力はすでにない。私達の侵攻を見守るだけである。

 大きな戦闘行為を交わす事もなく、家族を奪還する事が出来ていた。

 多くの兵士は家族と財産と共に、建設する街に凱旋帰国を果たした。

 森を切り開き、建物を建設し、田畑を切り拓く。

 王都ペリシアに多くの兵士と練り歩いたのが宣伝となり、フェリカ王国に愛想を尽かした多くの人々が新たに移転して来ている。

 廃れた街は、数ヶ月後には多くの住民と共に領土をどんどん広げて街の規模の大きくなっている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義妹に婚約者を奪われて国外追放された聖女は、国を守護する神獣様に溺愛されて幸せになる

アトハ
恋愛
◆ 国外追放された聖女が、国を守護する神獣に溺愛されて幸せになるお話 ※ 他の小説投稿サイトにも投稿しています

聖女の能力で見た予知夢を盗まれましたが、それには大事な続きがあります~幽閉聖女と黒猫~

猫子
恋愛
「王家を欺き、聖女を騙る不届き者め! 貴様との婚約を破棄する!」  聖女リアはアズル王子より、偽者の聖女として婚約破棄を言い渡され、監獄塔へと幽閉されることになってしまう。リアは国難を退けるための予言を出していたのだが、その内容は王子に盗まれ、彼の新しい婚約者である偽聖女が出したものであるとされてしまったのだ。だが、その予言には続きがあり、まだ未完成の状態であった。梯子を外されて大慌てする王子一派を他所に、リアは王国を救うためにできることはないかと監獄塔の中で思案する。 ※本作は他サイト様でも掲載しております。

聖女ですが、大地の力を授かったので、先手を打って王族たちを国外追放したら、国がとってもスッキリしました。

冬吹せいら
恋愛
聖女のローナは、大地の怒りを鎮めるための祈りに、毎回大金がかかることについて、王族や兵士たちから、文句ばかり言われてきた。 ある日、いつものように祈りを捧げたところ、ローナの丁寧な祈りの成果により、大地の怒りが完全に静まった。そのお礼として、大地を司る者から、力を授かる。 その力を使って、ローナは、王族や兵士などのムカつく連中を国から追い出し……。スッキリ綺麗にすることを誓った。

悪役令嬢と呼ばれて追放されましたが、先祖返りの精霊種だったので、神殿で崇められる立場になりました。母国は加護を失いましたが仕方ないですね。

蒼衣翼
恋愛
古くから続く名家の娘、アレリは、古い盟約に従って、王太子の妻となるさだめだった。 しかし、古臭い伝統に反発した王太子によって、ありもしない罪をでっち上げられた挙げ句、国外追放となってしまう。 自分の意思とは関係ないところで、運命を翻弄されたアレリは、憧れだった精霊信仰がさかんな国を目指すことに。 そこで、自然のエネルギーそのものである精霊と語り合うことの出来るアレリは、神殿で聖女と崇められ、優しい青年と巡り合った。 一方、古い盟約を破った故国は、精霊の加護を失い、衰退していくのだった。 ※カクヨムさまにも掲載しています。

【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪

鈴菜
恋愛
あらゆる傷と病を癒やし、呪いを祓う能力を持つリュミエラは聖女として崇められ、来年の春には第一王子と結婚する筈だった。 「偽聖女リュミエラ、お前を処刑する!」 だが、そんな未来は突然崩壊する。王子が真実の愛に目覚め、リュミエラは聖女の力を失い、代わりに妹が真の聖女として現れたのだ。 濡れ衣を着せられ、あれよあれよと処刑台に立たされたリュミエラは絶対絶命かに思われたが… 「残念でした♪処刑なんてされてあげません。」

聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)

蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。 聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。 愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。 いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。 ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。 それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。 心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。

孤島送りになった聖女は、新生活を楽しみます

天宮有
恋愛
 聖女の私ミレッサは、アールド国を聖女の力で平和にしていた。  それなのに国王は、平和なのは私が人々を生贄に力をつけているからと罪を捏造する。  公爵令嬢リノスを新しい聖女にしたいようで、私は孤島送りとなってしまう。  島から出られない呪いを受けてから、転移魔法で私は孤島に飛ばさていた。  その後――孤島で新しい生活を楽しんでいると、アールド国の惨状を知る。  私の罪が捏造だと判明して国王は苦しんでいるようだけど、戻る気はなかった。

聖女の私は妹に裏切られ、国を追放することになりましたがあなたは聖女の力を持っていないですよ?〜国を追放され、劣悪な環境の国に来た聖女の物語〜

らん
恋愛
 アデリーナ・ハートフィールドはシライアという国で聖女をしていた。  ある日のこと、アデリーナは婚約者であり、この国の最高権力者ローラン・ベイヤー公爵に呼び出される。その場には妹であるグロウィンの姿もあった。 「お前に代わってグロウィンがこの国の聖女となることになった」  公爵はそう言う。アデリーナにとってそれは衝撃的なことであった。グロウィンは聖女の力を持っていないことを彼女は知っているし、その力が後天性のものではなく、先天性のものであることも知っている。しかし、彼に逆らうことも出来ずに彼女はこの国から追放された。  彼女が行かされたのは、貧困で生活が苦しい国のデラートであった。  突然の裏切りに彼女はどうにかなってしまいそうだったが、ここでただ死ぬのを待つわけにもいかずに彼女はこの地で『何でも屋』として暮らすことになった。  『何でも屋』を始めてから何日か経ったある日、彼女は平和に過ごせるようになっていたが、その生活も突然の終わりを迎える。

処理中です...