哀しい兎に笑ってほしくて

卵丸

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家族との関係

不器用な弟と甘すぎる兄

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咲真side

圭兎が家を出て行ってから俺の夜遊びは相変わらず続いていたが金稼ぎが簡単に出来なくなって溜息を深く吐いた。
その代わりSubの奴がいれば命令して無理矢理金を奪って金は手に入れていた。
まぁ・・・一つだけ変わったと言えば・・・。

『現在この電話番号は使われておりません・・・。』

5日前に母さんが帰ってこなくなった。理由は何となく分かっている。あの人は仕事で出会った男性に若くもないのに恋をして告白した結果、なんと上手くいって付き合っていた・・・つまり・・・・・

「クソババア逃げやがった!」

電話番号を変えられていて母さんが今どうしているか全然分からなかった。

「・・・チッ!!」

俺はイラついたまま遊びに外を出て先輩達がいるクラブに行って馬鹿みたいに騒いで俺がダーツを楽しんでいる時にスマホが震えて相手を確認すると、意外にも圭兎からで仕方なく電話に出るとアイツがGWに家に帰るみたいなのでまた金稼ぎが出来るから喜んで承諾した。

「咲真、ニヤニヤしてどうしたのよ?」

「べっつに~」

無駄にデカい胸を押し付けるケバい女の先輩に嫌気がさしながらも俺はダーツを楽しんだ。

『もうすぐ大金が手に入る!』

その時、友達も連れてくると言っていたので地味でダサい人物を想像して鼻で嘲笑った。だが圭兎が連れてきたのがアイドルみたいな綺麗な男性でそいつは仇にするように俺を睨みつけていた。
取り敢えず、俺は圭兎の友達と一緒に金稼ぎをやればいいと思い、ダチのいるリビングに向かったが・・・圭兎の友達がグレアを放ちながら命令を下すと、ダチは無様に気絶をし、俺は何とか耐えたが知らない奴がいきなり入ってきて俺に命令してきた。
初めての強力なDomの圧に身体が震えながら命令に従ったがわざと残した動画もバレて更に圧をかけられて小水を漏らしてしまい、Domの男が獲物を狩るような目でニヤリと笑いながら口を開いて何か喋ったが聞こえなくて、急に身体が重くなり振り返ると目を閉じた圭兎が俺の上にかさばっていた。俺は意味が分からなくて固まっていたがDom男が俺に「深呼吸をして」と命令されて指示通りに行うと圧にやられたのか目を閉じて眠ってしまった・・・。

***

圭兎side

目を開けると俺は床に寝ていたらしく、ゆっくり起き上がると正座をして静かに泣いている咲真と冷たい目で睨みつけている中村陸とオロオロして立ち尽くしてる植田君が見えた。

「本当に動画は消したんだよな?」

「・・・・・・パソコンのデータはまだ・・・です。」

「今すぐ消し・・・」

「でっでも、あんたら俺らを訴えるなら消さない方がいいんじゃ・・・」

「・・・俺のわがままだけど、これ以上・・・圭兎君の恥ずかしい姿を見せたくないんだ・・・それに・・・今更だけどお前も一応、彼の家族だし・・・弟が逮捕されんのは嫌だと思うしね・・・まぁ、圭兎君次第だけど」

俯いてポロポロ涙を流して下唇を噛んで嗚咽を我慢している咲真を見ると泣き虫だった小さい頃を思い出して俺は3人のところまでゆっくり歩き、そして・・・最低最悪だけど、やっぱり大切な弟の頭を優しく撫でて俺は・・・

「・・・・・動画は全部消して・・・そして二度俺みたいな被害者を作らないで・・・・未だに咲真達がやった事は許せないけど、俺もお前も歪んでしまった1人だよな・・・母さんが朝は寝てるし晩は働いて久しぶり顔を見たら怒った顔で俺達を物のように当たって・・・いつも1人だったよな・・・だから俺に命令して1人にされないようにしてたんだよな・・・。」

「・・・・・・・・・馬鹿じゃねーの?Subの圭兎が扱いやすかっただけだし、金が欲しくてゲイの奴を呼んだだけだし・・・。」

俯いていたので咲真の顔は見えなかったが耳が分かりやすく真っ赤になっていたし声が震えていたので照れていると理解した。俺は素直じゃない弟をそっと抱きしめた。

「・・・俺、ズボン濡れてるから汚れんぞ?」

「別にいい」

「・・・本当にお前って馬鹿だよな。」

「馬鹿な友達しか出来なかった咲真には言われたくない。」

「うるせぇ」

良い雰囲気になったと思ったが植田君より弱いがDomの強い圧を出している中村陸が不機嫌に舌打ちをすると強く咲真に命令した。

「"圭兎君は従うな!"・・・"お前、パソコンのデータを削除した後、土下座して謝れ!!"」

「!?」

顔を青白くさせた咲真は歯をガチガチ言わせながらパソコンを開いて動画を削除すると俺達に異常に身体を震わせながらおでこを床に擦り付けて小さい声で謝った。

「ご・・・ごめんなさい」

「・・・・・・・。」

「踏むのはやめろ!」

中村陸が咲真の後頭部を踏もうとしたのを直ぐに止めるとアイツはまたイラつきながら舌打ちをすると俺の目を見て睨みつけながら心底呆れたように言った。

「圭兎君って本当に愚かなお人好しだよね?」

その言葉にムッとなりながら咲真が言ってたように言い返した。

「うるせぇ」
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