上 下
109 / 127
上級冒険者

男の行方

しおりを挟む
 「乗りかかった舟だからね。力になれるか分からないけど、出来る事は協力するよ。」

 『くにどんよ!感謝するぞ!』

 『くにどんよ!我が一族を代表して我も礼を言わせてくれ。ありがとう、くにどん。』

 安全の確保の為、卵と玉石のウシュルガム様は、宝物庫のまま待機してもらう。

 僕達は、転生してきたという男の生存を調査するということで話がまとまった。

 「ウィーヴィルよ!一度王都に戻り王様に聞いてみるかな?」

 『そうじゃのう…行きたくはないが、エルフ族、ドワーフ族、竜人族にも聞き取り調査をしたいのう。』

 乗りかかった舟と言ったが、これは大変な事になるぞと僕は武者震いをした。

 宝物庫に入った時と同じように、ドラゴンの封印をして、僕達は宝物庫から出た。

 ドラゴン族の復興が、ウィーヴィルと僕の手にかかっている?

 途方も無い計画に先が思いやられる。

 「ウィーヴィルよ!王都[ローマン]に帰るか?」

 『そうじゃのう…何が正しい行動か分からんのう……』

 僕はウィーヴィルの背に乗り、古代都市アルテノンを後にした。

 正直荷が重く、逃げ出したかった。

 僕とウィーヴィルは黙ったまま空を飛んでいた。

 途中、竜人族が近くにいるというエトナ火山を再び見る事が出来た。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 数日の飛行の後、僕達は王都[ローマン]に戻ってきた。

 街の中に入るには、守衛の入場審査を受けなければならない。

 ドラゴンに乗った僕に、入場審査を待つ行列は道を開けた。

 僕は金色のギルドカードを首から出し見せたが、ドラゴンには身分証明書がない。

 守衛もどうしたもんかと判断を迷っていた。

 上空から入ってもいいが、衛兵達と揉め事は起こしたくない。

 「ウィーヴィルちょっと悪いけど、森の所らへんで待っててくれない?許可が取れたら、呼び寄せるから。」

 『仕方あるまい。何か狩りをして楽しむかのう!』

 ウィーヴィルは森へ、僕は街の中に入っていった。

 まずは、商会に向かった。

 統括マネージャーのアントニオが従業員にテキパキと指示を出していた。

 「くにどん様!お早いお帰りでしたね。もっと留守にされるかと思っていました。」

 「僕ももっとかかると思ったんですが、一度戻ってきました。何か変わった事はないですか?」

 「生活魔道具として販売した魔石の有効期限が切れてくる頃です。魔石の交換を都度していきたいため、時間があれば魔石に魔法付与をお願いします。」

 「分かりました。今日は[くにどんハウス]に戻るようにしますので、材料を運んでいて下さい。」

 「既に色々準備しておりますので、よろしくお願いします。」

 流石に手際が良い。

 「流石ですね!作製したら置いておきますので、頼みますね。」

 「了解致しました。くれぐれもご無理をされないようにご自愛ください。それから居酒屋はまだ工事中ですが、立ち飲みはオープンしていますので、時間があれば是非ご覧下さい。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。 物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。 4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。 そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。 現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。 異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。 けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて…… お読みいただきありがとうございます。 のんびり不定期更新です。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio
ファンタジー
 なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。  こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。  なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。  自分の中に眠る力とは何なのか。  その答えを知った時少女は、ある決断をする。 長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!

処理中です...