ぽっちゃりおっさん異世界ひとり旅〜目指せSランク冒険者〜

中級冒険者

祝賀パーティー４

　「どうだ王様も大変だろう？外から見ると楽そうに見えても結構大変なんだぞ！」

　挨拶地獄が終わった王様は僕にボヤいている。

　「何も食べてないから、酔っただろう？少し腹に入れないか？」

　テーブルの方に、王様と一緒に行った。

　「お父様、くにどん様、お疲れ様でした！くにどん様スピーチ素敵でしたわよ。」

　と料理を載せた皿を持ったアンジェリカが来た。

　「はい、どうぞ！」

　料理を載せた皿を僕だけに手渡してくれた。

　「おい、アンジェリカ！ワシの料理は？」

　「お父様は今から取り寄せてあげますわ。」

　「おい、くにどん君。アンジェリカに好意を持たれた様だな！？アンジェリカが自分から男性に近付くのを初めて見たぞ！いつもは男性から擦り寄られる事ばかりだからな。」

　王様であり、アンジェリカのお父様である。なんと答えて良いか分からない。

　「歳も同じ様だし仲良くしてやってくれ。あんまり仲良くするとジェシカに怒られるかな？」

　王様は自分で言って大笑いしている。

　「どうしたの？お父様。そんなに大笑いして。はいどうぞ。」

　アンジェリカが料理を持ってきた。

　「ちょっとちょっと！油断も隙もないんだから。」

　ジェシカが騒がしく乱入してきた。

　「そうだ！お父様。先ほど言ってたくにどん様のお風呂の生活魔道具を見せてもらったらいかがかしら？私［くにどんハウス］というくにどん様の御屋敷でお風呂に入れて貰った事があるけど、凄く便利で良いわよ。」

　ジェシカがお風呂に僕の屋敷でお風呂に入ったと言うと、王様、アンジェリカの２人がピクリと反応した。

　「あっジェシカ。作っていた生活魔道具は全てルイーダ商会に卸して在庫がないんだ。ルイーダ商会も隠居するかもって言ってたし…」

　しまった。まだ決まっていない事を喋ってしまった。

　「くにどん君ルイーダ商会が隠居ってどういう事だい？」

　「いや、まぁその…」

　「国の流通に関わる事になるかもしれないので、正直に教えてくれないか？」

　「実はまだ決定ではないのですが、ルイーダ商会の会長のルイーダさんが、番頭の事件にショックを受けていまして……」

　とルイーダ会長は、家族で経営出来る程度の規模で服飾店のみをする。商会は僕に引き受けて欲しいと言われ、返事を保留している。従業員の雇用を守りたいとルイーダ会長は懇願してきた。従業員全員は商会に残らないかもしれないが、有能な従業員は残る見込みで、僕が引き受けても手伝ってくれそうだ。

　とあらましの説明をした。

　「で、くにどん君は何故商会を引き受けないのかね？理由を教えてくれ。」

　僕は従業員まで引き受ける自信がない事。重荷になる事。冒険者として気楽に生きたいと正直に話した。

　「王として、くにどん君に要請したい。是非商会を引き受けて欲しい。くにどん君の有益な商品はこの国の生活を豊かなものにする事になるだろう。王城や大臣、貴族にも君の商品を欲しがる者は多くいる筈だ。手助けが必要ならば、誰か信用できる者を王城から派遣しても良い。」

　王様から要請されるとは……