君に噛み跡を遺したい。

卵丸

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噛み跡

幸福な時間

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要は今、着替え室で白いタキシードを着ていたが大きい鏡を見ると顔が強ばっていた。

『・・・今日は僕達の結婚式・・・・。』

彼は両頬に両手でパァンと叩くとキリッと真面目な顔になり誰もいない鏡に明るい声で言った。

「必ず、成功してみせる!!」

要が宣言した後にガチャとドアが開く音が聞こえて振り向くと薄い水色のタキシードを着た絢斗が優しく微笑んでいた。

「顔が痛いだろ?気楽にいこうぜ」

「ママ、かっこいいー!!」

ピンクのフリルのワンピースにポニーテールに大きいピンク色のリボンを結んでいる結衣が要を見て喜んでいた。

「ねぇねぇ、結衣可愛い?」

「うん、お姫様みたいで可愛いよ。」

結衣は嬉しそうに飛び跳ねて喜んでいると紺色のタキシードを着た隆志と黄色のワンピースを着た遥が入ってきた。

「わぁ~結衣ちゃん、天使みたいね!」

「はるちゃんも天使みたいだよ!」

二週間前に遥は結衣が可愛すぎてデパートで可愛い服やぬいぐるみなど見て回ってから懐くようになり今はお友達になっていた。

「結衣ちゃんは分かるけどさ・・・遥は別に天使じゃなく・・いたたただ!!」

絢斗は遥にヘッドロックを決められて隆志が慌てて止めてるのを見て要はフッと吹き出して顔を赤くして笑った。

「あはははは」

「なっ何笑ってんだよ!!」

遥から離れて頭を抑えている絢斗は要に叫ぶと要は丸椅子から立ち上がり絢斗の近くまで来ていたずらっ子のように微笑むと絢斗の唇に軽いキスを落とした。
絢斗と隆志は唖然として遥は両手を口で抑えて目を輝かせ結衣は「え~!!」と叫んでいた。

「これで許してください」

「・・・・ったく、やるようになったよな。」

「・・・・・ママがお友達にチューした・・・・?」

結衣は口をあんぐり開けて驚いているのを絢斗は気づいて彼女に近づき子供だろうと真面目な表情で口を開いた。

「結衣ちゃん、俺はママと結婚して君のパパになるんだけど良いかな?」

結衣は暫く考えた後、予想外な事を言った。

「つまり、レッドとブルーが結婚する事?」

「えっ??」

絢斗は何を言ってるのか分からずにいると要から説明してくれた。

「今週のセイメイジャーがブルーが実はΩでレッドがαで結婚をする話だったんです。多分、その事を言ってると思います。」

「・・・・・最近の子供向け番組は攻めてるな・・・・。」

絢斗は苦笑を零していると結衣が絢斗の右手を握って頬を桃色に染めて照れながら小さく呟いた。

「・・・・パパ?」

その言葉に絢斗は嬉しさで誤ってフェロモンが放たれて要は隆志に連れられて部屋から出ていき遥が絢斗の後頭部をペチンと叩いた。

***

結婚式は氷室家と箕輪家と裕一郎と飯村姉弟としずちゃんが出席して、二人の新婦を今かと待っていた。
そして入場の音楽と共に絢斗と要の横に要の父親が歩いてきてみんなの歓声を浴びながら入ってきた。

「・・・・要、綺麗だな。」

「まさか、義兄さんと箕輪・・・要君と同級生だとは思いませんでした。」

裕一郎と飯村の会話に志帆が人差し指を唇に翳して静かにのポーズをすると二人は頭を下げて謝った。

「ううぅぅ・・・絢ちゃん嬉しそうね!」


しずちゃんが涙を流しているのを遥がハンカチを彼女?に渡していた。
老いぼれているが瞳が輝いている老神父が二人に目を配らせその後誓いの言葉を言うと絢斗と要は手を絡ませて幸せに溢れた声で口を開いた。

「「誓います」」

二人は結婚指輪を互いに付けるとまた歓声が上がった。
要がブーケを投げるとしずちゃんが受け取りドヤ顔をして絢斗は呆れ笑いを零し要は手を当てて笑っていた。

結婚式が終わり新婚の二人は絢斗のアパートに来ていた。

「・・・・今日は幸せでした。」

「ああ、絶対にこの日は忘れないよ」

結衣は箕輪家に預けて今からする事は番にとって大切な儀式を行うのであった。
二人は(絢斗が思い切って買った。)キングサイズのベッドの上に乗りお互いに熱い眼差しを向けていた。

「・・・絢・・・・斗さん、お願いします。」

「本当に慣れないよな。」

「うっうるさいです。」

要は絢斗に近づき後ろを向いて彼から項を見せると絢斗は優しく肩を掴んで顔を近づけた。

「・・・・今から、噛むぞ。」

「・・・・・待ってください」

「やっぱ、あの事があったもんな・・・。」

要に止められて少し残念に思っていると彼は軽く首を左右に振り絢斗を振り向く時、要の眼差しは期待で輝かせながら小声だが芯のある声で口を開いた。

「愛してるって言った後に噛んでください。」

要の愛らしい願いに絢斗の身体は熱くなるのが分かったが絢斗は深呼吸をしてから要の右耳元で優しく愛の言葉を囁いた。

「番になってくれてありがとう。要、愛してる」

要は嬉しさで涙をポロポロ流しながら前を向き笑顔で絢斗に愛の言葉を囁いた。

「・・・僕も番にしてくれてありがとうございます・・・絢斗・・・さん愛してます。」

その言葉を合図に絢斗は要の項に優しく歯を立てた。

「・・・・・ッ!!」

要の項は噛まれたことによりじわりと温かくなり身体の体温が上がり嬉しい涙が止まらなかった。
絢斗も嬉し涙を零しながら幸せを感じていた。
絢斗は項から離れると要の項に赤くて痛々しい噛み跡が出来ていたが彼は愛おしそうに眺めながら右手で噛み跡に優しく触れた。触れた瞬間にぶわりっとお互いのフェロモンが混ざり合い身体の体温が更に温かくなっていると要が扇情的な表情で絢斗を見つめ潤った唇から誘いの言葉を発した。

「絢斗さん、抱いてください。」
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