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 今や完全にツンツン棒と化したスケルトンの剣で、魔法陣を突っつく。うーん……何かパワーを感じるが、剣では、ダメだ。

 僕も男だ!意を決して小指一本を立てる。

 魔法陣の中心目掛けて、男らしく、目を瞑り、そぉーーーっと触れた。

 その瞬間!!

 幾何学模様が一斉に動き出し、僕の小指から渦を巻くように身体の中に吸い込まれていった。

 あまりの勢いに後ろにひっくり返り、尻もちをついた。

 慌てて手を振り解くが、目に見える限りには何も変わった事は無い。今のは何だ!?
 巻物に描かれていた魔法陣は、そこに何も無かった様に消えている。
 立ち上がり腰の埃を叩く。

 おそらく魔法陣が僕の中に取り込まれた??

 右手の掌を開き、前に手を伸ばす。

 魔法よ!出ろ!

 ………誰にも見られずに良かった………明らかに厨二ポーズであった。

 詠唱が必要なのか?

 「現れよ!ファイヤーボール!!」

 ………そりゃ何も出ないよね………だって科学の進歩が目覚ましい2022年だもんね………魔法が使える訳ないよね……

 念のため巻物は貰っていこう。リュックに巻物を入れてジッパーを閉める。あ!あそこの角に何かある気がする。

 部屋の角に行くと数センチ四方のタイルに違和感を感じた。これはまた『おでんツンツン男』の出番か?スケルトンの剣でタイルを押す。

 ギッギッギー……

 入った扉と宝箱以外何も無いと思っていた部屋に隠し扉が現れ、その扉が開いた!!

 僕の本能が、この扉を通れ!と叫んでいる!!

 ヘッドライトの明かりを頼りに隠し扉を潜る。狭い通路だ。真っ直ぐ立つと頭が当たるので、腰を屈めて進む。

 何故だか進む先の通路が頭に浮かんでくる。初めて通る通路なのに、既視感があるぞ?おっと!!この壁の向こうにはスケルトンが居る!!

 どうした事だ!?まるで今居るダンジョンが透けて見える様だ。ダンジョン内に居る魔物の姿まで見える。

 狭い通路に苦戦しながらも、魔物の気配が察知出来るため、魔物に遭遇することは無かった。

 突き当たりだ。突き当たりの壁を両手で押してみる。ガタガタ……壁は少しずつ動き向こう側に倒れた。ドッシーン!!

 濛々と土埃と共に明るく広いダンジョンに戻ってきた。おいおい……ここは、ご親切に5階毎に出没するというボス部屋の前じゃないか!

 数メートルのあろうかという大きな半円形の扉がそびえ立つ。今まで降りて来たダンジョンを地道に戻るか?ボス部屋に入り、ボスを討伐して、転移エレベーターで戻るか?の選択である。

 こらこら!!まだ考えてる最中でしょうが!?ボス部屋に入ると決意もしていないのに、半円形の大きな扉が勝手に開き始めた。
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