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中級冒険者

ピレンチェ再び

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 僕もアイテムボックスには簡易テントを持っていたが、御者の用意したテントを張るのを手伝った。

 木を拾い集め、火魔法で焚き火を起こし、僕は火の前で警戒しておく事にする。ルイーダさん、御者はそれぞれテントで休んで貰う事にした。

 夜間何も起こらなかった。鳥のホーホーと言った泣声が聞こえたぐらいである。

 太陽が昇る前に馬車は出発して夕方には[ピレンチェ]の街に到着した。

 僕が前回泊まった[黄金の鹿亭]の系列店だという[白金の虎亭]に泊まるようだ。

 宿屋の前に馬車を停め、馬車は馬小屋で過ごすようだ。

 さすがに、僕は一般部屋であったが、それでも立派な部屋であった。

 夜食はルイーダさんと一緒に食堂で取り、色々な話を聞かせてくれた。王様一族とも取引をしているという事。

 王様には、12歳になる娘がいて溺愛しているという事。

 [ピレンチェ]では、金の装飾品を持つ事がステータスで、代々親から子へと金製装飾品が引き継がれる伝統があるという事。

 [ピレンチェ]での過去の栄華を極めた一族の歴史の話。

 芸術の変遷の話。

 過去の悲しい男女の恋愛の話。

 ルイーダさんは博識で、話も上手くとても楽しい時間が過ごせた。

 部屋に戻ると前回気に入ったお風呂を楽しみにしていた。違う宿屋だけど、系列店ならばお風呂があるだろうと期待していたのだ。残念な結果だった。

 [白金の虎亭]ではお風呂ではなく、サウナ形式であった。熱した石に水をかけ蒸気を発生させるサウナ形式であった。

 サウナで汗をかき暑くなった身体に水を被る入浴スタイルである。

 嫌いではなかったが、僕はやはりお風呂に浸かるという行為が好きなのである。

 汗を流せてサッパリはしたが、満足出来ず眠りについた。

 早朝から朝食を取り馬車に乗り込んだ。早くも出発である。

 馬車に乗るとルイーダさんから

 「サウナに入りましたか?私はあのサウナが大好きでして。」

 ルイーダさんは、お風呂よりサウナ派だったみたいだ……

 「僕は、サウナも良かったですが、お風呂の方が好きみたいです。」

 「くにどん様はお風呂派でしたか。次の機会があれば、良いところを知ってますので、案内しますね。」と期待する事を言われた。

 僕は【探索】をかけながらも馬車内では、ルイーダさんと会話を楽しんだ。

 ルイーダ商会の1番の商品は魔道具であるの事。

 電気がないこの時代では、魔石に光魔法を付与させた電灯の魔道具が、夜道や夜の店の重要な灯りとなっているらしい。

 木の箱の中に、冷凍魔法を付与した魔石を入れた冷蔵庫という魔道具も売れ筋らしい。

 [付与魔法]という魔法は、初めて聞いたが、僕の創造魔法ならば、[付与]する事が出来るんじゃないかと思った。

 大勢のゴブリンに襲撃された時に、ゴブリンの魔石を、数多く採取したが、全てギルドで買い取って貰ったので、魔石は持っていない。

 街道沿いに転がっている小石を拾いたいが、いちいち馬車を停めるわけにもいかず、思わず

「小石よ来い!」と念じてみた!
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