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中級冒険者

戦闘評価

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 僕は、[ローマン]のギルマス、マルコと握手を交わした。

 「アレックス久しぶりだな!元気にしてたか?今日はわざわざすまないね。」

 [ナホリ][ローマン]の2人のギルマスがハグをして何やら話している。

 「積もる話は色々あるけど、それは後にしよう。戦闘評価の説明を改めてするよ!」

 攻撃魔法は禁止。

 身体強化などの補助魔法は使用可能。

 基本的に物理攻撃で戦い、対象となる僕が一定の戦闘能力を有するかを、判断する試験である。

 「2人の準備が良ければ、はじめたいが?」

 僕は、身体強化、隠密を自分にかけた。

 アイテムボックスから、[ドラゴンの剣]を取り出し握った。

 腰に[慈悲の短剣]も刺してある。

 「僕は準備オッケーです。」

 「私もだ。」

 「それでは、戦闘評価を開始する!」

 まずはお互い距離を取り相手の様子を伺う。

 ギルマスの手にある[ギルマスの剣]も業物である。

 ジリジリとお互い近付き、手始めに剣をぶつけ合う。

 「ほう!くにどん君、初心者講習の時とは段違いだな。私も手を抜かずに行くぞ!」

 ギルマスの動きは早い。

 僕よりも力もかなり強い。

 僕の攻撃が、見切られている気がする。

 そうだ!以前ギルマスを鑑定した時に、ギルマスは[気配察知]のスキルを持っていた事を思い出した。

 つい昨日、黒竜ウィーヴィルにもアドバイスされたじゃないか?

 [気配察知]で相手の行動を予測することで先手を取ると…

 僕は、全神経を研ぎ澄ませ、ギルマスの一挙一動を観察した。

 ピコン♪

 『気配察知レベル1を習得しました。』

 普段なら、新しいスキルを覚えた事で喜ぶのだが、ギルマスに比べてレベルが低いため、後手を踏んでしまう。

 瞬発力、筋力もギルマスが有利である。

 持久戦に持ち込むにも、体力はほぼ同じようだ。

 ギルマスは脳筋特化タイプなため、攻撃魔法禁止というルールは僕のみ不利な条件であった。

 僕が有利な分野は武器の優劣のみである。

 [ギルマスの剣]も業物であるが、[ドラゴンの剣]には敵わない。

 剣で撃ち合う時に、刃と刃がかち合うように刃を合わせた。

 撃ち合いでも、完全に僕が押されている。

 何度か切り傷を作られて、回復魔法で治療するはめになっていた。

 かなりの時間戦っていた。

 ギルマスは今まで戦ったどの人間、魔物より強い!(ドラゴンは別にして…)

 体力がなくなってきても、お互い回復魔法を持っているため、体力が回復されている。

 「くにどん君が近接戦闘でこれほど戦えるとは正直驚きだ……」とお世辞か、本当の気持ちか、分からない言葉を発している。

 ギルマスが体重をかけた一撃を振り下ろした瞬間、僕は、ずっと狙っていた、[ギルマスの剣]の根元の同じところに刃を当てて受けた。

 ピキン…

 もう一息だ。

 カキーンカキーン!

 激しく撃ち合う。

 ピキン…バキン…

 ヒビが入った!

 あと一撃だ!と守勢に回っていた僕が反撃に出た。

 パキーン!

 [ギルマスの剣]を叩き折った。

 武器がなくなったギルマスは体術で反撃しようとしている。

 しかし剣対無手である。

 試合を見物していた[ローマン]ギルマスが試合を止めた。

 「それまで!勝負がついた!」

 カッコいい勝ち方ではなかったが、唯一の僕が優っていた武器の優劣に、勝負のポイントを絞った僕の作戦勝ちであろう。
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