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中級冒険者

最深部

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 いよいよダンジョンの最深部である。

 自分に回復魔法をかけ体力を回復させる。

 隠密、身体強化をかかっている事を確認する。

 効果がすぐに切れる[慈悲の短剣]に麻痺魔法を付与する。

 準備万端な事を確認して最深部のボスの扉を開けひらいた。

 そこには巨大なドラゴンがいた。じっくりとドラゴンの身体を観察した。

 [ドラゴン]巨大なトカゲの体にコウモリの翼、カギ爪と尾を持ち炎を吐く。貪欲であり、黄金を集め守っている。

 黄金が持っているのか?

 ドラゴンの目がサッと動き僕の姿を見た。

 再び目を閉じたと思った瞬間、ドラゴンが息を吸い込み、炎を吐きかけてきた。

 ゴオオオオ!

 火炎放射器のようだ。

 ドラゴンの鼻からは、くすぶった煙が立ちのぼっている。

 ドラゴンは起き上がった。

 デカイ!

 ゴーレムや、トロールの比ではない。

 後ろ脚で立ち、前脚を振りかぶると前脚を僕に向かい振り下ろしてきた。

 僕は、余裕を持って避けたが、避けた地面には、爪で大きくえぐられた爪痕が残っている。

 僕の頭の中に声が聞こえる。

 『ほう!避けたか?弱き者。お前は何をしに我の寝床に来たのだ!返答次第では喰い殺すぞ!』

 低く唸るような声が聞こえる。

 「話が出来るのですか?」

 『当たり前であろう!我を誰と心得る。ふむ?しかし我の言葉を理解出来た人族は初めてか?』

 加護の[共通言語理解]により言葉が分かるのだろうか?

 「ダンジョンを攻略しに来ました。出来れば貴方と戦いたくはないのですが……」

 『ほう!勝手な言い分だな弱き者よ!このまま立ち去る事は許さん!我の眠りを妨げた罪を受けるがよい』

 ドラゴンは再び息を吸い込み、

 ゴオオオオ!と炎を吐きかけてくる。

 火を避けても、火傷するように熱い。

 僕は自分に水魔法をかけ濡らし、炎で焦げないようにした。

 『すばしっこい小さき者め!』

 部屋中が炎に巻き込まれるような大きな炎を吐きかけてきた。

 僕は前方に冷凍魔法を放ち、炎を相殺した。

 『しつこい奴じゃの!燃え尽きるまで許さんぞ!』

 ゴオオオオ!ゴオオオオ!ゴオオオオ!

 炎の勢いが止まらない。

 僕も負けじと前方に冷凍魔法をかけ続けた!

 どのぐらい耐えたか分からないほど時間が経過した。

 するとプスプスプス…

 と炎がなくなり、ドラゴンの鼻から煙りがくすぶっている。

 『しつこい奴じゃの!?』と息を切らしているようだ。

 「それではこちらから行きますよ!」

 冷凍魔法を何発も当て続けた。

 効いていないようだ。

 それならと、[慈悲の短剣]で斬りつける。

 小さな傷であるが、ドラゴンの鱗を通り抜いて、身体に傷付ける事が出来ている。

 [麻痺]が付与している筈だが、効果がない。

 冷凍魔法を付与し直す。

 斬りつけた傷から

 パリパリパリ!

 と範囲は小さいが、凍り出している。

 「行ける!」

 と手応えを感じた僕は、手を休めず、ドラゴンの身体を斬り刻む。

 ドラゴンも爪や尻尾を振り、僕をはたき落とそうとしてくる。

 ドラゴンの右後脚の周りはほとんど凍った状態になった。



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