高嶺の娼婦は嫌われ騎士に囲われて

かべうち右近

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15.戦争英雄の傷 ※

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 エーギルの家は、代々爵位こそないものの騎士の家系だった。父も、祖父も、曾祖父も皆騎士であり、エーギル自身も父が戦場を駆けるのに少年のころから見習い騎士として随行していた。
 だが、戦争は死と隣り合わせであり、いつだって理不尽が襲う。エーギルの父もまた、戦死したのである。

 もともとかろうじて騎士の褒賞で食いつないでいた家だ。大黒柱である父の死で、家は一瞬で傾いた。

「あんたがあの人を守ってさえいれば……!」

「お前が代わりに死ねばよかったんだ」

(……その通りだ)

 本来ならば愛を存分に注いでくれるはずの母親や家族から、そんなふうに罵られていてさえ、エーギルは反論しなかった。なぜなら、エーギルの父が死んだのは敵に斬りかかられた彼を父が庇ったせいだからだ。そのときにエーギルも顔や身体に瀕死の重傷を負ってはいたが、彼が父の命を奪ったのは間違いない。必然的に父の死をもたらし、ひとりおめおめと生還してしまったエーギルは、家族から憎まれたのだ。

 そんな家から逃げるように戦場へ行き、騎士の叙勲を受けたあとも家には寄り付かず、金だけを送ってエーギルはひたすら戦場で剣をふるい続けていた。

 そうして戦争を終わらせて男爵の位を授かり、ようやく生家へと戻ったときには、家族は流行り病で皆死に絶えていたのだった。彼は戦争によって天涯孤独になったのである。

 幼馴染だったポールとドリスは、いつの間にか結婚して所帯を持っていた。彼らは独りになったエーギルの屋敷で働くことを申し出てくれ、幸いにも彼が真の意味での孤独になることはなかった。だが、結婚してしかるべき彼には、縁談が来ない。

 平民の騎士から男爵位に成りあがったエーギルを、元から貴族の者は嫌った。平民から貴族に成りあがったとなれば、平民の商人などは普通なら喜んで縁談を申し込むだろう。だが、エーギルは家族を失っていることや戦争で成りあがったことから、「獣の死神」の忌み名をつけられて平民からさえ敬遠されている。縁起を担ぐ商人たちが、エーギルと縁を結びたいと思うわけがなかったのだ。

 ポールとドリスは、幼いころと変わらずエーギルに接してくれる。だが、仲睦まじい彼らを目にするだに、彼がこう思ってしまうのも無理はないことだろう。

(しょせん俺は、愛される資格なんてない)

 だから伴侶を得ようなどという夢は早々に諦めた。諦めたつもりだった。それなのに、エーギルは誰かを求めようとしてしまう。

(いっそ、家族なんて最初からいなければよかった)

 幼いころはよかったのだ。エーギルは愛されていたのだから。優しく笑って抱き締めてくれる母に、剣術の稽古をつけてくれる父。厳しくも包み込んでくれる祖父母。貧しくとも、愛のある幸せな家庭というのは、ああいうものだとエーギルは知っている。

 知っているからこそ、得られない今が辛い。

 だからというべきなのか、エーギルは娼館に通うようになった。

「止めはしないけどさあ……あんまり無理するなよ」

「……ああ」

 人肌が恋しくなっては、娼館に足を運ぶエーギルを見かねて、ポールがそう声をかけたこともある。心配をかけているとわかっていても、エーギルは得られない愛を求めることをやめられなかった。

 娼婦たちは皆、エーギルに冷たい。身体が傷だらけの男なんて、騎士を相手にする娼婦ならば慣れっこだ。だが、エーギルはいかつい顔つきに、巨大な身体。彼がその気になれば娼婦などいとも容易く捻り殺されるだろう。怯えた娼婦たちは肌を許してくれないし、リップサービスすらくれない。それでもほんのひと時、繋がらせて体温を分けてくれる。

 そんな彼の運命の出会いは、王都にあった。

 王の召致で、王都へを足を運んだときだ。戦争英雄になったエーギルに対し、タッサ王は「褒賞はいらないのか」と何度目かの問いをしているところだった。

「俺には過ぎた栄誉です」

 謁見の間でエーギルはタッサ王にそう答える。王としては、何がなんでもエーギルには国の楔となってもらわねばならない。

「そうだ。そなた、女を買うのが好きだと聞いたぞ」

 いいことを思いついたとばかりに、王が言う。それに対してエーギルは嫌なことを突っこまれたと、顔をしかめた。

「極上の夢を見せてくれる娼婦がおる」

 その言葉に、エーギルは初め興味を示さなかった。

「王国直営の娼館でな。粒ぞろいの娼婦たちだが、その中に誰であれ満足させると評判の娼婦がおるのだ」

「……誰でも?」

 ぴくりと眉を動かしたエーギルに、王はぱっと顔を輝かせた。

「そうだ! 連日予約が入っておるがな、そなたが望むならその娼婦を今夜、いや明日もだ、便宜を測ろう。どうだ?」

「……ですが」

 王にそんな便宜をはかってもらうような価値のある人間ではない。エーギルは心底そう思っている。その一方で、『誰でも満足させる』という言葉が気になった。

(……俺のような人間でも、相手に、してくれるのか?)

「ああ、ああ。構わぬ、遠慮はいらん。すぐに手配しよう」

 笑った王は、エーギルにそう言って、その夜の娼館の予約を割りこませたのだ。金はエーギルが払ったものの、王の便宜がなければ割り込むことなどできなかっただろう。王からしたら、王国直属の娼館の女に溺れてくれるなら、それで構わないのだ。金であれ、身分であれ、女であれ、とにかくエーギルがタッサに骨を埋めてくれればそれでいい。

 そうして、エーギルはその夜、アルヤに出会ったのだ。

 部屋に踏み行って目にしたのは、貴族の淑女と見間違うばかりの美女だった。

 ドアの正面に設置されたソファに座っている彼女のことを、エーギルは一瞬本当に娼婦なのだろうかと疑った。彼には生地やドレスの良し悪しなどわからなかったが、彼女が纏うドレスはいかにも貴族のようだったし、肌は傷ひとつない滑らかな陶磁の肌だ。よく見る酒焼けした肌の荒れた娼婦では考えられない。美しく巻かれた金色の髪は、ランプしか灯っていない薄暗い部屋でさえ、その艶やかな髪が光り輝かんばかりである。だが、一番に目を奪われたのはその瞳だった。

 貴族らしい緑の瞳が珍しいのではない。長いまつげが縁取った大きな瞳は、驚いたようにエーギルをまっすぐに見つめている。それ自体は珍しいものではない。彼の巨躯に驚きおののく娼婦はいつものことだ。だが、彼女はただただ、珍しいものを見るように彼を見つめているのだ。その視線に嫌悪の色が浮かんでいない。

「あなたは相手がどんな男であれ、相手をしてくれる女性だと聞いたが、合っているか?」

 つい、いらないことを聞いていた。だが、彼女はふんわりと笑って答えてくれる。

「どんな噂が出回っているのかは存じませんが、わたくしは娼婦でございますよ?」

(受け入れる、という意味か? だが……)

「だが、俺の身体は大きいだろう。それに顔にこの傷だ。相手を拒む女性は多い。受け入れたとして震えて泣き叫ぶばかりでな」

「あら……」

 そもそもエーギルは、娼婦を買ったとて、ベッドで拒まれることだって多かったのだ。それを、この身体を見て受け入れると言ってくれただけで信じがたい。だというのに、アルヤはエーギルの頬の傷に触れてとろけるような笑顔を浮かべた。

「こんなに雄々しくたくましい方を、拒む方がいるんですの?」

「……っ」

(そんなわけないだろう!)

 心の中で、そう叫びかけて、エーギルはぐっと堪える。

 きっとこれは、アルヤが一流の娼婦だから言ってくれているのだろう。誰であれ満足させる女なのだ。心のうちではエーギルの巨躯に恐れを抱いていたとしても、それを気取らせない技量を持った女性に違いない。

「……噂は本当のようだな。では、今からあなたを抱いて構わないな?」

「もちろんでございます」

 笑って答えてくれたアルヤを立たせると、彼女は素直にエーギルのエスコートに従ってくれる。

「あなた様のお名前をうかがってもよろしいですか?」

 そう問われて、エーギルの身体が止まった。普通、娼婦は客の名など尋ねない。それは金を払って劣情を発散するだけの相手に名乗る必要などないからなのもあるし、名前を知られれば男側に不都合があることも多いからだ。逆に言えば、娼婦が名前を尋ねるのはその娼婦にとって好ましい相手だからだろう。

「あなたは誰にでも……いや。名前を聞かれたのは初めてだ」

「そうなのですか? わたくし、あなた様のお名前を呼びながら……抱かれ、たいです……」

(何……)

 驚きで覗き込んだアルヤは、かあ、と頬を赤らめて伏し目がちになって恥じらっている。

 抱かれたい。

 そんな言葉を言われたのは、産まれて初めてだ。

(これは、彼女の本心なのか? ……いや、そんなわけない。俺みたいな男に……だが……)

 エーギルは大昔に見た光景を思い出す。父はよく、母に感謝を示すとき、愛情を示すとき、母の手をとって指先に口づけていた。

 思い浮かんだ瞬間には、エーギルはアルヤの指先に口づけていた。

(これが嘘でもいい。この時間だけだ。彼女に愛されていると、思いたい)

「俺はエーギルだ。俺にも、あなたの名前を教えてくれ。あなたのことを何と呼べばいい?」

 緑の瞳を見つめる。その視線に自分でも熱が籠っているのがエーギルにはわかっていた。

「アルヤとお呼びください。エーギル様」

「ああ、アルヤ。いい名前だ」

 全ての言葉に優しく返してくれる彼女の名は、アルヤ。その唇が自分の名前を呼んだというその事実が、エーギルの胸を揺さぶる。演技だとわかっている。それでも、彼女が欲しかった。

 気づけば吸い寄せられるように、エーギルはアルヤの唇に近づけていた。そうして触れる直前にはっとする。

「口づけてもいいか?」

 エーギルは、口づけをしたことがない。愛撫で舌を使うことはあっても、今までその恐ろしい顔面が娼婦の唇を奪うことは許されなかったのだ。だからあえて、エーギルも求めてこなかった。なのに。

(俺を、受け入れてくれるなんて、そんな期待を……)

 自分の愚かさを思ったとたんに虚しくなる。だが、そんな彼の葛藤を、いとも容易くアルヤは吹き飛ばした。

「許可なんていりませんわ」

 柔らかな唇が、エーギルのものをついばんでいた。初めてのその感触を逃すまいと思ったわけではないが、エーギルは無意識にその唇を追って、何度も口づけていた。

 その後は、もう彼女に溺れるだけだった。アルヤに翻弄され、気づけば彼女の口の中に子種を吐き出していた。

「わたくしを朝まで可愛がってくださいませ」

 そんな言葉まで告げられて、エーギルは泣きそうになる。

「あなたは……勘違いしそうになるな。俺にだけ、こんな優しいのかと」

「勘違いではありませんわ。その、わたくし」

「いい、皆まで言うな」

 彼女は王国直下の娼館の一流の娼婦だ。演技に決まっている。だが、今は夢を見ていたい。

(せめて、貴女を抱いている間だけは、これが嘘でないと想おう)

 一流のもてなしをする彼女に対し、そんな興醒めな本音を告げることはせず、エーギルはアルヤを抱いた。どんなに彼が激しく求めても、アルヤは全身で答えてくれる。全てを悦んでくれ、自分に甘えて身を委ねるのが、エーギルは泣きたいくらいに嬉しかった。

 そうしてまさに夢のようなひと時を過ごして、エーギルは翌日も彼女に会いに行こうと決意したのであった。翌日、タッサ王に再度呼び出され、気に入ったのであれば身請けしてもいいと言われて面食らったものの、それをエーギルは言下に断ることなどできなかった。

(彼女が俺の腕の中にいてくれるなら)

 きっとそれは昨日の夢以上に、素晴らしいだろう。

(彼女を、俺なんかに縛りつけてしまうが……)

 迷いがないわけではないが、エーギルは王の申し出を受け入れることにしたのだ。アルヤには莫大な借金があるのだという。それを全て王が負担してくれるというのだから、この上ない話だった。

「彼女が、俺に身請けされてもいいと言うなら、そうします」

(アルヤの言葉が全て嘘でも、俺はそれでもいい)

 そうして王の話を受けた夜に、エーギルはアルヤに切り出した。

「俺に身請けされてくれないか」

「嬉しいです、エーギル様」

 ムードも何もない言葉に、彼女は一流の娼婦の仮面で答えて、ふわりと笑ってくれた。こうして、エーギルはアルヤを手に入れた。

(身請けされた後に彼女が変わっても構わない)

 長年周囲の人に嫌われ続けた男が、一晩や二晩、優しくされたからと言ってそれを心から信じられるわけではない。だが、アルヤの言葉を娼婦の嘘だと思っているくせに、彼女の仕草や言葉一つ一つに舞い上がっている自分がいる。

(これは重傷だ)

 娼婦の演技をやめても、一夜の夢を見させてくれたのだからそれで構わない。そう思っていたはずなのに、エーギルはずぶずぶと彼女にはまりこんでいく。なぜなら、アルヤは一向に演技をやめなかったからだ。

 エドフェルト男爵邸に移り住んでしばらく経ち、その夜もエーギルはアルヤを求めていた。

「んぁ……っ」

  アルヤとエーギル、二人で使うためのベッドを用意して、充分に広くなったそこで、しっとりと汗をかいたアルヤが声をあげる。湯あみのあとに彼女がわざわざ着てくれる煽情的なナイトウエアを焦らしながら脱がし、仰向けになって全身をエーギルに曝け出した彼女の肌を存分に堪能して、そうして求められて身体を貫く。太すぎる肉棒に奥を穿たれたアルヤは、うっとりとエーギルを見つめて言うのだ。

「もっと……は、ぁあ……エーギル、様……」

 アルヤは言葉と共に、蜜壺がぎゅうっとうねって全身でエーギルにねだる。彼女と初めて肌を合わせたときからずっと、アルヤはこの演技を変えない。元客で、今は身請けされたのだとはいえ、なんと健気だろうとエーギルは思う。

「あまり……煽ってくれるな。我慢が……っきかない、だろう……!」

 太ももを抱えて、エーギルはばちゅんっと強く奥を穿つ。初めてのときは挿入の時点でずいぶん狭いと感じていた彼女の蜜壺も、連日の情事ですっかりエーギルの巨根を受け入れるのに慣れ、乱暴にも思えるピストンでアルヤは激しくよがる。

「ふぁあ……っあっぁあっがまん……なんて、しない……で……くだ、あっは、ぁあ……っ」

 彼女の言葉に甘やかされて、エーギルはより早くピストンをくりかえす。近頃はずいぶんと彼女とまぐわうことに慣れて、長く抽送を続けられるようになった。だというのに、アルヤの奥を突くたびに、快楽で涙をこぼす彼女の姿に煽られて、気を抜けばすぐに達してしまいそうになる。

 見苦しく忌むべきエーギルの巨躯と傷痕に、アルヤが手を伸ばして、いかにも愛しそうにそれを撫でてくれるのが苦しかった。だが。

(嬉しいと思ってしまうなんてな)

「アルヤ……っ!」

 腰を強く打ちつけて止まり、濁流のような情欲を彼女の中に注ぎ込んで、エーギルは達する。それをきゅうきゅうとうねる蜜壺で残らず受け止めたアルヤは、嬉しそうに微笑んだ。

「エーギル様……」

 身を屈めて軽く口づければ、アルヤは当たり前のように舌を絡めて応えてくれて、エーギルはより深く彼女の口を貪った。

 エーギルを孤独に落とした数々の傷痕が、アルヤに撫でられると癒されるような気がして、より強く彼女を求める。エーギルも、アルヤとなら歩んでいけるのかもしれない。彼女からは、愛されてもいいのかもしれない。

 やっとそう、思えはじめてきたところだったのに。
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