上 下
59 / 127
中級冒険者

工場跡地

しおりを挟む
 僕は、工場跡地へ走った。

 [くにどんハウス]から、ジェシカが出る所を、ノストラ・ファミリーに見られていたんだろう。

 ジェシカを妹の様に思えてきてたのに、こんな事になるなんて……

 工場跡地についた。不安で胸が張り裂けそうになる。正面の扉は半開きで開いている。

 行こう!と心構えをして工場跡地に入っていった。

 奥に男達が数人立っている。

 ジェシカは縛られて猿ぐつわをされている。

 『ウーウー!』

 必死に何か伝えようと訴えかけている。

 「ジェシカ大丈夫か?ゴメンな?」
 
 ジェシカは涙目になりながら、首を横に振り喚いている。

 「おい!にいちゃん。お前自分が何をしたか分かっているよな?」

 「指名手配の犯罪者を捕縛した事か?」

 「それが何か悪いのか?」

 「にいちゃん自分の立場が分かってない様だな?よしやれ!」

 ジェシカの横にいる男達が、ジェシカの腕の内側にナイフを突き刺した!

 『ウーウー!』

 ジェシカが泣き喚く。

 「分かった!やめてくれ!僕は何をすればいい?」

 ジェシカに危害が及ばないように、なんとか助けださなければ。

 「まず腰の短剣を外してコッチへ放れ!」

 「下手な事するなよ。女の子がどうなるか分かっているな?」

 僕は身体強化をかけて隙を伺っていた。

 「にいちゃん分かってないな?よしやれ!」

 今度はジェシカの反対の腕の内側にナイフを突き刺した。

 「身体強化を誰がかけていいと言った?オーラで分かるんだよ!止めれよ!」

 僕は言われるがままに身体強化を止めた。

 「まずはここに正座しろ!」

 正座した瞬間、角材で背中を殴られた。

 「ちゃんと座れよ。」

 前につんのめった僕の身体を、起こす様に、男の靴先で僕の顎を持ち上げた。

 次の瞬間、男の足が僕の横顔を蹴り上げてきた。

 今度は僕は横向きに倒れた。

 「なんで俺達のファミリーに目をつけたんだ?ん?」

 横向きに倒れた僕の顔を靴で踏みつけてくる。

 人質を取られ、抵抗出来ない僕をボコボコに蹴りつける。

 「言わねーようなら、言いたくなるようにするか?」

 ナイフを取り出し、今度は僕の腕の内側に突き刺した。

 腕に冷たい感覚がきたと思うと、急に熱くなり血とともに痛みが襲ってくる。

 「女の子は両手だったな!」

 と反対側の腕にも突き刺した。

 僕は痛みをこらえて

 「あなたが親分ですか?」

 「俺が親分?親分はお前みたいな小物を相手にしねーよ。」

 と一言言う度に蹴りつけてくる。

 僕に注意が向いてる間はジェシカには手を出されてないようだ。

 「親分さんに、直接謝罪と謝罪金をお支払いしたいのですが?」

 「ほう!?お前今いくら持ってるんだ!?』

 「今は金貨50枚ぐらいです。」

 「あんな立派な御屋敷に住んでたら、そんぐらいはあるよな?でもそれじゃ足りねーな?」

 「親分さんの所で相談させて下さい。」

 男はしばらく考え

 「よし分かった!変なマネするんじゃねーぞ!おいお前ら馬車を用意しろ。」

 ジェシカの周りにいた男達がジェシカの側を離れた。

 次の瞬間、僕の頭上に何か降ってきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio
ファンタジー
 なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。  こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。  なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。  自分の中に眠る力とは何なのか。  その答えを知った時少女は、ある決断をする。 長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。 物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。 4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。 そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。 現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。 異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。 けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて…… お読みいただきありがとうございます。 のんびり不定期更新です。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...