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Safe word
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家に帰ると珍しく母さんが僕より早く仕事から帰ってきていた。
「渚、おかえりなさい」
「母さん今日は仕事早く終わったの?」
「そうなの、だからお母さんが今日晩御飯作ったのよ」
今日の晩御飯は餃子とポテトサラダだった。
「母さん、ありがとう」
「何言ってんのよ、いつも渚が作ってるのにたまにはお母さんらしい事させてよ。後デザートにプリン買ったから。」
僕と母さんは晩御飯を一緒に食べた。その時TVがついていて、ニュース番組を流していた。
『Sub dropを起こした犯人が逮捕されました。犯行はパートナーであるSubがSafe wordを決めて欲しいと言われ腹が立ち無理矢理playをしたもよ・・・』
母さんが無言でリモコンを持ってTVを消した。母さんは溜息をついた後俺に話しかけてきた。
「餃子、久しぶりに作ったから餡を多く入れ過ぎて、破れたんだよね。」
母さんが僕の為に話題を振ってくれてるのがわかったので僕も話を聞いた。
「でも、母さんの餃子美味しいよ。口の中臭くしないようにニンニク入れてないんだよね?」
「まぁね私の口が臭くなるの嫌だからね。」
その時母さんと会話をしながら頭は別の事を思っていた。
『あいつ脅しだけどパートナーのくせにSafeword無くcommandを放ったな』
その後プリンを食べて、一緒に洗い物をした。
*
お風呂に入った後、宿題をしていたら会話アプリから通知が来た。
『誰からだろう?まぁ日和からだろうな・・・・・ゲェ』
通知は瀬戸からだった。
[今日は楽しかったな。次は二人で行きたいな 明日の放課後空き教室に集合な]
「わすれないでね?」と三毛猫のスタンプも付いてきた。
『明日はSafewordの事を言わなきゃ僕自信が酷い目に遭うな・・・。』
*
放課後になり、僕は重い足取りで空教室に向かった。 日和はバスケの練習試合の助っ人として今は居なかった。 教室を確認すると瀬戸は中に居てスマホを弄っていた。 僕は深呼吸をしてからドアを開けた。開いた音に瀬戸は気づいて、手を挙げていた。
「来てくれたんだ」
「来なきゃ皆にバラすんだろ?」
「一応そのつもり、じゃあ始めようか?」
「待って!!」
「Subに命令されるとは思わなかったよ。どうしたの?」
「・・・・・Safeword決めない?」
瀬戸はキョトンとしてから僕に質問してきた。
「せーふわーどって何?」
まさかのSafewordも知らずに僕にPrayを持ち掛けてきたのかと思い呆れてしまった。
「SafewordはSubが本気で嫌な時に使う言葉だよ。本当はPray前に決めなきゃいけないんだ。」
「へ~そんなのがあるんだ!でさ、Safewordはどっちが決めるの?」
「・・・別にどっちでもいいんじゃない?」
『どうせ偽りだし』
「うーん・・・じゃあ『クレーム』でいい?」
「クレーム?」
「あぁ、バイトの時、電話のクレームが嫌すぎてさ、一応俺が嫌な言葉の方がいいだろ?」
言葉を決めるのに1分も経っていなかったが瀬戸なりに考えてくれたらしい。
「じゃあ、『クレーム』で良いよ」
「うん、Safewordも決まったことだし、始めようか?」
僕はゴクリと唾を飲み込んだ。
瀬戸は僕の顔を真剣に見つめCommandを放った。
「come(おいで)」
僕は心臓がバクバクしながら瀬戸の方に向かった。すると瀬戸が僕の頭を優しく撫でてきた。
「Good(いい子)」
そう言われ僕はドクンと身体中に電流みたいのが流れてきた。初めての感覚なので、頭の中がボーっとしてきた。
壮真side
渚の頭を撫でてやると渚の身体が震え出した。
「渚大丈夫?」
渚の顔を覗き込むと顔を赤くして、目がトロンと定まってなくて、口を小さく開けている渚の顔が俺を見つめていた。
「・・・ん?」
「おーい渚?」
俺が渚の名前を言うと、渚は舌足らずな物言いで笑顔で返事をした。
「はぁ~い」
返事をしたかと思うと、俺の方に頭を突き出した。
「何?」
「・・・へんじをしたから、あたまをなでてよぉ」
『・・・・・確かバイトの先輩が言ってたけどこれはSubスペースに入ったな。』
俺が渚の頭を撫でてやると、更に林檎の様に頬っぺたが赤くなり嬉しそうにふにゃりと笑った。
「なでられた・・・うれしいなぁ~!」
『可愛すぎないか?・・・・・少しイタズラしてみるか!』
俺はスマホを取り出し、動画にして渚を撮ることにした。
「渚は俺が好き?」
「だぁいすきだよぉ」
「新村よりも?」
「うん、ひよりよりもすぅき」
「俺の名前は?」
「せぇと」
「下の名前は?」
「そーぅまぁ!」
「全部答えて偉いね!」
「うん!ぼぉくえらぁい!」
ここで動画を終了させた。
『新しい弱みも握れたし、新村に勝った!』
俺が心の中でドヤ顔をしていると、頬を膨らませ、俺の右袖を掴んでいる渚がいた。
「かわっ・・・どうしたの?」
「こたえたからぁ、ほぉめてぇよぉ!」
俺は少し、楽しくなって魔が差してしまった。
「じゃあ、ご褒美はキスにしてあげるけど渚からしてね」
俺は一呼吸をしてから、Commandを放った。
「Kiss(キス)」
俺はわくわくしたが、渚は顔を青白くして、口をわなわなさせてSafewordを放った。
「く・・・く・・・・・くれーむ・・・・・。」
Safewordを放った途端、渚の瞳から涙がボロボロ零れ出した。
「渚!!」
「くぅ・・ふぅ・・・うぇ・・・・・。」
俺は頭が混乱しながら、渚の背中を撫でて、先輩に教えて貰った。Aftercareをしてみた。
「落ち着いてね、渚はいい子だねゆっくり"おやすみ"」
俺はCommandを放ってみると、渚は俺の腕の中でぐっすり寝ていた。
『多分・・・Kissが良くなかったな。』
俺は反省しながら渚を姫様抱っこして、保健室に運んだ。
「渚、おかえりなさい」
「母さん今日は仕事早く終わったの?」
「そうなの、だからお母さんが今日晩御飯作ったのよ」
今日の晩御飯は餃子とポテトサラダだった。
「母さん、ありがとう」
「何言ってんのよ、いつも渚が作ってるのにたまにはお母さんらしい事させてよ。後デザートにプリン買ったから。」
僕と母さんは晩御飯を一緒に食べた。その時TVがついていて、ニュース番組を流していた。
『Sub dropを起こした犯人が逮捕されました。犯行はパートナーであるSubがSafe wordを決めて欲しいと言われ腹が立ち無理矢理playをしたもよ・・・』
母さんが無言でリモコンを持ってTVを消した。母さんは溜息をついた後俺に話しかけてきた。
「餃子、久しぶりに作ったから餡を多く入れ過ぎて、破れたんだよね。」
母さんが僕の為に話題を振ってくれてるのがわかったので僕も話を聞いた。
「でも、母さんの餃子美味しいよ。口の中臭くしないようにニンニク入れてないんだよね?」
「まぁね私の口が臭くなるの嫌だからね。」
その時母さんと会話をしながら頭は別の事を思っていた。
『あいつ脅しだけどパートナーのくせにSafeword無くcommandを放ったな』
その後プリンを食べて、一緒に洗い物をした。
*
お風呂に入った後、宿題をしていたら会話アプリから通知が来た。
『誰からだろう?まぁ日和からだろうな・・・・・ゲェ』
通知は瀬戸からだった。
[今日は楽しかったな。次は二人で行きたいな 明日の放課後空き教室に集合な]
「わすれないでね?」と三毛猫のスタンプも付いてきた。
『明日はSafewordの事を言わなきゃ僕自信が酷い目に遭うな・・・。』
*
放課後になり、僕は重い足取りで空教室に向かった。 日和はバスケの練習試合の助っ人として今は居なかった。 教室を確認すると瀬戸は中に居てスマホを弄っていた。 僕は深呼吸をしてからドアを開けた。開いた音に瀬戸は気づいて、手を挙げていた。
「来てくれたんだ」
「来なきゃ皆にバラすんだろ?」
「一応そのつもり、じゃあ始めようか?」
「待って!!」
「Subに命令されるとは思わなかったよ。どうしたの?」
「・・・・・Safeword決めない?」
瀬戸はキョトンとしてから僕に質問してきた。
「せーふわーどって何?」
まさかのSafewordも知らずに僕にPrayを持ち掛けてきたのかと思い呆れてしまった。
「SafewordはSubが本気で嫌な時に使う言葉だよ。本当はPray前に決めなきゃいけないんだ。」
「へ~そんなのがあるんだ!でさ、Safewordはどっちが決めるの?」
「・・・別にどっちでもいいんじゃない?」
『どうせ偽りだし』
「うーん・・・じゃあ『クレーム』でいい?」
「クレーム?」
「あぁ、バイトの時、電話のクレームが嫌すぎてさ、一応俺が嫌な言葉の方がいいだろ?」
言葉を決めるのに1分も経っていなかったが瀬戸なりに考えてくれたらしい。
「じゃあ、『クレーム』で良いよ」
「うん、Safewordも決まったことだし、始めようか?」
僕はゴクリと唾を飲み込んだ。
瀬戸は僕の顔を真剣に見つめCommandを放った。
「come(おいで)」
僕は心臓がバクバクしながら瀬戸の方に向かった。すると瀬戸が僕の頭を優しく撫でてきた。
「Good(いい子)」
そう言われ僕はドクンと身体中に電流みたいのが流れてきた。初めての感覚なので、頭の中がボーっとしてきた。
壮真side
渚の頭を撫でてやると渚の身体が震え出した。
「渚大丈夫?」
渚の顔を覗き込むと顔を赤くして、目がトロンと定まってなくて、口を小さく開けている渚の顔が俺を見つめていた。
「・・・ん?」
「おーい渚?」
俺が渚の名前を言うと、渚は舌足らずな物言いで笑顔で返事をした。
「はぁ~い」
返事をしたかと思うと、俺の方に頭を突き出した。
「何?」
「・・・へんじをしたから、あたまをなでてよぉ」
『・・・・・確かバイトの先輩が言ってたけどこれはSubスペースに入ったな。』
俺が渚の頭を撫でてやると、更に林檎の様に頬っぺたが赤くなり嬉しそうにふにゃりと笑った。
「なでられた・・・うれしいなぁ~!」
『可愛すぎないか?・・・・・少しイタズラしてみるか!』
俺はスマホを取り出し、動画にして渚を撮ることにした。
「渚は俺が好き?」
「だぁいすきだよぉ」
「新村よりも?」
「うん、ひよりよりもすぅき」
「俺の名前は?」
「せぇと」
「下の名前は?」
「そーぅまぁ!」
「全部答えて偉いね!」
「うん!ぼぉくえらぁい!」
ここで動画を終了させた。
『新しい弱みも握れたし、新村に勝った!』
俺が心の中でドヤ顔をしていると、頬を膨らませ、俺の右袖を掴んでいる渚がいた。
「かわっ・・・どうしたの?」
「こたえたからぁ、ほぉめてぇよぉ!」
俺は少し、楽しくなって魔が差してしまった。
「じゃあ、ご褒美はキスにしてあげるけど渚からしてね」
俺は一呼吸をしてから、Commandを放った。
「Kiss(キス)」
俺はわくわくしたが、渚は顔を青白くして、口をわなわなさせてSafewordを放った。
「く・・・く・・・・・くれーむ・・・・・。」
Safewordを放った途端、渚の瞳から涙がボロボロ零れ出した。
「渚!!」
「くぅ・・ふぅ・・・うぇ・・・・・。」
俺は頭が混乱しながら、渚の背中を撫でて、先輩に教えて貰った。Aftercareをしてみた。
「落ち着いてね、渚はいい子だねゆっくり"おやすみ"」
俺はCommandを放ってみると、渚は俺の腕の中でぐっすり寝ていた。
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