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 足跡の痕跡は消している。なぜ王国の兵士達は、私達を追いかけて来ることが出来るのか?

 私達は、魔物の森を抜けて、大きな水場に出た。巨大な湖だ!!

 追っ手の数人だった兵士の人数は膨れ上がり、数百人はいる!!

 湖に行く手を阻まれた私達の逃げ場はない……

 仕方なく湖の淵を周り兵士達から距離を取る。数百人のいる兵士達は、既に軍隊だ!

 足跡を消す偽装する時間もなく、とにかく私達は、軍隊から逃げていた。

 湖の水辺を回った死角に、大きな船が停まっている。船の上には、食料品を用意してくれた、以前占いでた卸問屋がいた。

 「サラ様!急いで皆を船に!急いでください!」

 「どうしてここに!?」

 「理由は船の上で!とにかく急いでください!」

 皆を船に乗せていると、水上では私の隠蔽の祈りは無効になるのか?軍隊に遂に発見された!

 ピィィィー!

 けたたましい笛の音色が鳴り響き、

 「居たぞー!船だ!船に乗ろうとしているぞ!」

 軍隊の騎馬部隊が迫って来る!

 「早く早く!船を離岸させて!」

 騎馬部隊は、馬上から弓矢を雨嵐と撃ち込んでくる。

 船の甲板の上に無数の矢が刺さった。

 間一髪で軍隊の追撃を免れたようだ……

 「まずは危機を救って頂き、みんなを代表して感謝致します。ありがとうございました。」

 私が頭を下げると従業員、その家族も頭を下げた。

 「でも、どうしてここへ?船まで一体……?」

 「実は聖女様が店に来られたすぐ後に、軍隊の斥候隊がウチで食料品を調達に来たんです。その時に聖女様を追い掛けている。行方を知らないかと尋ねられて……当然知らないと伝えましたが、森の奥は湖で行き止まりになるので、追われたら逃げ場がなくなると思い、湖で遊覧船をしている親戚の船を持ってきたんです。湖の反対側まで行きますので、当分、軍隊は追って来れないでしょう!」

 「なんと!船がなければ私達は捕まっていましたわ。本当に感謝致します。でも船を出した事で、貴方方が罪に問われないかしら?」

 「その時には、聖女様達に脅されて無理矢理船を出させられたとでも言いますよ。」

 「是非そう言ってください。」

 卸問屋とサラはニヤリとした。

 「サラ様、お話の途中失礼致します。先ほど軍隊から放たれた弓矢に文が混ざっておりました。」

 文が括り付けられた弓矢を持ってきた。

 文を外して中身を見てみると、

 《親愛なるサラへ。そなたとの婚約が不調に終わり、僕の心は波立っている。寝ても醒めても、そなたの事ばかり考えているのだ。そなたには、僕の父親からのいわれなき中傷を受けて、心から済まないと思っている。その中傷を止めるためにも、一度は不調となった僕との婚約を再び考えてくれないだろうか?君の安全と幸せを願って。ボクリアより愛を込めて!》

 父親も父親なら、息子も息子だ!頭に蛆虫うじむしが湧いているのではないだろうか?

 文を二つに破り捨てた。

 

 
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