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5.初めて見る世界
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翌朝目覚めたアルヤは、寝る直前のエーギルの話がリップサービスなどではないことを実感することになった。どうやらアルヤが寝入ったあとに、彼女の返事を店の者にエーギルが伝えたらしく、下女によってすっかり旅支度が整えられていたのだ。と言っても、客から贈られた数々のドレスの全てを持って移動するのは現実的ではなく、ほとんどを娼館に残して、数着分の着替えや最低限の身の回りの品のみを鞄に詰めただけのものだ。
いつも身の回りの世話をしてもらっている下女に最後の身支度を手伝ってもらったアルヤは、娼館の店主に会いに行った。そうして、アルヤが真実、エーギルに身請けされるのだと説明を受ける。店主の部屋から出たアルヤを待っていたのは、エーギルだった。彼女が部屋から出てきたのを見て、エスコートのためか、そっと身体を屈めて、手を差し出してくる。
(……この娼館から自由になる日はないと思っていたけれど……)
店主の部屋を振り返らず、アルヤは一歩踏み出してエーギルの手を取る。
「アルヤ。貴女に謝らねばならないことがある」
エスコートで歩き始めたエーギルが、ごく真剣な声音で言い出した。
「どうかなさいまして?」
「すまない。これから貴女には俺と共に馬に乗って移動してもらいたいんだ。俺が馬車で来ていればよかったんだが……ここに来るときは誰かを連れて帰る予定なんてなかったから」
あけすけに『ただ娼婦を抱きにきただけだった』と告白されてアルヤはくすくすと笑ってしまう。それは裏を返せば、たった一晩でアルヤをどんな手を使ってでも手に入れたいと熱をあげてくれたことの証左だろう。そう思えば、アルヤは胸のあたりがフワフワとするような気がした。
「……気を悪くしたか?」
「いいえ。そんなはずありませんわ。わたくし、ずっと乗馬というのをしてみたかったんですの」
「そうか……」
アルヤの言葉にあからさまにほっとした様子のエーギルに、また彼女はくすくすと笑う。そんな会話を交わしながら歩いて、あと一歩踏み出せば、娼館の外だ。これまで、何度もこの建物の外には出たことがあるが、今日のその一歩は、今までと全く意味が違う。
「馬に乗っていけるなんて嬉しいですわ」
そっと一歩を踏み出せば、明るい朝日に満ちた通りに出る。その日光の眩しさに目を細めて、アルヤは自然と口元を笑ませた。じわじわと現実感を伴ってきてはいるものの、アルヤは未だ夢の中にいるような気持ちだ。
「ならよかった」
短く答えたエーギルもまた、穏やかな笑みでそう答える。そうして外を見たエーギルは、何かに気づいたように視線を向けた。
「ああ、もう馬に荷物を積んでくれたのか」
娼館を出てすぐのところで、店の男が馬を一頭連れていたのに声をかける。
(……まあ!)
その馬を目にしたアルヤは目をみはった。
つやつやとした毛並みは全て黒く、大きな筋肉の浮いた立派な身体は、これまで目にしたどの馬よりも大きい。その馬にアルヤの荷物と思しき鞄が括りつけられているが、その小さくはないはずの鞄が小さく見えるほどに、馬は大きかった。
「立派な馬ですね!」
「ああ。軍馬の中でも品種の違う馬でな。俺を乗せるのに普通の軍馬では小さすぎる」
「そうなんですのね。あの……不躾かとは思うんですが、触れてみてもよろしいですか?」
「……怖くないのか?」
驚いたようなエーギルに、アルヤが首を傾げると、彼はまた穏やかに笑んでエスコートの手を離した。
「いや、なんでもない。ぜひ触ってやってくれ。首のあたりを撫でてやると喜ぶ」
「わかりました。お名前は?」
「スヴァルトだ」
「ありがとうございます」
黒馬に近づけば、彼女の品定めするように鼻先を近づけた。そのスヴァルトにアルヤは「はじめまして」と声をかける。するとスヴァルトはひくひくと鼻を動かしたあとに、アルヤの肩あたりに頭をこすりつけた。甘えたようなその動作に驚きながらも、アルヤはスヴァルトの首筋を撫でてやる。
「わたくしは重いかもしれないけれど、これからお世話になりますわ、スヴァルト」
「貴女は羽のように軽いだろう」
笑いを含んだ声に振りむこうとしたときには、アルヤの身体は宙に浮いている。ふわっと抱えあげられて、降ろされたかと思えば、もうそこは馬上だ。
「ほら、軽い」
「エーギル様」
急に持ち上げるなんて、と言おうとしたアルヤは、はた、とその視線の高さに気づいた。スヴァルトの背に横座りの形で乗せられたアルヤは、さすがにエーギルよりも目線が高い。その彼の肩越しに、店主やアルヤつきの下女が身請けの見送りのために出てきているのが目に入った。彼女の視線が動いたのにつられたエーギルが後ろを振り返って、「ああ」と声をあげる。
「では店主、世話になった」
店主が無言で頭を下げたのを見ると、エーギルはひらりと馬に跨って、アルヤを後ろから支える。下女からも、店主からもそれ以上の言葉はない。
この店主は娼館の経営者に雇われているにすぎないが、金にがめつい彼はいつだって娼婦たちに効率よく稼がせようとしていた。アルヤはこの店で一番の稼ぎ手だったため、彼女目当てにここにやってきて、それが叶わず他の娼婦と夜を過ごす男も少なくなかったはずだ。彼女はいるだけでこの娼館に金を産んでいたのである。そんな彼女がいなくなるのは相当な痛手だろう。
だというのに、アルヤは、彼に身請けが決まったのだ。先ほど店主の部屋での話でもにわかに信じがたかったが、むっつりと黙り込んで不機嫌そうな店主の顔が、この状況が事実なのだとじわじわとアルヤに思い知らせる。目が合った下女は、目に涙を浮かべているものの微笑んでいて、いつもアルヤのことを気遣ってくれた下女らしい見送りである。
(わたくし……本当に、エーギル様に身請けされるんだわ)
手綱を持ったエーギルの腕の間に挟まれて、アルヤは下女に微笑んで見せる。ここを離れることになって、アルヤの世話をしてくれていた下女のことは少し心配だったが、荷物に詰め切れなかったドレスや装飾品類については、彼女に下げ渡すことを伝えてある。高級品ばかりなので、下女にとっては大いに助けになるだろう。
「アルヤ……いいか?」
その確認は、『出発してもいいか』という問いであるのだろうし、きっと『アルヤを身請けしても本当にいいか』という問いでもあるのだろう。
「ええ」
短く答えてから、アルヤはきゅ、とエーギルの服をつまむ。
「わたくしを、連れていってください」
「……ああ」
頭を預けたアルヤに、エーギルは応えて馬を歩かせ始める。馬が進むにつれ、彼女の視界から見慣れた娼館をやがて遠ざかってゆき、店主が店に入っていくのが目に入る。下女は小さくなりゆくアルヤたちをいつまでも見送っていた。
(見たことのない、街)
スヴァルトの足は止まることなく進み、やがて娼館の見えないところまで進み、アルヤが足を踏み入れたことのない場所まで彼女を運んでいく。そうしてこの日、アルヤは何年も過ごした娼館をあとにしたのであった。
いつも身の回りの世話をしてもらっている下女に最後の身支度を手伝ってもらったアルヤは、娼館の店主に会いに行った。そうして、アルヤが真実、エーギルに身請けされるのだと説明を受ける。店主の部屋から出たアルヤを待っていたのは、エーギルだった。彼女が部屋から出てきたのを見て、エスコートのためか、そっと身体を屈めて、手を差し出してくる。
(……この娼館から自由になる日はないと思っていたけれど……)
店主の部屋を振り返らず、アルヤは一歩踏み出してエーギルの手を取る。
「アルヤ。貴女に謝らねばならないことがある」
エスコートで歩き始めたエーギルが、ごく真剣な声音で言い出した。
「どうかなさいまして?」
「すまない。これから貴女には俺と共に馬に乗って移動してもらいたいんだ。俺が馬車で来ていればよかったんだが……ここに来るときは誰かを連れて帰る予定なんてなかったから」
あけすけに『ただ娼婦を抱きにきただけだった』と告白されてアルヤはくすくすと笑ってしまう。それは裏を返せば、たった一晩でアルヤをどんな手を使ってでも手に入れたいと熱をあげてくれたことの証左だろう。そう思えば、アルヤは胸のあたりがフワフワとするような気がした。
「……気を悪くしたか?」
「いいえ。そんなはずありませんわ。わたくし、ずっと乗馬というのをしてみたかったんですの」
「そうか……」
アルヤの言葉にあからさまにほっとした様子のエーギルに、また彼女はくすくすと笑う。そんな会話を交わしながら歩いて、あと一歩踏み出せば、娼館の外だ。これまで、何度もこの建物の外には出たことがあるが、今日のその一歩は、今までと全く意味が違う。
「馬に乗っていけるなんて嬉しいですわ」
そっと一歩を踏み出せば、明るい朝日に満ちた通りに出る。その日光の眩しさに目を細めて、アルヤは自然と口元を笑ませた。じわじわと現実感を伴ってきてはいるものの、アルヤは未だ夢の中にいるような気持ちだ。
「ならよかった」
短く答えたエーギルもまた、穏やかな笑みでそう答える。そうして外を見たエーギルは、何かに気づいたように視線を向けた。
「ああ、もう馬に荷物を積んでくれたのか」
娼館を出てすぐのところで、店の男が馬を一頭連れていたのに声をかける。
(……まあ!)
その馬を目にしたアルヤは目をみはった。
つやつやとした毛並みは全て黒く、大きな筋肉の浮いた立派な身体は、これまで目にしたどの馬よりも大きい。その馬にアルヤの荷物と思しき鞄が括りつけられているが、その小さくはないはずの鞄が小さく見えるほどに、馬は大きかった。
「立派な馬ですね!」
「ああ。軍馬の中でも品種の違う馬でな。俺を乗せるのに普通の軍馬では小さすぎる」
「そうなんですのね。あの……不躾かとは思うんですが、触れてみてもよろしいですか?」
「……怖くないのか?」
驚いたようなエーギルに、アルヤが首を傾げると、彼はまた穏やかに笑んでエスコートの手を離した。
「いや、なんでもない。ぜひ触ってやってくれ。首のあたりを撫でてやると喜ぶ」
「わかりました。お名前は?」
「スヴァルトだ」
「ありがとうございます」
黒馬に近づけば、彼女の品定めするように鼻先を近づけた。そのスヴァルトにアルヤは「はじめまして」と声をかける。するとスヴァルトはひくひくと鼻を動かしたあとに、アルヤの肩あたりに頭をこすりつけた。甘えたようなその動作に驚きながらも、アルヤはスヴァルトの首筋を撫でてやる。
「わたくしは重いかもしれないけれど、これからお世話になりますわ、スヴァルト」
「貴女は羽のように軽いだろう」
笑いを含んだ声に振りむこうとしたときには、アルヤの身体は宙に浮いている。ふわっと抱えあげられて、降ろされたかと思えば、もうそこは馬上だ。
「ほら、軽い」
「エーギル様」
急に持ち上げるなんて、と言おうとしたアルヤは、はた、とその視線の高さに気づいた。スヴァルトの背に横座りの形で乗せられたアルヤは、さすがにエーギルよりも目線が高い。その彼の肩越しに、店主やアルヤつきの下女が身請けの見送りのために出てきているのが目に入った。彼女の視線が動いたのにつられたエーギルが後ろを振り返って、「ああ」と声をあげる。
「では店主、世話になった」
店主が無言で頭を下げたのを見ると、エーギルはひらりと馬に跨って、アルヤを後ろから支える。下女からも、店主からもそれ以上の言葉はない。
この店主は娼館の経営者に雇われているにすぎないが、金にがめつい彼はいつだって娼婦たちに効率よく稼がせようとしていた。アルヤはこの店で一番の稼ぎ手だったため、彼女目当てにここにやってきて、それが叶わず他の娼婦と夜を過ごす男も少なくなかったはずだ。彼女はいるだけでこの娼館に金を産んでいたのである。そんな彼女がいなくなるのは相当な痛手だろう。
だというのに、アルヤは、彼に身請けが決まったのだ。先ほど店主の部屋での話でもにわかに信じがたかったが、むっつりと黙り込んで不機嫌そうな店主の顔が、この状況が事実なのだとじわじわとアルヤに思い知らせる。目が合った下女は、目に涙を浮かべているものの微笑んでいて、いつもアルヤのことを気遣ってくれた下女らしい見送りである。
(わたくし……本当に、エーギル様に身請けされるんだわ)
手綱を持ったエーギルの腕の間に挟まれて、アルヤは下女に微笑んで見せる。ここを離れることになって、アルヤの世話をしてくれていた下女のことは少し心配だったが、荷物に詰め切れなかったドレスや装飾品類については、彼女に下げ渡すことを伝えてある。高級品ばかりなので、下女にとっては大いに助けになるだろう。
「アルヤ……いいか?」
その確認は、『出発してもいいか』という問いであるのだろうし、きっと『アルヤを身請けしても本当にいいか』という問いでもあるのだろう。
「ええ」
短く答えてから、アルヤはきゅ、とエーギルの服をつまむ。
「わたくしを、連れていってください」
「……ああ」
頭を預けたアルヤに、エーギルは応えて馬を歩かせ始める。馬が進むにつれ、彼女の視界から見慣れた娼館をやがて遠ざかってゆき、店主が店に入っていくのが目に入る。下女は小さくなりゆくアルヤたちをいつまでも見送っていた。
(見たことのない、街)
スヴァルトの足は止まることなく進み、やがて娼館の見えないところまで進み、アルヤが足を踏み入れたことのない場所まで彼女を運んでいく。そうしてこの日、アルヤは何年も過ごした娼館をあとにしたのであった。
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