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中級冒険者

金の街ピレンチェ

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 ほとんど寝る事が出来ず、朝を迎えた。夜間に物音はするものの、何事もなかった。

 空が白み始めると、僕は動き出した。森を出て馬車が通っていた街道に向かう。

 この辺りまで来るとひと安心だ。

 今まで居た[ナホリ]に戻るか?隣町の[ピレンチェ]に行くか?

 計画では、ゴブリンを狩った後は、[ナホリ]に戻る予定であった。

 しかし昨日の馬車の商人達の話では、[ナホリ]より[ピレンチェ]の方が近いようだった。

 徒歩移動なので、近い方が良い。

 よし!決めた!

 隣町[ピレンチェ]に行こう。

 [ピレンチェ]から、[ナホリ]に戻る馬車があるだろうから、馬車で戻ればいい。

 街道を、[ピレンチェ]の方角に歩いて行く。

 【探索】しながらも、道すがら薬草類を採取していった。

 狩り慣れた[角ウサギ]も発見して狩っていった。

 途中、すれ違う馬車もあり、人の姿を見ると安心した。

 夕暮れ前に[ピレンチェ]に到着する事が出来た。

 [ピレンチェ]の入り口にも守衛がおり、入場審査をしている。

 僕の順番が来た。プレートネックレスのギルドカードを見せると、問題なく通過出来た。

 入り口横の木製看板には[金の街ピレンチェ]と書いてある。

 通りは、石作りの道路で、[ナホリ]と変わらないが、大きな川が街の中心部にあり、川をまたぐように、大きな石製の橋が架かっている。

 橋は通りの幅が広く、橋の上の両端にはそれぞれお店がズラーっと並んでいる。

 お店の前には、ガラス板で店内が見えるようになっており、金を加工した商品や、鞄、靴など上質な加工品が並べられている。

 通りの人にギルドの場所を聞いてみた。すると[ピレンチェ]は商人の街で冒険者ギルドはないとの事だ。

 商人達のギルドのような、[ルイーダ商会]と呼ばれる商人連合があるようだ。

 せっかく[ピレンチェ]の街に来たのだから、楽しんでいこう。お店に入り商品を眺める事にした。

 金の金具が豪華なハンドバック屋さん、ピカピカの革靴屋さん、金製品の手や首に着けるアクセサリー屋さん、どこも僕には敷居が高い高級なお店だった。

 街の人によると、この川の上の石橋はこの街のシンボルであり、より高級な店が出店しているらしい。

 貴族や上流階級の人々の御用達のお店のようだ。

 街を散策していると辺りが暗くなって来たので、この街での宿を探す事にした。

 宿屋[黄金の鹿亭]という看板を掲げた宿屋を見つけた。

 ちょっと高そうだなと思いながら、入り口のドアを開ける。

 [ナホリ]のランタンの灯りとは違い、眩しいくらいの明るさだ。

 朝夜の食事付きで一晩銀貨50枚という。

 [ナホリ]の宿屋[宿り木]の5倍の値段だ!

 あまりの高さに目が飛び出そうになったが、昨日はほとんど寝ていないので、ゆっくり寝る場所が欲しい。

 一晩だけ宿泊をお願いした。

 通路も絨毯が敷き詰めてあり、何から何まで豪華だ。

 眩しいくらいの灯りは、魔道具だという。

 部屋には、お風呂の様な大きな水桶があり水が張ってある。

 側にある、袋入りの魔道具を水に入れると、水が暖かく沸き、お風呂になるという。

 異世界では、お風呂で入浴する事が非常に貴重であり、僕は今まで入浴する場所すらなかった。

 異世界で初めての入浴である。

 水が暖かくなると嬉々として入浴した!

 「あああー!!サイコー!!!」

 お風呂は最高に気持ちがいい。

 僕は、魔道具や水桶を準備して、いつかお風呂を作ろうと固く決意した!

 お風呂から出ると肌触りの良い布で体を拭き、部屋着として置いてある麻布の服を着る。

 軽くて暖かい。さすが高級な宿屋である。

 身なりが綺麗になるとお腹が減っている事に気付く。

 食堂に行き、テーブルに案内されて腰掛けた。
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