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中級冒険者

ピレンチェの夜

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 テーブルに腰掛けると、奥では楽器で演奏しながら陽気な歌を歌っている男性がいた。演奏を聴きながら、食事を楽しむ事が出来るのである。

 [黄金の鹿亭]では、食事は宿代に含まれるが、酒代は別料金になるという。

 [宿り木]の様な飲み放題システムはなく、1杯いくらで計算していく様だ。

 酒の種類が書かれた紙を貰った。

 [キールロワイヤル]

 と書かれた酒を頼んでみる。1杯銀貨5枚だ!

 この店は、高い!

 薄いガラスに金で模様がされたグラスに、透明な泡が湧き出る飲み物が運ばれて来た。

 上品だな!僕も上品にひと口飲んでみる。

 シュワー!

 軽い炭酸に、果実の香りがする、飲んだ事ない上品な飲み物だ。

 演奏が心地良く、あっという間に飲み干してしまった。

 次は、[シャルドネ]というのを頼んでみた。これも銀貨5枚だ。

 懐には銀貨300枚ほどあるが、宿代も高く、この調子で飲んでいると相当な額になりそうだ。

 前菜が運ばれてきた。

 [プロシュット]空の皿が目の前に置かれた。

 吊るされたブタのモモ肉の燻製を、目の前で切り分け、皿にサーブしてくれるのだ。

 ブタのモモ肉の燻製を、薄くカットして数枚僕の空の皿に乗せていく。その上に、チーズを薄く削った物を、ふりかけていった。

 ナイフとフォークが用意されており、僕は小さく切り分けると味わってみた。

 燻製の芳醇な香りが鼻腔を抜け、チーズの濃厚な香りが追いかけて来る。かすかな塩味の味付けが美味い!

 塩味に[シャルドネ]の刺激ある炭酸が良く合う。

 [アランチーニ]

 お米の中にチーズが入ったライスコロッケだ。外はカリッと、中から熱々チーズがトロッと出てくる。熱々チーズにシャルドネが抜群だ。

 [カルパッチョ]

 白身の魚にたっぷりオリーブオイルをかけハーブをあしらった逸品。白ワインと合わせると、いくらでも食べられいくらでも飲める。

 [ラザニア]

  薄く平べったいパスタにミートソースをかけて、その上からチーズをのせ、オーブンで香ばしく焼き目をつけてある。

 [グラッパ]

 最後にデザート酒として甘いが、アルコールがキツイ酒を出してもらった。レモン味のレモチェッロが特に気に入り、何杯もお代わりしてしまった。

 [ピレンチェ]の夜はお風呂、美食、美酒で過ぎて行った。すっかり前世でのぽっちゃりおっさんの様なひとときを味わう事が出来た。
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