君に噛み跡を遺したい。

卵丸

文字の大きさ
上 下
40 / 40
噛み跡

番外編 愛の印

しおりを挟む
要は朝ごはんの卵焼きを作っていると眠たそうに欠伸をした結衣がやってきた。

「お母さん、おはよう」

「おはよう、結衣」

結衣は今年で17になり高校生になっていた。結衣はやかんに水を入れてスイッチを押して水を温めている間に昨日の晩御飯のおかずと冷凍食品のグラタンをお弁当箱に詰めていた。

「あっ結衣、あの二人もそろそろ起こしてきて」

「はーい!」

結衣は双子の和真と陽葵を起こしに行ったが和真は直ぐに目を覚ましたが陽葵は全然起きなくて10分後にやっと起きてきた。和真は銀色の髪に寝癖を直さずにご飯を食べて紫色の瞳は眠たそうにしてご飯を食べていた。陽葵は栗色の髪をぐしゃぐしゃにしたまま、和真と同じく青色の瞳は眠たそうだった。

「おはよー・・・和くん食べるの早いよ。」

「えー陽葵が起きてくるのが遅かっただけだろ!」

文句を言う陽葵に和真は正論を言うと結衣が陽葵の分のご飯を用意しながら注意を言った。

「陽葵、早く食べないと遅刻するよ!」

「はーい。」

「結衣もありがとう食べていいよ。」

「わかった・・・おとうさんはまだ寝てるの?」

「うん、昨日大変だったみたいだよ」

昨日、絢斗は出張先から帰りの電車に乗っていた時に人身事故があり大幅遅れて帰宅したのが深夜1時になってしまい、へとへとになって帰ってきた。

「ただいま・・・・・。」

「おかえり、明日が休みで良かったね。」

「・・・でも、明日は楽しもうな。」

「・・・・・・うん。」

『今日は無理かもね。』

本当は結婚記念日に映画を見に行って高級ホテルのレストランでディナーをする予定だったが子供達が騒がしく朝ごはんを食べていても絢斗が起きるくる様子が無いので完全に疲れていたと思い要は敢えて起こさなかった。

「お母さん、いってきます!」

「いってきまーす!・・・和くんも言って!!」

「・・・・いってきます。」

結衣と陽葵は元気に要に挨拶をしたが和真は恥ずかしいのか挨拶が小さかった。

「3人とも気をつけて、いってらっしゃい!」

要は子供達を見送り、食器洗いと洗濯物を洗濯機に入れた後に絢斗の部屋に入ると彼はやっぱりぐっすりと眠っていた。

「・・・ぐっすり寝てる」

要は絢斗に近づくと彼の唇に軽くキスをして優しい声で聞こえていない彼に囁いた。

「可愛い」

すると、突然布団から腕が出てきて要の右手を引っ張りバランスを崩すと絢斗は左腕で腰を支えて要もベッドに乗ってしまった。未だに混乱している要が上を向くと目を細めて愛おしそうに見つめている絢斗と目が合った。

「・・・・起きてたの?」

「おはよ、可愛いことしてくれたな。」

「・・・・・なんか悔しい。」

要はつまらなそうに不貞腐れていると絢斗は優しく抱きしめて耳元で囁いてきた。

「今日は特別な日だな。」

「ふふ、そうだね。・・・でも、今はこのままが良い。」

要も抱きしめ返すと絢斗は嬉しそうに笑い彼の頭を優しく撫でておねだりを言った。

「なぁ、要・・・もう一度、噛みつかせて?」

絢斗のおねだりに要は嬉しそうに後ろに向くと絢斗はお礼を言って要の項に軽くキスをしてから優しくじっくり噛み付いた。

「・・・・・・ッ!!」

結婚記念日は必ず項に噛み付くのが2人の儀式みたいになっていたが要は嬉しいけど今回は彼からも絢斗におねだりした。

「絢斗さん・・・項を見せて・・・・・。」

「え?要が噛み付くのか?」

絢斗は不思議そうに問うと要は恥ずかしそうに頬を赤く染めて、ゆっくり頷くと絢斗は愛おしそうに見つめた後に後ろを向いて要に囁いた。

「じゃあ、お願い。」

「・・・・・・はい。」

要は身体を熱くなるのを感じながらいつもしてくれているように絢斗の項に軽くキスをしてゆっくり噛み付いた。

「・・・・・・!!」

絢斗の肩が震えたので加減が出来なかったと思い、要は慌てて離れると直ぐに謝った。

「ごっごめんなさい!痛かったよね?」

要が謝った直後にぶわりっとフェロモンが溢れ出して2人の身体が温かくなって絢斗は寝返ると要に力強く抱きついた。

「・・・嬉しい痛みだった。」

「・・・・・・良かった。」

「・・・要、愛してる。」

「もう、今更だね・・・絢斗さん、愛してるよ。」

2人は愛おしそうに見つめ合うとお互い微笑んだ後に絢斗の顔が近づき要の唇に優しく触れた。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

兄が届けてくれたのは

くすのき伶
BL
海の見える宿にやってきたハル(29)。そこでタカ(31)という男と出会います。タカは、ある目的があってこの地にやってきました。 話が進むにつれ分かってくるハルとタカの意外な共通点、そしてハルの兄が届けてくれたもの。それは、決して良いものだけではありませんでした。 ハルの過去や兄の過去、複雑な人間関係や感情が良くも悪くも絡み合います。 ハルのいまの苦しみに影響を与えていること、そしてハルの兄が遺したものとタカに見せたもの。 ハルは知らなかった真実を次々と知り、そしてハルとタカは互いに苦しみもがきます。己の複雑な感情に押しつぶされそうにもなります。 でも、そこには確かな愛がちゃんと存在しています。 ----------- シリアスで重めの人間ドラマですが、霊能など不思議な要素も含まれます。メインの2人はともに社会人です。 BLとしていますが、前半はラブ要素ゼロです。この先も現時点ではキスや抱擁はあっても過激な描写を描く予定はありません。家族や女性(元カノ)も登場します。 人間の複雑な関係や心情を書きたいと思ってます。 ここまで読んでくださりありがとうございます。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

先生、運命です

BL
シングルファザーα×保育士Ω 5年前、できちゃった婚をした竜也。 相手とは離婚、捨てられた竜也は息子の凪を1人で育てることに専念した。 5歳の凪を新しい保育園に送っていくと出迎えてくれた先生が… 番外編をぼちぼち追加

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

お世話したいαしか勝たん!

沙耶
BL
神崎斗真はオメガである。総合病院でオメガ科の医師として働くうちに、ヒートが悪化。次のヒートは抑制剤無しで迎えなさいと言われてしまった。 悩んでいるときに相談に乗ってくれたα、立花優翔が、「俺と一緒にヒートを過ごさない?」と言ってくれた…? 優しい彼に乗せられて一緒に過ごすことになったけど、彼はΩをお世話したい系αだった?! ※完結設定にしていますが、番外編を突如として投稿することがございます。ご了承ください。

真柴さんちの野菜は美味い

晦リリ
BL
運命のつがいを探しながら、相手を渡り歩くような夜を繰り返している実業家、阿賀野(α)は野菜を食べない主義。 そんななか、彼が見つけた運命のつがいは人里離れた山奥でひっそりと野菜農家を営む真柴(Ω)だった。 オメガなのだからすぐにアルファに屈すると思うも、人嫌いで会話にすら応じてくれない真柴を落とすべく山奥に通い詰めるが、やがて阿賀野は彼が人嫌いになった理由を知るようになる。 ※一話目のみ、攻めと女性の関係をにおわせる描写があります。 ※2019年に前後編が完結した創作同人誌からの再録です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

溺愛オメガバース

暁 紅蓮
BL
Ωである呉羽皐月(クレハサツキ)と‪α‬である新垣翔(アラガキショウ)の運命の番の出会い物語。 高校1年入学式の時に運命の番である翔と目が合い、発情してしまう。それから番となり、‪α‬である翔はΩの皐月を溺愛していく。

処理中です...